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兄さんなんて大嫌いです! 朝乃宮千春SIDE
2/1 その三
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「へぇ、やるじゃねえか、御堂! 噂通りの強さだな!」
なんでやねん! 全然似てへん!
声のした方を振り向くと、そこにはサングラスをした男がいた。
黒ジャケットに白のTシャツ、ダメージデニムにバッシュ。
なんやグラビアっぽいポーズ決めとるけど……誰?
「ふっ! 俺のカリスマ性に見とれてるのか、御堂?」
「……」
「バッカ、やめろよ。俺はひっそりと生きていたいっていうか~? 目立ちたくないんだよね、ほんと」
「……」
「えっ? 俺の名前を知りたいって? そんなこと聞いても意味ないだろ? 俺達は敵同士で、お前はここで叩きのめされるんだ。はぁ? それでもいいから知りたいって? しょうがねえな……冥土の土産に教えてやる!」
「……」
「俺はレッドアーミー特攻部隊、『死神』、先駆け隊長、SUZAKUとは俺のことだ!」
BAAAAAAAAAAAAAANNNN!
「……」
変な男が突然黒ジャケットを脱ぎ、Tシャツの裏を両手の親指で指さす。
そこには『邪道』と書かれていた。
……ウチ、こういう阿呆な子、嫌いではないわ~。
ええ笑顔で活き活きとしているし。
後、どうでもええんやけど、信吾はんは昔、学校の制服や体操服のジャージに学校名を入れたりする会社を経営していた。
そのとき、新しい事業としてTシャツに文字をプリントするサービスを始めた。
その名残で倉庫入りしているTシャツを着ている。
ほんま、どうでもええんやけど。
とりあえず……。
「ごほぉ!」
叩きのめした。
ウチの勘が告げてる。このお人と関わると面倒くさいことになる。さっさと潰すに限る。
はぁ……寒い……雑魚過ぎて体が暖まる前に終わってもうた。
けど、この個性的な子に免じて、これ以上のお仕置きは……。
「ふっっかぁああああああああああああああああああああああああああつぅ!」
「ひぃ!」
驚いた! びっくりするわ!
いきなり跳び上がらんといてほしいわ、心臓に悪い。
鼻っ柱叩きのめしたのに、回復早いな。
「この不死身の男、朱雀! フェニックスの如く、ここに見参!」
いや、さっき見参したやん。もうええわ。
朱雀=フェニックス? どうでもええんやけど。
「少し油断したようだが、俺をそこいらの雑魚と一緒にするなよ!」
ジャケットからナイフを取り出した。
刃渡り……6……いや5㎝? 銃刀法違反を意識してる?
刃物やけど、木刀に比べたらリーチは短いし、脅威には……。
「シャアアアアアアアアア!」
キン!
「……人に刃物を投げたらいけませんって教わりませんでした?」
危険なお人……。
ウチが木刀でたたき落とさなかったら、誰かに当たっていたかもしれない。小さい子に当たっていたら……。
冗談では済まされへん。念入りにつぶさんと。
「だが、しかし! ナイフが一本だと誰が言った!」
いえ、誰も言ってへん。調子狂うわ……。
ウチは意識を集中させ、目の前の男を観察する。
いちいち報告してくるってことは、数は用意してきたと考えて行動するべき。
今度も躊躇なくナイフを投げつけてくる。
キン!
「何度やっても無駄です。観念して病院のお世話になり。今なら三ヶ月程度の怪我で退院できるようにしますから」
すぐそこに病院があるし、早めに治療して貰えるやろ。
とりあえず、ナイフは誰にも当たらんよう地面にたたき落とすことにした。
「しゃあねえな……これは全国制覇するまで隠しておきたかったんだが、お前の大道芸に免じて見せてやる! 必ず殺すと書いて必・殺! 技!」
「!」
バキッ!
木刀が……折れた?
ナイフをたたき落としたつもりやったけど、ナイフが木刀に当たった瞬間、今までとは違う衝撃が木刀全体を突き抜け、破壊されてもうた。
後ろに視線を送ると、ナイフが二本、地面に落ちている。
「……あんさん、サーカスで働いた方がええんとちゃいます。ナイフを二本、同じ軌道に投げるやなんて」
「ふっ! 流石は『Blue Ruler』の御堂! 敵ながらあっぱれと褒めておこう! 俺の両手投げを見破るとはな!」
だからちゃうちゅーねん。
二本のナイフを同じ軌道に投げることで、まず、一本目が木刀の刀身に当たってはじかれる前に、もう一本のナイフが最初に投げたナイフの柄尻に当たってはじかれることなく、押し出すことで貫通力を生み出し、木刀の刀身を粉砕した……って、自分で説明しておいて、テニヌ級の神業ちゃうんとツッコんでしまうわ!
これ、絶対エビデンス無理なヤツ!
けど、手品のタネが分かれば対応策はある。
「御堂! てめえを倒せば、俺の株はあがり、ナンバー入りは確実だ! 俺のサクセスストーリーのキャストとして語り継いでやる! 看護婦さんに優しく看護してもらいな!」
ブン!
「な、なんだとぉおおおおおおおおおおお!」
「一つ忠告させてもらいますけど、ネタのバレた手品は二度見せるものやありませんえ」
ナイフが木刀の刀身に当たると砕けるのやったら、当たらなければいい。
木刀の素振りで生み出す風圧でナイフを防げば……って、ウチも大概やな。
「くっ、くそ!」
これ以上は面倒やし、一気にケリをつける!
木刀を男に向けて投げつける。
「おおっと!」
ナイフ投げを中断し、避けた為、体勢を崩している。その隙にウチは瞬時に距離を詰め、まずは掌底!
「ぐほぉ!」
鳩尾に一撃。
「がはぁ!」
新しい木刀で顎を斬り上げ。
「ほごぉ!」
斬り上げた動作から体を回転させ、その遠心力でもう一度顎を斬り上げる。
鳩尾と顎の急所三連撃。
「ううぅ……ぐぉ……ま、まだだ……まだ……俺は終わってない……終われないんだ……」
ウチの攻撃を受けて立ち上がったのは感心したけど、雑魚には変わりない。それに足がぶるぶる震えて力入ってない。
藤堂はんでも、もう少し手応えはあるんやけど。
「看護師さんに看護されるのはあんさんでしたな」
おいたできひんよう、まずは指の骨を折って、次は足。最後は脇腹で許したる。
「ごほぉ! がぁ! ぐはぁあああああああああああああああ!」
はい、処刑終了。
「ひでぇ……あの女、鬼だ……」
か弱い女の子相手に複数人で襲いかかってきて、刃物投げつけておいて何を言っているのやら。
ほな、帰ろう……。
あっ、醤油残ってたっけ?
信吾はん、湯水の如く使うからなくなりが早い。あれ、やめてほしいんやけど、藤堂はんにお願いして……って、喧嘩してるんやった。
はぁ……憂鬱や……。
なんでやねん! 全然似てへん!
声のした方を振り向くと、そこにはサングラスをした男がいた。
黒ジャケットに白のTシャツ、ダメージデニムにバッシュ。
なんやグラビアっぽいポーズ決めとるけど……誰?
「ふっ! 俺のカリスマ性に見とれてるのか、御堂?」
「……」
「バッカ、やめろよ。俺はひっそりと生きていたいっていうか~? 目立ちたくないんだよね、ほんと」
「……」
「えっ? 俺の名前を知りたいって? そんなこと聞いても意味ないだろ? 俺達は敵同士で、お前はここで叩きのめされるんだ。はぁ? それでもいいから知りたいって? しょうがねえな……冥土の土産に教えてやる!」
「……」
「俺はレッドアーミー特攻部隊、『死神』、先駆け隊長、SUZAKUとは俺のことだ!」
BAAAAAAAAAAAAAANNNN!
「……」
変な男が突然黒ジャケットを脱ぎ、Tシャツの裏を両手の親指で指さす。
そこには『邪道』と書かれていた。
……ウチ、こういう阿呆な子、嫌いではないわ~。
ええ笑顔で活き活きとしているし。
後、どうでもええんやけど、信吾はんは昔、学校の制服や体操服のジャージに学校名を入れたりする会社を経営していた。
そのとき、新しい事業としてTシャツに文字をプリントするサービスを始めた。
その名残で倉庫入りしているTシャツを着ている。
ほんま、どうでもええんやけど。
とりあえず……。
「ごほぉ!」
叩きのめした。
ウチの勘が告げてる。このお人と関わると面倒くさいことになる。さっさと潰すに限る。
はぁ……寒い……雑魚過ぎて体が暖まる前に終わってもうた。
けど、この個性的な子に免じて、これ以上のお仕置きは……。
「ふっっかぁああああああああああああああああああああああああああつぅ!」
「ひぃ!」
驚いた! びっくりするわ!
いきなり跳び上がらんといてほしいわ、心臓に悪い。
鼻っ柱叩きのめしたのに、回復早いな。
「この不死身の男、朱雀! フェニックスの如く、ここに見参!」
いや、さっき見参したやん。もうええわ。
朱雀=フェニックス? どうでもええんやけど。
「少し油断したようだが、俺をそこいらの雑魚と一緒にするなよ!」
ジャケットからナイフを取り出した。
刃渡り……6……いや5㎝? 銃刀法違反を意識してる?
刃物やけど、木刀に比べたらリーチは短いし、脅威には……。
「シャアアアアアアアアア!」
キン!
「……人に刃物を投げたらいけませんって教わりませんでした?」
危険なお人……。
ウチが木刀でたたき落とさなかったら、誰かに当たっていたかもしれない。小さい子に当たっていたら……。
冗談では済まされへん。念入りにつぶさんと。
「だが、しかし! ナイフが一本だと誰が言った!」
いえ、誰も言ってへん。調子狂うわ……。
ウチは意識を集中させ、目の前の男を観察する。
いちいち報告してくるってことは、数は用意してきたと考えて行動するべき。
今度も躊躇なくナイフを投げつけてくる。
キン!
「何度やっても無駄です。観念して病院のお世話になり。今なら三ヶ月程度の怪我で退院できるようにしますから」
すぐそこに病院があるし、早めに治療して貰えるやろ。
とりあえず、ナイフは誰にも当たらんよう地面にたたき落とすことにした。
「しゃあねえな……これは全国制覇するまで隠しておきたかったんだが、お前の大道芸に免じて見せてやる! 必ず殺すと書いて必・殺! 技!」
「!」
バキッ!
木刀が……折れた?
ナイフをたたき落としたつもりやったけど、ナイフが木刀に当たった瞬間、今までとは違う衝撃が木刀全体を突き抜け、破壊されてもうた。
後ろに視線を送ると、ナイフが二本、地面に落ちている。
「……あんさん、サーカスで働いた方がええんとちゃいます。ナイフを二本、同じ軌道に投げるやなんて」
「ふっ! 流石は『Blue Ruler』の御堂! 敵ながらあっぱれと褒めておこう! 俺の両手投げを見破るとはな!」
だからちゃうちゅーねん。
二本のナイフを同じ軌道に投げることで、まず、一本目が木刀の刀身に当たってはじかれる前に、もう一本のナイフが最初に投げたナイフの柄尻に当たってはじかれることなく、押し出すことで貫通力を生み出し、木刀の刀身を粉砕した……って、自分で説明しておいて、テニヌ級の神業ちゃうんとツッコんでしまうわ!
これ、絶対エビデンス無理なヤツ!
けど、手品のタネが分かれば対応策はある。
「御堂! てめえを倒せば、俺の株はあがり、ナンバー入りは確実だ! 俺のサクセスストーリーのキャストとして語り継いでやる! 看護婦さんに優しく看護してもらいな!」
ブン!
「な、なんだとぉおおおおおおおおおおお!」
「一つ忠告させてもらいますけど、ネタのバレた手品は二度見せるものやありませんえ」
ナイフが木刀の刀身に当たると砕けるのやったら、当たらなければいい。
木刀の素振りで生み出す風圧でナイフを防げば……って、ウチも大概やな。
「くっ、くそ!」
これ以上は面倒やし、一気にケリをつける!
木刀を男に向けて投げつける。
「おおっと!」
ナイフ投げを中断し、避けた為、体勢を崩している。その隙にウチは瞬時に距離を詰め、まずは掌底!
「ぐほぉ!」
鳩尾に一撃。
「がはぁ!」
新しい木刀で顎を斬り上げ。
「ほごぉ!」
斬り上げた動作から体を回転させ、その遠心力でもう一度顎を斬り上げる。
鳩尾と顎の急所三連撃。
「ううぅ……ぐぉ……ま、まだだ……まだ……俺は終わってない……終われないんだ……」
ウチの攻撃を受けて立ち上がったのは感心したけど、雑魚には変わりない。それに足がぶるぶる震えて力入ってない。
藤堂はんでも、もう少し手応えはあるんやけど。
「看護師さんに看護されるのはあんさんでしたな」
おいたできひんよう、まずは指の骨を折って、次は足。最後は脇腹で許したる。
「ごほぉ! がぁ! ぐはぁあああああああああああああああ!」
はい、処刑終了。
「ひでぇ……あの女、鬼だ……」
か弱い女の子相手に複数人で襲いかかってきて、刃物投げつけておいて何を言っているのやら。
ほな、帰ろう……。
あっ、醤油残ってたっけ?
信吾はん、湯水の如く使うからなくなりが早い。あれ、やめてほしいんやけど、藤堂はんにお願いして……って、喧嘩してるんやった。
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