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兄さんなんて大嫌いです! 朝乃宮千春SIDE
2/1 その二
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「……朝乃宮さん……朝乃宮さん」
「……」
……んん……。
少しのだるさと倦怠感を覚えながら体を起こす。
いつの間にか日が暮れようとしていた。
病室の窓から夕日が入り込み、病室を赤く染めている。
ウチ、泣き疲れて寝てももうた……。
普段眠りが浅くてなかなか寝付けないのに……よほど参っていたみたい。
原因は分かってる。
人のこと、ここまでかき乱すなんて、ほんま厄介なお人……。
「もうすぐ面会時間が過ぎるわよ」
「……帰ります」
看護婦の三森さんが声をかけてくれる。
三村さんは陽菜の見舞いに通い続けているうちに顔見知りになった。
ウチは最後に陽菜に。
「また来ます」
挨拶して病室を出ようとしたとき。
「大丈夫? 疲れが顔に出ているわよ」
「ええっ、大丈夫です」
心配してくれる三村さんに笑顔で問題ないと伝える。
「もしかして、例の彼?」
「え……ええぇ、まぁ……」
女が二人以上集まれば、恋バナは必然で……つい、彼氏がいると言ってしまった。
勿論、ウソやけど。
「朝乃宮さんも大変よね。その彼氏、頭が固くていつも正論ばかり言うのに、追い詰められたら女々しくて言い訳ばかりで、逃げてばかり。そのくせ、離れようとするとしつこくつきまとってくる……私には理解できないけど、どこを好きになったの?」
「まあ、その……いいところもありますし……」
ほんま、どこを好きになったんやろう……。
「そうよね、ごめん。彼の事、悪く言ううつもりはないんだけど、朝乃宮さんの将来が心配で……」
「……」
脳内彼氏のいいところよりも、ある人物の愚痴を言い過ぎてしまったせいで、ダメな男を好きになる女が出来上がってしまった。
けど、そのおかげ(?)で信憑性が出てきて、三村さんは信用してもらえたんやけど……。
これも因果応報?
「今度こそ彼氏を連れてきてね。朝乃宮さんがどんな人を好きになったのか知りたいし」
「……いずれそのうち……」
これ以上はボロがでそうやし、さっさと帰ろ。今日は藤堂はんのこと、話したくないし……。
三村さんに挨拶し、その場から離れた。
病院の外に出ると、冬の風が容赦なく吹き付けてくる。
寒ぅ! 一人きりやし、余計に寒く感じる。
こういう嫌なことがあったとき、クリーム大福、クリームフルーツあんみつ等の甘い物を食べたら元気になれるんやけど……なんか、お腹がすかないというか、そんな気にならへん……。
これってかなり重傷? ウチってそこまで藤堂はんの事を?
余計に気が滅入ってきた……もう傍観者やいられへん……ウチも藤堂はんと喧嘩してもうたし……許してくれはるやろうか……ウチのこと……。
あかん……また涙があふれて……。
「はぁ……はぁ……はぁ……こ、ここまで来れば追ってこないだろう」
「ったく、あのババア。下手しやがって」
「……」
どうでもええんやけど、女性をババアっていう男、嫌いやわ。そういう男は大抵、イケメンやないし、見てて腹立つ。
不愉快やし、さっさとここから離れよう……。
「それにしても藤堂の野郎……ムカつくよな。女の前だからって格好つけやがって……」
藤堂? 女? 格好つけている?
ムカッ!
人がこんなに悩んでるのに、他の女の子の前で格好つけているとか……。
そういえば、咲、買い物行くって言ってたけど、連絡して一緒に帰ろっかな。
「どうする? このままだと、俺達の居場所が……」
「大丈夫だ。あの人が藤堂をぶっ倒すために兵士を送り込んでくれたからな。俺達もその中に加われば、藤堂をボコれるってわけよ! そうすれば汚名返上だ!」
「見てろよ、藤堂……あのスカした面、ぶっ潰してやる!」
自業自得……。
喧嘩ばかりしてるから、恨みを買う。
自警団ごっこばかりしてないで、少しは身近な女の子のこと考えなさい。
咲の事とか! ウチの事とか! ウチの事とか!
「おい……あの女……こっち見てねえか?」
「アイツ、もしかして……」
聞き耳を立てすぎたみたい。すぐにここから離れんと……。
もしかして、ウチのこと知られてる? 風紀委員つながりで顔が知られているとか?
もし、喧嘩を売られたら……。
「俺に気があるんじゃねえ?」
「……」
考えすぎみたい……。
余計な事に関わりたくないし、もうここから離れよ……。
一応、橘はんに知らせてあげんと……そうすれば、藤堂はんにも伝わるやろ。
「よう、姉ちゃん。俺さ、清楚なのにおっぱい大きい子、モロにドストライクなんだよね~。ケツも引き締まってるし、そそるんだわ。一緒にホテルにいかない?」
ぞくっ!
鳥肌が……。
「お、おい! 何考えてるんだ! これから私刑に行くんだろ? 女と遊んでいる場合か?」
「俺、分かるんだよね。寂しい女って言うの? ヤレる女ってヤツが。まだ本隊が来るには時間があるだろ? 景気づけに3Pやろうぜ」
「仕方ねえな~」
男のむき出しの性欲ほどおぞましいものはない。
生の感情を向けられて、吐き気がしてきた。
「……一応警告しますけど、さっさとウチの前から消えてくれます? お互いの為にも」
「ああん! てめえは俺とホテルにイクって事は決定事項……ぐはぁ!」
「ぐげぇ!」
ふぅ……ウチも丸くなったもんや。
DQN相手にわざわざ注意喚起してあげるやなんて。
男の人ってほんま、怖い……。
本気で女を力尽くで抱けると疑ってもいないところがゾッとする。
今のご時世、ナンパを無視しただけで路上に押し倒して体を触る事件が起こってるし、用心せな。
さっさと咲にLINEで連絡して……。
「お、おい! アイツら、やられてるぞ!」
「やったのは、あの女か!」
はぁ……面倒くさいことになりそう……。
男が十人、こちらにやってくる。そこで地面にのたまっている変質者達のツレやろうか?
けど、さっきと話し違うやん。
もっと時間かかるはずやなかったん?
「お前か! 俺達の仲間をやったのは!」
「てめえ! 俺達がレッドアーミーと知って、喧嘩売ってるのか、こら!」
知らんがな。
レッドアーミー? なんやったっけ?
ああっ……思い出した……そういえば、このグループのせいで、青島西中と野球するハメになった……。
思い出しただけで腹が立ってきた。
けど、関わるのやめとこ。ウチにとって、今の問題は藤堂はんのことやし。
ここは適当に相手して去ろ。
「正当防衛です。そのお人達がウチを無理矢理ホテルに連れて行こうとしたので抵抗……」
「ち、ちげえよ! ソイツ! 俺がレッドアーミーの一員だって知ったら、いきなり木刀で殴ってきたんだ! 不意打ちしてきた卑怯者だ! 敵だ!」
何言ってるん、この人?
もしかして、女の子に負けたから言い繕う為のウソ?
ほんま小さくて情けない人……。
「そういうことか……てめえは青島のチームのヤツらか。だったら、遠慮はいらねえ! 叩きのめしてやる!」
「俺達レッドアーミーはこの青島を支配するチームだ! 青島の不良を見かけたら即ボコるんで仲間に伝えておけ! 後、逃げられると思うなよ! 逃げたらソイツの仲間や家族ボコって居場所、吐かせるからな!」
「……」
ウチ、この件に関しては積極的に関わろうとはしないと決めていた。もし……まあ、助けがいるとは思わへんけど、藤堂はんが危なくなったら手助けくらいはしてあげようと思ってた。
けど、あかんわ……この子ら、地雷踏んだわ……。
人の話を聞かずに、暴力で訴える輩。
別に藤堂はんに賛同するつもりはないけど、こうも一方的に、しかも女の子に手をあげるのは……。
どくん!
最低。
どくん! どくん!
こんな輩が青島をウロウロされて、もし咲と鉢合わせになったら……。
どくん! どくん! どくん!
逆恨みで咲に手を出されたら……。
どくん! どくん! どくん! どくん! どくん! どくん!
あかん。この人達にはお帰りいただかんと……もう二度とおこしいただかないよう体に教えんと……。
誰に喧嘩売ってるのか、教えてさしあげないと……。
「ビビってるのか? けど、許してやらねえ……うごぉ!」
「げはぁ!」
「あばぁ!」
「ごほぉ!」
「くひぃ!」
「んがぁ!」
「ぺはぅ!」
「あぁ!」
「ほぉ!」
「ぴぃ!」
……。
「い、痛てぇ……マジ……痛てぇよ……がはぁ!」
「や、やめ……げぇはぁ!」
「な、なんだ、この女……つぇえ……ぐほぉ!」
「しゃ……洒落になってねぇ……だはぁ!」
「……これからは喧嘩売るなら相手を選び」
臑、鳩尾、顎を木刀で叩きつけた。何人かは骨にヒビくらいは入ったかも。
勿論、これで許す気はない。
ああ、分かってます……まだ、血を吸いたりへんやね……この子は……。
ウチはそっと木刀を撫でる。まだ、真っ赤な血で染まってへん……もっと、吸わせてあげへんと……。
何人かは後遺症が残るかもしれへんけど、それは仕方ないこと。
だって、咲に危害を加えようとする可能性があるから放っておけへんし。
二度とこの青島の地を踏まんように体に刻み込まないと……。
「てめえは……てめえは……もしかして……」
「……」
「『Blue Ruler』の御堂か!」
「……」
「ごほぉあ!」
失礼な!
ほんま、男って何でこうデリカシーがないの?
女を怒らせたいの? それ芸か何かなん?
あの男もそうや……。
藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂!
ムカッあああああああああああああとしてきたわ!
もうもうもう!
「……」
……んん……。
少しのだるさと倦怠感を覚えながら体を起こす。
いつの間にか日が暮れようとしていた。
病室の窓から夕日が入り込み、病室を赤く染めている。
ウチ、泣き疲れて寝てももうた……。
普段眠りが浅くてなかなか寝付けないのに……よほど参っていたみたい。
原因は分かってる。
人のこと、ここまでかき乱すなんて、ほんま厄介なお人……。
「もうすぐ面会時間が過ぎるわよ」
「……帰ります」
看護婦の三森さんが声をかけてくれる。
三村さんは陽菜の見舞いに通い続けているうちに顔見知りになった。
ウチは最後に陽菜に。
「また来ます」
挨拶して病室を出ようとしたとき。
「大丈夫? 疲れが顔に出ているわよ」
「ええっ、大丈夫です」
心配してくれる三村さんに笑顔で問題ないと伝える。
「もしかして、例の彼?」
「え……ええぇ、まぁ……」
女が二人以上集まれば、恋バナは必然で……つい、彼氏がいると言ってしまった。
勿論、ウソやけど。
「朝乃宮さんも大変よね。その彼氏、頭が固くていつも正論ばかり言うのに、追い詰められたら女々しくて言い訳ばかりで、逃げてばかり。そのくせ、離れようとするとしつこくつきまとってくる……私には理解できないけど、どこを好きになったの?」
「まあ、その……いいところもありますし……」
ほんま、どこを好きになったんやろう……。
「そうよね、ごめん。彼の事、悪く言ううつもりはないんだけど、朝乃宮さんの将来が心配で……」
「……」
脳内彼氏のいいところよりも、ある人物の愚痴を言い過ぎてしまったせいで、ダメな男を好きになる女が出来上がってしまった。
けど、そのおかげ(?)で信憑性が出てきて、三村さんは信用してもらえたんやけど……。
これも因果応報?
「今度こそ彼氏を連れてきてね。朝乃宮さんがどんな人を好きになったのか知りたいし」
「……いずれそのうち……」
これ以上はボロがでそうやし、さっさと帰ろ。今日は藤堂はんのこと、話したくないし……。
三村さんに挨拶し、その場から離れた。
病院の外に出ると、冬の風が容赦なく吹き付けてくる。
寒ぅ! 一人きりやし、余計に寒く感じる。
こういう嫌なことがあったとき、クリーム大福、クリームフルーツあんみつ等の甘い物を食べたら元気になれるんやけど……なんか、お腹がすかないというか、そんな気にならへん……。
これってかなり重傷? ウチってそこまで藤堂はんの事を?
余計に気が滅入ってきた……もう傍観者やいられへん……ウチも藤堂はんと喧嘩してもうたし……許してくれはるやろうか……ウチのこと……。
あかん……また涙があふれて……。
「はぁ……はぁ……はぁ……こ、ここまで来れば追ってこないだろう」
「ったく、あのババア。下手しやがって」
「……」
どうでもええんやけど、女性をババアっていう男、嫌いやわ。そういう男は大抵、イケメンやないし、見てて腹立つ。
不愉快やし、さっさとここから離れよう……。
「それにしても藤堂の野郎……ムカつくよな。女の前だからって格好つけやがって……」
藤堂? 女? 格好つけている?
ムカッ!
人がこんなに悩んでるのに、他の女の子の前で格好つけているとか……。
そういえば、咲、買い物行くって言ってたけど、連絡して一緒に帰ろっかな。
「どうする? このままだと、俺達の居場所が……」
「大丈夫だ。あの人が藤堂をぶっ倒すために兵士を送り込んでくれたからな。俺達もその中に加われば、藤堂をボコれるってわけよ! そうすれば汚名返上だ!」
「見てろよ、藤堂……あのスカした面、ぶっ潰してやる!」
自業自得……。
喧嘩ばかりしてるから、恨みを買う。
自警団ごっこばかりしてないで、少しは身近な女の子のこと考えなさい。
咲の事とか! ウチの事とか! ウチの事とか!
「おい……あの女……こっち見てねえか?」
「アイツ、もしかして……」
聞き耳を立てすぎたみたい。すぐにここから離れんと……。
もしかして、ウチのこと知られてる? 風紀委員つながりで顔が知られているとか?
もし、喧嘩を売られたら……。
「俺に気があるんじゃねえ?」
「……」
考えすぎみたい……。
余計な事に関わりたくないし、もうここから離れよ……。
一応、橘はんに知らせてあげんと……そうすれば、藤堂はんにも伝わるやろ。
「よう、姉ちゃん。俺さ、清楚なのにおっぱい大きい子、モロにドストライクなんだよね~。ケツも引き締まってるし、そそるんだわ。一緒にホテルにいかない?」
ぞくっ!
鳥肌が……。
「お、おい! 何考えてるんだ! これから私刑に行くんだろ? 女と遊んでいる場合か?」
「俺、分かるんだよね。寂しい女って言うの? ヤレる女ってヤツが。まだ本隊が来るには時間があるだろ? 景気づけに3Pやろうぜ」
「仕方ねえな~」
男のむき出しの性欲ほどおぞましいものはない。
生の感情を向けられて、吐き気がしてきた。
「……一応警告しますけど、さっさとウチの前から消えてくれます? お互いの為にも」
「ああん! てめえは俺とホテルにイクって事は決定事項……ぐはぁ!」
「ぐげぇ!」
ふぅ……ウチも丸くなったもんや。
DQN相手にわざわざ注意喚起してあげるやなんて。
男の人ってほんま、怖い……。
本気で女を力尽くで抱けると疑ってもいないところがゾッとする。
今のご時世、ナンパを無視しただけで路上に押し倒して体を触る事件が起こってるし、用心せな。
さっさと咲にLINEで連絡して……。
「お、おい! アイツら、やられてるぞ!」
「やったのは、あの女か!」
はぁ……面倒くさいことになりそう……。
男が十人、こちらにやってくる。そこで地面にのたまっている変質者達のツレやろうか?
けど、さっきと話し違うやん。
もっと時間かかるはずやなかったん?
「お前か! 俺達の仲間をやったのは!」
「てめえ! 俺達がレッドアーミーと知って、喧嘩売ってるのか、こら!」
知らんがな。
レッドアーミー? なんやったっけ?
ああっ……思い出した……そういえば、このグループのせいで、青島西中と野球するハメになった……。
思い出しただけで腹が立ってきた。
けど、関わるのやめとこ。ウチにとって、今の問題は藤堂はんのことやし。
ここは適当に相手して去ろ。
「正当防衛です。そのお人達がウチを無理矢理ホテルに連れて行こうとしたので抵抗……」
「ち、ちげえよ! ソイツ! 俺がレッドアーミーの一員だって知ったら、いきなり木刀で殴ってきたんだ! 不意打ちしてきた卑怯者だ! 敵だ!」
何言ってるん、この人?
もしかして、女の子に負けたから言い繕う為のウソ?
ほんま小さくて情けない人……。
「そういうことか……てめえは青島のチームのヤツらか。だったら、遠慮はいらねえ! 叩きのめしてやる!」
「俺達レッドアーミーはこの青島を支配するチームだ! 青島の不良を見かけたら即ボコるんで仲間に伝えておけ! 後、逃げられると思うなよ! 逃げたらソイツの仲間や家族ボコって居場所、吐かせるからな!」
「……」
ウチ、この件に関しては積極的に関わろうとはしないと決めていた。もし……まあ、助けがいるとは思わへんけど、藤堂はんが危なくなったら手助けくらいはしてあげようと思ってた。
けど、あかんわ……この子ら、地雷踏んだわ……。
人の話を聞かずに、暴力で訴える輩。
別に藤堂はんに賛同するつもりはないけど、こうも一方的に、しかも女の子に手をあげるのは……。
どくん!
最低。
どくん! どくん!
こんな輩が青島をウロウロされて、もし咲と鉢合わせになったら……。
どくん! どくん! どくん!
逆恨みで咲に手を出されたら……。
どくん! どくん! どくん! どくん! どくん! どくん!
あかん。この人達にはお帰りいただかんと……もう二度とおこしいただかないよう体に教えんと……。
誰に喧嘩売ってるのか、教えてさしあげないと……。
「ビビってるのか? けど、許してやらねえ……うごぉ!」
「げはぁ!」
「あばぁ!」
「ごほぉ!」
「くひぃ!」
「んがぁ!」
「ぺはぅ!」
「あぁ!」
「ほぉ!」
「ぴぃ!」
……。
「い、痛てぇ……マジ……痛てぇよ……がはぁ!」
「や、やめ……げぇはぁ!」
「な、なんだ、この女……つぇえ……ぐほぉ!」
「しゃ……洒落になってねぇ……だはぁ!」
「……これからは喧嘩売るなら相手を選び」
臑、鳩尾、顎を木刀で叩きつけた。何人かは骨にヒビくらいは入ったかも。
勿論、これで許す気はない。
ああ、分かってます……まだ、血を吸いたりへんやね……この子は……。
ウチはそっと木刀を撫でる。まだ、真っ赤な血で染まってへん……もっと、吸わせてあげへんと……。
何人かは後遺症が残るかもしれへんけど、それは仕方ないこと。
だって、咲に危害を加えようとする可能性があるから放っておけへんし。
二度とこの青島の地を踏まんように体に刻み込まないと……。
「てめえは……てめえは……もしかして……」
「……」
「『Blue Ruler』の御堂か!」
「……」
「ごほぉあ!」
失礼な!
ほんま、男って何でこうデリカシーがないの?
女を怒らせたいの? それ芸か何かなん?
あの男もそうや……。
藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂藤堂!
ムカッあああああああああああああとしてきたわ!
もうもうもう!
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