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兄さんなんて大嫌いです! 朝乃宮千春SIDE
1/29 後編
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「橘はん、話があるんやけど」
「面倒ごとは勘弁して欲しいんだけど……朝乃宮姫」
咲と分かれた後、風紀委員室にいる橘はんに声をかける。
橘左近。
藤堂と並ぶ朝乃宮家の直系の一つの家系。
橘の役割は実力行使。
法や警察では対処できない案件を処理するスペシャリスト。
ヤクザ顔負けの行為と徹底した隠蔽工作。
業界では○○と『橘』には手を出すなと囁かれている。
常々思うんやけどこのお人、いつも何の仕事してはるん? 朝から晩まで机に向かってパソコンを触って何の意味があるの?
「簡単なことです。もっと咲に優しくするよう、あの石頭に言い聞かせてもらえません?」
「はぁ……ただの兄妹喧嘩でしょ? 分家の子を贔屓するのは本家の人間として示しがつかないでしょ?」
「咲はウチにとって大事な妹です。誰になんと言われようがウチが咲を護ります」
「キミのお父上が相手でも?」
ぞくぅ!
「……」
「ごめん。あのお方には誰も逆らえないね」
ウチの父様……いえ、御館様……。
その名を聞くだけで全身の肌が粟立つ。おぞましい記憶が蘇る。
あの暗闇……痩せ細った手……蛇のような目……。
震えが止まらない……頭痛がする……足に力が入らない……倒れないようにするのが精一杯……。
「ごめん、僕が悪かった。お詫びに正道と話してみるよ。どれほど効果があるか分からないけど」
「……お願いします」
ここでやることは終わった。
ウチは顔に出ないよう、すました顔で風紀委員室を出る。
冷や汗が止まらない……。
恐ろしい……。
「それと、これは未確定情報だけど、レッドアーミーが近々大きな動きを見せるかも」
「大きな動き?」
「攻め込んでくるかもしれないってこと。標的は正道だろうね」
「……それが?」
自業自得。
「そうなんだ……まあ、いいんだけど、朝乃宮姫はせいぜい上春さんを守っていればいいんじゃない? 僕らの邪魔さえしなかったらそれでいいよ」
「そうさせていただきます」
ウチはごっご遊びに興味ない。
あるのは身内の安全のみ。咲の安全を最優先にする。
それが今も眠ったままの陽菜に誓ったことだから。
「朝乃宮を怒らせない方がいい」
はぁ……。
放課後、ウチは風紀委員室で聞き耳を立てていた。
橘はんがちゃんと藤堂はんのこと、対応してくれているか確認しにきたんやけど、案の定、ウチの悪口話してる。
ヒトが自分の事をどう思っているのか?
複数確かめる方法があるけど、そのうちの一つに、本人のいないところでどう評価しているかで判明する。
昼間の事、少し怒らせたみたいやね。それに青島西中の時も木刀で攻撃したことも根に持ってそう。
橘は実力主義でプライドが高い。
今の橘はんにとって、ウチは目の上のこぶ。好かれてはへんやろうね。
けど、だからって何も藤堂はんを巻き込むのはいただけへん。
これは本格的に対立……。
「その必要はないだろ?」
えっ?
「俺は朝乃宮を信じている。アイツは味方だ」
……。
ま、まあ、今日は藤堂はんに免じて聞かんかったことにしとくわ。
「信じるね……正道。朝乃宮のこと、何も……」
ドン!
橘はん。
ウチは譲歩したつもり。
それ以上は野暮ってもん。
別の話題になったことを確認した後、ウチはそっと風紀委員室を後にする。
「朝乃宮さん?」
「こんにちは、氷室はん」
廊下を歩いていると、生徒会長の氷室朝人はんと出会った。
氷室朝人。
現生徒会長でウチと同じ二年。
青島の市長のご子息でイケメン。バスケ部のエース。
押水はんの事があって、生徒会長は男性である氷室はんに集まった。
ウチは元々副会長で立候補してるし、被ることはなかったけど、もし、生徒会長に立候補してたら負けてたかも。
「何かいいことでもあったのかい? 朝と比べて機嫌がよさそうだけど」
「……少しええことがありまして」
「そう、よかったね。もし、悩みがあるなら言ってよ。相談に乗るからさ」
あの唐変木も少しくらい優しくしてくれたらええのに。
「おおきに。そういえば、市のイベントがありますけど、生徒会は参加しますの?」
「市のイベント? ああっ、子供会のことか。別にいいよ、参加しなくても。休みの日まで活動したくないでしょ? それに風紀委員が仕切っているんだから勝手にすればいい」
「……」
風紀委員のこととなると、冷たい態度を見せる。目に怨念に近いモノをはらんでる。
少し注意せんと……。
「あっ、ごめん。朝乃宮さんのこと、悪く言うつもりはないんだ。それより、考えてくれた?」
「……ウチと咲が風紀委員を辞めて、生徒会一本でやっていくってこと? 委員は一応任期がありますし……」
「でも、強制ではない。やめたければ、別の委員に入ることを条件で抜けれるでしょ? キミのような逸材が不良のたまり場である風紀委員に所属するのは青島高の過失だよ」
そこまで言う?
正直、悪口ばかり言う人はあまり好きやない。
「考えておきます」
「いい返事を待っているよ」
氷室はんは去り際に手を上げていった。
ウチ、あの人苦手やわ。けど、このイケメンを敵に回すのは得策やない。
咲に飛び火するかもしれんし……。
このままやと……風紀委員の天敵になるかも。
敵は内にも外にもいる。
そんな中で、咲をどう護る?
その一点に限る……って思ってたんやけど、藤堂はんにあんなこと言われたらな……無視するわけにはいかへん。
けど、橘はんの反感買うのは面倒やし、藤堂はんだけ手が空いてたら手助けくらいは考えておこ。
気分ええし。
トントントントン。
「……」
「……」
今日の晩ご飯当番、ウチと藤堂はん。
話をするにはちょうどええ……けど、話すタイミングが……。
「……」
「……」
会話がない。最悪……。
今日の献立はタラ鍋。
喧嘩中に鍋とかどんだけチャレンジャーやねん。空気よめへんにもほどがある。
それにしても視線を感じる……。
ウチと一緒に食事を作るとき、藤堂はんはよくウチの動きを……料理する手順を観察してくる。若干引く。
この男、ほんま小さいし……負けず嫌い……。
ウチは六歳の時から料理洗濯掃除裁縫着付乗馬華道書道茶道舞道香道医道柔道剣道合気道五斗米道まで花嫁修業をしてきた女。
たかが一、二年だけのにわかとは違う!
けど、なんでやろう……見られるのが恥ずかしいというか……。
「! 痛っ!」
やってもうた!
なんたるイージーミス! ウチが包丁で指を切るなんて! 格好悪い!
こんな姿、藤堂はんには絶対に見られたく……。
「見せてみろ」
「!」
えっ?
藤堂はんがウチの手を……。
胸がドキドキして……苦しい……。
「……別にたいしたことありません。水で洗って絆創膏を……!!!!!!!!」
はぁああああああああああああああああああああああ!
舐めた! ウチの指、舐めた!
「藤堂はん……」
「んん……」
バシュ!
「ぶほぉ!」
「藤堂はん……血を口で吸っても止血効果はありませんし、逆に菌が入りますので、逆効果です。水で洗って絆創膏していれば問題ありませんから」
ウチは指を押さえながら、すぐに台所を飛び出した。
ウチはタブレットのロックを解除し、グループチャットアプリ『お友達Talk』を起動。
グループリストの中から『今夜の献立倶楽部』をタッチ。
早速、書き込み。
『質問です。これはあくまで一般的な現代社会における客観的で常識的な意見として冷静なご意見をいただきたいのですが、怪我した女の子を指ペロする男は、その女の子に恋してますよね?』
……。
「ただいま~。あれ、ちーちゃん。正座して何をしてるの?」
「咲。黙ってて」
「う、うん……ちーちゃん、怖い……」
「……」
「……」
「咲」
「なに~ちーちゃん? 機嫌なおった?」
「部屋を出て行ってくれはる?」
「うわぁあああああん~~~! 私の部屋なのに~~~! ちーちゃんのバカぁ~~~!」
「……」
待つこと十分。
ピッ!
きたぁああああああああああああああああああ!
返事キタァアアアアアア!
『スノーフレークさん コメ見ました』
私はこのグループではスノーフレークと名乗っている。
スノーフレークはウチの好きな春に咲く花。
花言葉は『純潔』。
今はどうでもええ。それよりも意見を確認せな。
今、書き込みをしているのは『JUNE』さん。
『判決。その男は』
その男は!
『とんでもない女たらし! マジでヤバい! 付き合うと妊娠させられて逃げられるレベル!』
……。
『理由を聞いても』
『その男の人、スノーフレークさんに言い寄ってきている男の人でしょ? 一緒に料理するなんて無駄に距離詰めてるし、自然にボディタッチしてくるし、頭を気安く撫でてくる、ヤキモチヤキ、やたら褒めてくる男なんて、怪しすぎ! 今すぐ離れるべき!』
『私も同じ』
同じメンバーのココさんが入ってきて、同じ意見。
……やってもうた……。
このコミュでウチは藤堂はんのことを相談していた。
その際、ちょこっと……ちょこっとだけ話を盛った。そのせいで、藤堂はんがただのちゃらい男になってしまっている。
これでは正確な診断が出来ない。
なんとしても軌道修正しないと……ウチが藤堂はんを気にかけていないのが前提で、いかに自然に藤堂はんがウチに気があるように伝えないと……。
「ちーちゃん。ご飯」
咲が不機嫌そうな顔でテーブルに今日の晩ご飯を置く。
「咲、おおきに」
「別に……ご飯が無駄になるのは困りますから」
咲……ほんま優しい子……。
「それならもう用事はありませんね」
「はい?」
「大事な話をしてます。咲、出て行って」
「……」
「咲」
「うわぁあああああん! ここ、私の部屋~~~~! ちーちゃんなんてジャガイモに頭をぶつけちゃえ!」
妹の前で恋バナとかありえへんし。
さて、今夜は長くなりそうやし、気合いいれんと。
「面倒ごとは勘弁して欲しいんだけど……朝乃宮姫」
咲と分かれた後、風紀委員室にいる橘はんに声をかける。
橘左近。
藤堂と並ぶ朝乃宮家の直系の一つの家系。
橘の役割は実力行使。
法や警察では対処できない案件を処理するスペシャリスト。
ヤクザ顔負けの行為と徹底した隠蔽工作。
業界では○○と『橘』には手を出すなと囁かれている。
常々思うんやけどこのお人、いつも何の仕事してはるん? 朝から晩まで机に向かってパソコンを触って何の意味があるの?
「簡単なことです。もっと咲に優しくするよう、あの石頭に言い聞かせてもらえません?」
「はぁ……ただの兄妹喧嘩でしょ? 分家の子を贔屓するのは本家の人間として示しがつかないでしょ?」
「咲はウチにとって大事な妹です。誰になんと言われようがウチが咲を護ります」
「キミのお父上が相手でも?」
ぞくぅ!
「……」
「ごめん。あのお方には誰も逆らえないね」
ウチの父様……いえ、御館様……。
その名を聞くだけで全身の肌が粟立つ。おぞましい記憶が蘇る。
あの暗闇……痩せ細った手……蛇のような目……。
震えが止まらない……頭痛がする……足に力が入らない……倒れないようにするのが精一杯……。
「ごめん、僕が悪かった。お詫びに正道と話してみるよ。どれほど効果があるか分からないけど」
「……お願いします」
ここでやることは終わった。
ウチは顔に出ないよう、すました顔で風紀委員室を出る。
冷や汗が止まらない……。
恐ろしい……。
「それと、これは未確定情報だけど、レッドアーミーが近々大きな動きを見せるかも」
「大きな動き?」
「攻め込んでくるかもしれないってこと。標的は正道だろうね」
「……それが?」
自業自得。
「そうなんだ……まあ、いいんだけど、朝乃宮姫はせいぜい上春さんを守っていればいいんじゃない? 僕らの邪魔さえしなかったらそれでいいよ」
「そうさせていただきます」
ウチはごっご遊びに興味ない。
あるのは身内の安全のみ。咲の安全を最優先にする。
それが今も眠ったままの陽菜に誓ったことだから。
「朝乃宮を怒らせない方がいい」
はぁ……。
放課後、ウチは風紀委員室で聞き耳を立てていた。
橘はんがちゃんと藤堂はんのこと、対応してくれているか確認しにきたんやけど、案の定、ウチの悪口話してる。
ヒトが自分の事をどう思っているのか?
複数確かめる方法があるけど、そのうちの一つに、本人のいないところでどう評価しているかで判明する。
昼間の事、少し怒らせたみたいやね。それに青島西中の時も木刀で攻撃したことも根に持ってそう。
橘は実力主義でプライドが高い。
今の橘はんにとって、ウチは目の上のこぶ。好かれてはへんやろうね。
けど、だからって何も藤堂はんを巻き込むのはいただけへん。
これは本格的に対立……。
「その必要はないだろ?」
えっ?
「俺は朝乃宮を信じている。アイツは味方だ」
……。
ま、まあ、今日は藤堂はんに免じて聞かんかったことにしとくわ。
「信じるね……正道。朝乃宮のこと、何も……」
ドン!
橘はん。
ウチは譲歩したつもり。
それ以上は野暮ってもん。
別の話題になったことを確認した後、ウチはそっと風紀委員室を後にする。
「朝乃宮さん?」
「こんにちは、氷室はん」
廊下を歩いていると、生徒会長の氷室朝人はんと出会った。
氷室朝人。
現生徒会長でウチと同じ二年。
青島の市長のご子息でイケメン。バスケ部のエース。
押水はんの事があって、生徒会長は男性である氷室はんに集まった。
ウチは元々副会長で立候補してるし、被ることはなかったけど、もし、生徒会長に立候補してたら負けてたかも。
「何かいいことでもあったのかい? 朝と比べて機嫌がよさそうだけど」
「……少しええことがありまして」
「そう、よかったね。もし、悩みがあるなら言ってよ。相談に乗るからさ」
あの唐変木も少しくらい優しくしてくれたらええのに。
「おおきに。そういえば、市のイベントがありますけど、生徒会は参加しますの?」
「市のイベント? ああっ、子供会のことか。別にいいよ、参加しなくても。休みの日まで活動したくないでしょ? それに風紀委員が仕切っているんだから勝手にすればいい」
「……」
風紀委員のこととなると、冷たい態度を見せる。目に怨念に近いモノをはらんでる。
少し注意せんと……。
「あっ、ごめん。朝乃宮さんのこと、悪く言うつもりはないんだ。それより、考えてくれた?」
「……ウチと咲が風紀委員を辞めて、生徒会一本でやっていくってこと? 委員は一応任期がありますし……」
「でも、強制ではない。やめたければ、別の委員に入ることを条件で抜けれるでしょ? キミのような逸材が不良のたまり場である風紀委員に所属するのは青島高の過失だよ」
そこまで言う?
正直、悪口ばかり言う人はあまり好きやない。
「考えておきます」
「いい返事を待っているよ」
氷室はんは去り際に手を上げていった。
ウチ、あの人苦手やわ。けど、このイケメンを敵に回すのは得策やない。
咲に飛び火するかもしれんし……。
このままやと……風紀委員の天敵になるかも。
敵は内にも外にもいる。
そんな中で、咲をどう護る?
その一点に限る……って思ってたんやけど、藤堂はんにあんなこと言われたらな……無視するわけにはいかへん。
けど、橘はんの反感買うのは面倒やし、藤堂はんだけ手が空いてたら手助けくらいは考えておこ。
気分ええし。
トントントントン。
「……」
「……」
今日の晩ご飯当番、ウチと藤堂はん。
話をするにはちょうどええ……けど、話すタイミングが……。
「……」
「……」
会話がない。最悪……。
今日の献立はタラ鍋。
喧嘩中に鍋とかどんだけチャレンジャーやねん。空気よめへんにもほどがある。
それにしても視線を感じる……。
ウチと一緒に食事を作るとき、藤堂はんはよくウチの動きを……料理する手順を観察してくる。若干引く。
この男、ほんま小さいし……負けず嫌い……。
ウチは六歳の時から料理洗濯掃除裁縫着付乗馬華道書道茶道舞道香道医道柔道剣道合気道五斗米道まで花嫁修業をしてきた女。
たかが一、二年だけのにわかとは違う!
けど、なんでやろう……見られるのが恥ずかしいというか……。
「! 痛っ!」
やってもうた!
なんたるイージーミス! ウチが包丁で指を切るなんて! 格好悪い!
こんな姿、藤堂はんには絶対に見られたく……。
「見せてみろ」
「!」
えっ?
藤堂はんがウチの手を……。
胸がドキドキして……苦しい……。
「……別にたいしたことありません。水で洗って絆創膏を……!!!!!!!!」
はぁああああああああああああああああああああああ!
舐めた! ウチの指、舐めた!
「藤堂はん……」
「んん……」
バシュ!
「ぶほぉ!」
「藤堂はん……血を口で吸っても止血効果はありませんし、逆に菌が入りますので、逆効果です。水で洗って絆創膏していれば問題ありませんから」
ウチは指を押さえながら、すぐに台所を飛び出した。
ウチはタブレットのロックを解除し、グループチャットアプリ『お友達Talk』を起動。
グループリストの中から『今夜の献立倶楽部』をタッチ。
早速、書き込み。
『質問です。これはあくまで一般的な現代社会における客観的で常識的な意見として冷静なご意見をいただきたいのですが、怪我した女の子を指ペロする男は、その女の子に恋してますよね?』
……。
「ただいま~。あれ、ちーちゃん。正座して何をしてるの?」
「咲。黙ってて」
「う、うん……ちーちゃん、怖い……」
「……」
「……」
「咲」
「なに~ちーちゃん? 機嫌なおった?」
「部屋を出て行ってくれはる?」
「うわぁあああああん~~~! 私の部屋なのに~~~! ちーちゃんのバカぁ~~~!」
「……」
待つこと十分。
ピッ!
きたぁああああああああああああああああああ!
返事キタァアアアアアア!
『スノーフレークさん コメ見ました』
私はこのグループではスノーフレークと名乗っている。
スノーフレークはウチの好きな春に咲く花。
花言葉は『純潔』。
今はどうでもええ。それよりも意見を確認せな。
今、書き込みをしているのは『JUNE』さん。
『判決。その男は』
その男は!
『とんでもない女たらし! マジでヤバい! 付き合うと妊娠させられて逃げられるレベル!』
……。
『理由を聞いても』
『その男の人、スノーフレークさんに言い寄ってきている男の人でしょ? 一緒に料理するなんて無駄に距離詰めてるし、自然にボディタッチしてくるし、頭を気安く撫でてくる、ヤキモチヤキ、やたら褒めてくる男なんて、怪しすぎ! 今すぐ離れるべき!』
『私も同じ』
同じメンバーのココさんが入ってきて、同じ意見。
……やってもうた……。
このコミュでウチは藤堂はんのことを相談していた。
その際、ちょこっと……ちょこっとだけ話を盛った。そのせいで、藤堂はんがただのちゃらい男になってしまっている。
これでは正確な診断が出来ない。
なんとしても軌道修正しないと……ウチが藤堂はんを気にかけていないのが前提で、いかに自然に藤堂はんがウチに気があるように伝えないと……。
「ちーちゃん。ご飯」
咲が不機嫌そうな顔でテーブルに今日の晩ご飯を置く。
「咲、おおきに」
「別に……ご飯が無駄になるのは困りますから」
咲……ほんま優しい子……。
「それならもう用事はありませんね」
「はい?」
「大事な話をしてます。咲、出て行って」
「……」
「咲」
「うわぁあああああん! ここ、私の部屋~~~~! ちーちゃんなんてジャガイモに頭をぶつけちゃえ!」
妹の前で恋バナとかありえへんし。
さて、今夜は長くなりそうやし、気合いいれんと。
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