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兄さんなんて大嫌いです! 朝乃宮千春SIDE
2/1 その四
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「おいおい、アレ見ろよ。あそこでおねんねしているヤツ、朱雀部隊じゃねえか~」
「情けねえヤツらだな!」
「死神の恥じゃねえ?」
「まあ、朱雀は四天王最弱だし!」
「目障りなヤツらが消えて清々するぜ!」
なんか、また面倒くさそうな事に巻き込まれそうな……。
さっさとここを去ろう……面倒ごとはごめんやし……。
「アイツ、『Blue Ruler』の御堂だろ?」
「やっちまうか」
はぁあ……。
あれ、わざとなん?
女の子の名前、間違えるとか……。
「……ウチ、御堂と違います」
「ああん! 嘘つくんじゃねえ!」
「ぶっとばすぞ!」
……腹立つわ~。
相手はひぃふぅみぃ……二十人ちょい。
「覚悟しやがれ、御堂!」
「てめえになりかわって俺達が青島を支配してやる!」
……。
「ぺへぇ!」
「ぽろぉ!」
「しんぺぇ!」
「ぬふぉ!」
「しゅり!」
「げぉ!」
「けふぅ!」
「あん!」
「おふぅ!」
「ほごぅ!」
「みゃ!」
「けふぅん!」
「しゃべぇ!」
「こころぉ!」
「しぎぃ!」
「ふふぅ!」
「おぼぉ!」
「まひぅ!」
「まだぃ!」
「はららぁ!」
……。
「……痛ぇ……マジ痛ぇえ……」
「……ありえ……ねぇ……」
「つ、強すぎる……」
「に、人間じゃねえ……」
「……こ、これが……『Blue Ruler』の御堂かぁ……ぽげぇ!」
なんやろ、さっきの朱雀隊やったっけ? 対して実力の差がなかったんやけど……数が多いだけやん。
それにしても、結構な数が青島に攻め込んできてる。こんなん初めてとちゃう?
物騒な世の中になったもんや。
藤堂はんだけやと、ちょっとしんどかったかも。
別にどうでもええんやけど。
「全く情けないわねぇ! これだから弱い男は嫌いなのよ!」
はぁ……まあ、そうなるわな……。
ボスキャラ登場ってわけね。
「そこの小娘! こっちをお向き!」
「……」
「げぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!」
なんやの、この野太いオネエ系のキャラは……。
それに人の顔見てげぇとか、横山光輝さんかいな。失礼やわ。
今度は大男が現れた。
さっきのSUZAKU? って呼ばれていた男は百七十半ばでスリムな体型やったけど、目の前のオネエは百九十台の藤堂はんよりも更に大きい、二メートル弱。
おすもうさんのように体格のいい……わけではなく、ただの肥満体質のデブ。
しかも、この寒い日にデヘソ出しコーデとか……。
もしかして、これがサービスシーン? ひどいもんや。
「おまぁ! おまぁ! おまぁ! お前はぁあああああああああああああああ!」
「うるさいお人やね」
「アンタ! 私の顔を忘れたのぉ! あんなことしといてぇ!」
「?」
全然覚えがないんやけど……。
「ひどい! 酷いわ! 『風紀委員 藤堂正道 最愛の選択 第二部 プロローグ 伊藤ほのかの日常 その一』で出てきた、亜羅死の四天王の一人、覇亜斗よぉ!」
そんなメタ発言されても……。
「いえ、違うわ! アタシはアンタに負けて生まれ変わったの! 復讐の鬼としてね!」
「……」
「アタシはレッドアーミー特攻部隊死神、NEO覇亜斗改めGENBUよ!」
DOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNN!
何やろ……ウチ、暇やないんやけど……。
どうでもええんやけど、ウインクからのあの横ピース、腹立つわ~。
「先手必勝!」
「よっと」
遅い。
あの巨体から繰り出す拳は地面を揺らすほどの威力はあるけど、遅すぎる。あくびが出るわ。
それに長尾はんには遠く及ばへん。
威力もスピードもプレッシャーも。
「ふん!」
「ほっ」
「ふん!」
「よぉ」
「ふん!」
「とぉ」
ぴょんぴょんぴょん。
「はぁ……はぁ……はぁ……きぃいいいいいいいいい! ちょ、ちょこざいなぁ!」
迂闊すぎぃ。
体が大きい分、大量のエネルギーを使うからすぐにスタミナがつきる……んやけど、体力なさ過ぎ。
きっと、今まで一撃で倒せる雑魚しか相手にしなかったから、長期戦になるとすぐに粗が出る。
弱すぎ。
後、ヒステリックに叫べば余計に体力が減るのに……。
「こ、これでどおぉ!」
ブンブンブン。
ヌンチャク?
鉄製の一回り大きいヌンチャクを取り出し、振り回している。
ブルース・リーの五万分の一劣化バージョンのヌンチャクさばきに……寒ぅ。
ヌンチャクを振り回したときに発生する風が冷たい。
「ほぉーほほほほほほほほほほほ! アタシの華麗なるヌンチャクさばきに恐怖して声もでないってわけね! 喰らいなさい!」
キン!
ぼがぁ!
「げへぇ!」
下品な声。
ヌンチャクを木刀で打ち返し、こめかみにヌンチャクをぶつけてやったけど……。
「ふ、ふん! 蚊に刺されたかと思ったわ!」
いや、あんさんの攻撃をそのまま返しただけなんやけど……それに涙目やん。
脂肪の厚さで衝撃を和らげた……って、そんなわけあるかい!
こめかみやで! 脂肪、そこまで関係ないし! やせ我慢?
タフさはあるんやろうけど、少し厄介やね。
たっぱもあるし、木刀が相手の顔を捕らえることができへん。
まずはあの上から目線を地に伏せてやらんと。
下段の構えをとり、地を滑るようにしてすり足でヌンチャクを避けつつ、相手の懐に入る。玄武の利き足の臑に向かって二段突きを放つ。
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!」
下品な悲鳴。品がないし、聞くに耐えられへん。
すぐに黙らせやらんと。
一撃ではダメージがなくても、連続で同じ場所を攻撃すればダメージが通じるはず。
案の定、膝が折れてかがんでいる。
今なら頭を攻撃できる。
今度は印堂に向かって二段突きを叩きつける。
「ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいい!」
玄武はひっくり返り、のたうちまわっている。
一応、トドメさしとこ。
DOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNN!
「ありがとうございましたぁあああああああああああああああああああ!」
これでジ・エンド。
ウチからしてみれば、朱雀も玄武もどっちもどっちやったけど。
朝飯前の運動……夜ご飯前の運動にもならへんかったわ。
ええっと……晩ご飯の買い物、どないしよ。
調味料以外にもお米もなかったような……。
お米、重いしい嫌やわ……こんなとき、藤堂はんが……あかんあかん。
はぁ……これって重傷?
藤堂はんの事ばかり考えてる。自覚していても止められへん。
ほんま、厄介やわ……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまでお読みいただき、ありがとうございます
次回の更新は2022年08月後半です
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「死神の恥じゃねえ?」
「まあ、朱雀は四天王最弱だし!」
「目障りなヤツらが消えて清々するぜ!」
なんか、また面倒くさそうな事に巻き込まれそうな……。
さっさとここを去ろう……面倒ごとはごめんやし……。
「アイツ、『Blue Ruler』の御堂だろ?」
「やっちまうか」
はぁあ……。
あれ、わざとなん?
女の子の名前、間違えるとか……。
「……ウチ、御堂と違います」
「ああん! 嘘つくんじゃねえ!」
「ぶっとばすぞ!」
……腹立つわ~。
相手はひぃふぅみぃ……二十人ちょい。
「覚悟しやがれ、御堂!」
「てめえになりかわって俺達が青島を支配してやる!」
……。
「ぺへぇ!」
「ぽろぉ!」
「しんぺぇ!」
「ぬふぉ!」
「しゅり!」
「げぉ!」
「けふぅ!」
「あん!」
「おふぅ!」
「ほごぅ!」
「みゃ!」
「けふぅん!」
「しゃべぇ!」
「こころぉ!」
「しぎぃ!」
「ふふぅ!」
「おぼぉ!」
「まひぅ!」
「まだぃ!」
「はららぁ!」
……。
「……痛ぇ……マジ痛ぇえ……」
「……ありえ……ねぇ……」
「つ、強すぎる……」
「に、人間じゃねえ……」
「……こ、これが……『Blue Ruler』の御堂かぁ……ぽげぇ!」
なんやろ、さっきの朱雀隊やったっけ? 対して実力の差がなかったんやけど……数が多いだけやん。
それにしても、結構な数が青島に攻め込んできてる。こんなん初めてとちゃう?
物騒な世の中になったもんや。
藤堂はんだけやと、ちょっとしんどかったかも。
別にどうでもええんやけど。
「全く情けないわねぇ! これだから弱い男は嫌いなのよ!」
はぁ……まあ、そうなるわな……。
ボスキャラ登場ってわけね。
「そこの小娘! こっちをお向き!」
「……」
「げぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!」
なんやの、この野太いオネエ系のキャラは……。
それに人の顔見てげぇとか、横山光輝さんかいな。失礼やわ。
今度は大男が現れた。
さっきのSUZAKU? って呼ばれていた男は百七十半ばでスリムな体型やったけど、目の前のオネエは百九十台の藤堂はんよりも更に大きい、二メートル弱。
おすもうさんのように体格のいい……わけではなく、ただの肥満体質のデブ。
しかも、この寒い日にデヘソ出しコーデとか……。
もしかして、これがサービスシーン? ひどいもんや。
「おまぁ! おまぁ! おまぁ! お前はぁあああああああああああああああ!」
「うるさいお人やね」
「アンタ! 私の顔を忘れたのぉ! あんなことしといてぇ!」
「?」
全然覚えがないんやけど……。
「ひどい! 酷いわ! 『風紀委員 藤堂正道 最愛の選択 第二部 プロローグ 伊藤ほのかの日常 その一』で出てきた、亜羅死の四天王の一人、覇亜斗よぉ!」
そんなメタ発言されても……。
「いえ、違うわ! アタシはアンタに負けて生まれ変わったの! 復讐の鬼としてね!」
「……」
「アタシはレッドアーミー特攻部隊死神、NEO覇亜斗改めGENBUよ!」
DOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNN!
何やろ……ウチ、暇やないんやけど……。
どうでもええんやけど、ウインクからのあの横ピース、腹立つわ~。
「先手必勝!」
「よっと」
遅い。
あの巨体から繰り出す拳は地面を揺らすほどの威力はあるけど、遅すぎる。あくびが出るわ。
それに長尾はんには遠く及ばへん。
威力もスピードもプレッシャーも。
「ふん!」
「ほっ」
「ふん!」
「よぉ」
「ふん!」
「とぉ」
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「はぁ……はぁ……はぁ……きぃいいいいいいいいい! ちょ、ちょこざいなぁ!」
迂闊すぎぃ。
体が大きい分、大量のエネルギーを使うからすぐにスタミナがつきる……んやけど、体力なさ過ぎ。
きっと、今まで一撃で倒せる雑魚しか相手にしなかったから、長期戦になるとすぐに粗が出る。
弱すぎ。
後、ヒステリックに叫べば余計に体力が減るのに……。
「こ、これでどおぉ!」
ブンブンブン。
ヌンチャク?
鉄製の一回り大きいヌンチャクを取り出し、振り回している。
ブルース・リーの五万分の一劣化バージョンのヌンチャクさばきに……寒ぅ。
ヌンチャクを振り回したときに発生する風が冷たい。
「ほぉーほほほほほほほほほほほ! アタシの華麗なるヌンチャクさばきに恐怖して声もでないってわけね! 喰らいなさい!」
キン!
ぼがぁ!
「げへぇ!」
下品な声。
ヌンチャクを木刀で打ち返し、こめかみにヌンチャクをぶつけてやったけど……。
「ふ、ふん! 蚊に刺されたかと思ったわ!」
いや、あんさんの攻撃をそのまま返しただけなんやけど……それに涙目やん。
脂肪の厚さで衝撃を和らげた……って、そんなわけあるかい!
こめかみやで! 脂肪、そこまで関係ないし! やせ我慢?
タフさはあるんやろうけど、少し厄介やね。
たっぱもあるし、木刀が相手の顔を捕らえることができへん。
まずはあの上から目線を地に伏せてやらんと。
下段の構えをとり、地を滑るようにしてすり足でヌンチャクを避けつつ、相手の懐に入る。玄武の利き足の臑に向かって二段突きを放つ。
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!」
下品な悲鳴。品がないし、聞くに耐えられへん。
すぐに黙らせやらんと。
一撃ではダメージがなくても、連続で同じ場所を攻撃すればダメージが通じるはず。
案の定、膝が折れてかがんでいる。
今なら頭を攻撃できる。
今度は印堂に向かって二段突きを叩きつける。
「ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいい!」
玄武はひっくり返り、のたうちまわっている。
一応、トドメさしとこ。
DOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNN!
「ありがとうございましたぁあああああああああああああああああああ!」
これでジ・エンド。
ウチからしてみれば、朱雀も玄武もどっちもどっちやったけど。
朝飯前の運動……夜ご飯前の運動にもならへんかったわ。
ええっと……晩ご飯の買い物、どないしよ。
調味料以外にもお米もなかったような……。
お米、重いしい嫌やわ……こんなとき、藤堂はんが……あかんあかん。
はぁ……これって重傷?
藤堂はんの事ばかり考えてる。自覚していても止められへん。
ほんま、厄介やわ……。
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