475 / 531
兄さんなんて大嫌いです! 朝乃宮千春SIDE
1/29 前編
しおりを挟む
「……」
はぁ……。
昨日は酷い目におうたわ……。
なんでウチが説教くらわなあかんの?
全てあの疫病神のせいや……。
「おはよう、千春ちゃん!」
「……」
「おはようございます、姫」
ほんま、この男は……。
一晩寝たら忘れるんか? うらやましい性格や。
「ウチが言いたいこと、分かりますよね?」
「は、はい! 分かっております!」
「どっちに味方するか、分かってますよね?」
「はい!」
「それなら期待してますえ」
信吾はんがすこすこと寝室へと戻っていく。
全く、娘の一大事に何をのんびりしているのやら……。
ウチ……咲が健やかに過ごせるよう頑張らんと。
「おじ……」
あっ、逃げた……。
山火事を察知したネズミの如く、リビングへ逃げていく。
はぁ……男って……大黒柱がなにをしているのやら。
「おはよう、千春姉さん」
「おはよう、強はん」
強はん……このダークフォースさえいなければ……いや、この子を取り込めたら……。
「どうかしたの?」
「……強はんは藤堂はんと咲との喧嘩、どう思ってます?」
「? ただの兄妹喧嘩でしょ?」
ううん……ただのかぁ……。
「大丈夫。あんちゃんは必ず姉さんに謝るから」
「な、なんでそう思いますの?」
「あんちゃんはやるときはやる人だから。絶対にあんちゃんは姉さんよりも先に謝るから」
信じてはるんやね……藤堂はんのこと……。
「せやね……ウチも信じます」
ほんま、頼みます、藤堂はん……。
「……」
「……」
息苦しい……。
一日の始まりの朝食。
会話のないピリピリとした雰囲気に息が詰まりそう……。
はよ、謝れ、藤堂! あんさんのお気に入りの強はんも期待してますえ。
はぁ……年下の女の子に何の意地を張っているのやら……。
信吾はん、そのTシャツに書かれた『家族仲良く』って何?
まさか、それが策?
もしそうなら、信吾さんの評価、考えなおさんと……。
ちなみに信吾はんと澪はんの結婚資金はウチら朝乃宮家が用意することで話がついてる。
信吾はんは自分達で用意すると断っていたけど、咲や強はんの学費があるからウチが強引に話をつけた。
信吾はんにはかなり迷惑をかけているので、必要最低限の金銭は援助している。
本当は学費も全額援助したいんやけど、信吾はんにも親としてのプライドがあるとのことでひかえている。
それに対して藤堂はんは……。
千春アイ発動!
*千春アイ
朝乃宮家に伝わる門外不出の読心術の一つで、千春が独自に磨きをかけた秘奥義。
千春は意識を集中させることで第三の目が発動し、おバカな男の考えが分かるのだ!
『大変だな、信吾さんも。あっ、この味噌汁、美味しいな……』
この男は……。
「他人事やありませんえ、藤堂はん。味噌汁なんてどうでもええでしょ」
はぁ……何を驚愕した顔をしているのやら。
義信さんに視線を向けると、彼は信吾さんに視線を向ける。
こ、このお人は……。
「ね、ねえ、正道君。咲に何か言うことがあるんじゃない?」
話のもって行き方が強引すぎ!
けど、これはチャンスかも。藤堂はんもこれなら反応せずにいられない。
藤堂はんの反応は……。
「おい、上春」
どきどきどきどき……。
言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……。
謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……。
「昨日、手を上げたことは悪かったな」
しゃぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
ありがとぅ、藤堂はん!
信じてましたえ! 流石、土下座の藤堂!
ううっ、感激の涙が……。
「……本当に悪かったって思っているんですか?」
さきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
えっ? なにこれ? ドッキリ? 上げて下がるとか……。
藤堂はん謝ったやん? それでいいやん?
何があかんのよぉおおおおおおおおおおおお!
あかん! 藤堂はんが口答えしそうになってる!
「おほん!」
ウチ、ファインプレイ! 今日のヒーローインタビュー確実にウチ!
咄嗟に咳をして止めた機転! ウチはウチを褒めてあげたい!
ほ、頬が緩みそうになる。
目をつぶって我慢せな!
「別に嫌々なら謝ってもらわなくても結構です」
「分かった。それなら、今度はお前が謝れ」
「……どうして、私が兄さんに……」
「勘違いするな。強に謝れ。みんなに謝れ。元々、お前が言い出したんだろ? ご飯は家族一
緒に食べないといけないって。自分の都合で勝手に破って、まさか、シカトはないよな?」
ふぅ……耐えきったけど、雲行きが怪しい。
ここで咲が頭を下げたら万事解決……。
「……嫌です。謝りたくないです」
せやろうな……。
「おい、調子に乗るなよ。元凶はお前だろうが。拗ねて俺に反抗するとかガキか? お前、い
くつだ? かまってもらえないからって駄々をこねるな、バカ者が」
「兄さんなんて大嫌いです!」
はぁああああああああ……。
「もうもうもう! 兄さんって意地悪です! どうして、兄さんは……」
はぁあああああ……。
咲の機嫌がすこぶる悪い……ウチの気分はどん底や……。
これでめでたく泥沼化……また長引きそう……。
咲のことは大好きやけど、愚痴を永遠と聞かされるのはちょっと……。
ううっ……一月の風が冷たい……。
これで当分、藤堂はんと気軽に話せそうにないし、訓練もできへん……。
今の青島は咲も不安がるほど、不穏な空気が漂っている。
内地からの人間が多すぎる。
青島は日本本土から離れた島で、島の住人は本土を内地と呼んでいる。
内地の人間が青島に来る時期は夏のみ。
海水浴とダイビングで夏は活気づくけど、それ以外の季節は閑古鳥が鳴くほど。
紅葉や桜といった季節モノを取り入れたりしているけど、地元民が喜んでいるだけで、効果は出ていない。
それなのに、この真冬に内地の人間がウロウロしている。ガラの悪い男達が目立つけど、その中にスーツ姿の男性も複数見かける。
ウチの勘が間違っていなければ、あの人達は……。
事態はウチが想像しているよりも最悪かも……。
勿論、上春家はウチが護るけど、藤堂はんには自分の身を護れるくらいの実力を身につけて欲しい。
ウチはホンマどうでもええんやけど、藤堂はんが傷つくと咲が悲しむから。
それを防ぐためにも稽古をつけておかんとあかんねんけど……。
「ちーちゃん! 聞いてます!」
「聞いてます。藤堂はんはほんま、女心が理解できへんというか……」
「違います! 見てください! この占いサイト『大石神教』のここ! ラッキーアイテムが蝉の抜け殻ですよ! そんなもの、この時期にあるわけないじゃないですか!」
そこ!
なんやろ……ものすっごい理不尽を感じるんやけど……まあ、手のかかる子ほど可愛いし……。
「もう! 頭を撫でないで! だ、抱きつくな!」
「ええやん~。さ~き~」
ほんま、咲は可愛ええ子やわ~。
はぁ……。
昨日は酷い目におうたわ……。
なんでウチが説教くらわなあかんの?
全てあの疫病神のせいや……。
「おはよう、千春ちゃん!」
「……」
「おはようございます、姫」
ほんま、この男は……。
一晩寝たら忘れるんか? うらやましい性格や。
「ウチが言いたいこと、分かりますよね?」
「は、はい! 分かっております!」
「どっちに味方するか、分かってますよね?」
「はい!」
「それなら期待してますえ」
信吾はんがすこすこと寝室へと戻っていく。
全く、娘の一大事に何をのんびりしているのやら……。
ウチ……咲が健やかに過ごせるよう頑張らんと。
「おじ……」
あっ、逃げた……。
山火事を察知したネズミの如く、リビングへ逃げていく。
はぁ……男って……大黒柱がなにをしているのやら。
「おはよう、千春姉さん」
「おはよう、強はん」
強はん……このダークフォースさえいなければ……いや、この子を取り込めたら……。
「どうかしたの?」
「……強はんは藤堂はんと咲との喧嘩、どう思ってます?」
「? ただの兄妹喧嘩でしょ?」
ううん……ただのかぁ……。
「大丈夫。あんちゃんは必ず姉さんに謝るから」
「な、なんでそう思いますの?」
「あんちゃんはやるときはやる人だから。絶対にあんちゃんは姉さんよりも先に謝るから」
信じてはるんやね……藤堂はんのこと……。
「せやね……ウチも信じます」
ほんま、頼みます、藤堂はん……。
「……」
「……」
息苦しい……。
一日の始まりの朝食。
会話のないピリピリとした雰囲気に息が詰まりそう……。
はよ、謝れ、藤堂! あんさんのお気に入りの強はんも期待してますえ。
はぁ……年下の女の子に何の意地を張っているのやら……。
信吾はん、そのTシャツに書かれた『家族仲良く』って何?
まさか、それが策?
もしそうなら、信吾さんの評価、考えなおさんと……。
ちなみに信吾はんと澪はんの結婚資金はウチら朝乃宮家が用意することで話がついてる。
信吾はんは自分達で用意すると断っていたけど、咲や強はんの学費があるからウチが強引に話をつけた。
信吾はんにはかなり迷惑をかけているので、必要最低限の金銭は援助している。
本当は学費も全額援助したいんやけど、信吾はんにも親としてのプライドがあるとのことでひかえている。
それに対して藤堂はんは……。
千春アイ発動!
*千春アイ
朝乃宮家に伝わる門外不出の読心術の一つで、千春が独自に磨きをかけた秘奥義。
千春は意識を集中させることで第三の目が発動し、おバカな男の考えが分かるのだ!
『大変だな、信吾さんも。あっ、この味噌汁、美味しいな……』
この男は……。
「他人事やありませんえ、藤堂はん。味噌汁なんてどうでもええでしょ」
はぁ……何を驚愕した顔をしているのやら。
義信さんに視線を向けると、彼は信吾さんに視線を向ける。
こ、このお人は……。
「ね、ねえ、正道君。咲に何か言うことがあるんじゃない?」
話のもって行き方が強引すぎ!
けど、これはチャンスかも。藤堂はんもこれなら反応せずにいられない。
藤堂はんの反応は……。
「おい、上春」
どきどきどきどき……。
言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……言え……。
謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……謝れ……。
「昨日、手を上げたことは悪かったな」
しゃぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
ありがとぅ、藤堂はん!
信じてましたえ! 流石、土下座の藤堂!
ううっ、感激の涙が……。
「……本当に悪かったって思っているんですか?」
さきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
えっ? なにこれ? ドッキリ? 上げて下がるとか……。
藤堂はん謝ったやん? それでいいやん?
何があかんのよぉおおおおおおおおおおおお!
あかん! 藤堂はんが口答えしそうになってる!
「おほん!」
ウチ、ファインプレイ! 今日のヒーローインタビュー確実にウチ!
咄嗟に咳をして止めた機転! ウチはウチを褒めてあげたい!
ほ、頬が緩みそうになる。
目をつぶって我慢せな!
「別に嫌々なら謝ってもらわなくても結構です」
「分かった。それなら、今度はお前が謝れ」
「……どうして、私が兄さんに……」
「勘違いするな。強に謝れ。みんなに謝れ。元々、お前が言い出したんだろ? ご飯は家族一
緒に食べないといけないって。自分の都合で勝手に破って、まさか、シカトはないよな?」
ふぅ……耐えきったけど、雲行きが怪しい。
ここで咲が頭を下げたら万事解決……。
「……嫌です。謝りたくないです」
せやろうな……。
「おい、調子に乗るなよ。元凶はお前だろうが。拗ねて俺に反抗するとかガキか? お前、い
くつだ? かまってもらえないからって駄々をこねるな、バカ者が」
「兄さんなんて大嫌いです!」
はぁああああああああ……。
「もうもうもう! 兄さんって意地悪です! どうして、兄さんは……」
はぁあああああ……。
咲の機嫌がすこぶる悪い……ウチの気分はどん底や……。
これでめでたく泥沼化……また長引きそう……。
咲のことは大好きやけど、愚痴を永遠と聞かされるのはちょっと……。
ううっ……一月の風が冷たい……。
これで当分、藤堂はんと気軽に話せそうにないし、訓練もできへん……。
今の青島は咲も不安がるほど、不穏な空気が漂っている。
内地からの人間が多すぎる。
青島は日本本土から離れた島で、島の住人は本土を内地と呼んでいる。
内地の人間が青島に来る時期は夏のみ。
海水浴とダイビングで夏は活気づくけど、それ以外の季節は閑古鳥が鳴くほど。
紅葉や桜といった季節モノを取り入れたりしているけど、地元民が喜んでいるだけで、効果は出ていない。
それなのに、この真冬に内地の人間がウロウロしている。ガラの悪い男達が目立つけど、その中にスーツ姿の男性も複数見かける。
ウチの勘が間違っていなければ、あの人達は……。
事態はウチが想像しているよりも最悪かも……。
勿論、上春家はウチが護るけど、藤堂はんには自分の身を護れるくらいの実力を身につけて欲しい。
ウチはホンマどうでもええんやけど、藤堂はんが傷つくと咲が悲しむから。
それを防ぐためにも稽古をつけておかんとあかんねんけど……。
「ちーちゃん! 聞いてます!」
「聞いてます。藤堂はんはほんま、女心が理解できへんというか……」
「違います! 見てください! この占いサイト『大石神教』のここ! ラッキーアイテムが蝉の抜け殻ですよ! そんなもの、この時期にあるわけないじゃないですか!」
そこ!
なんやろ……ものすっごい理不尽を感じるんやけど……まあ、手のかかる子ほど可愛いし……。
「もう! 頭を撫でないで! だ、抱きつくな!」
「ええやん~。さ~き~」
ほんま、咲は可愛ええ子やわ~。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜
たかつじ楓
恋愛
【第1回魔法のiらんど恋愛創作コンテストタテスクコミック部門準大賞受賞作!】
「『僧侶コン』にご参加いただきありがとうございます!」
(転生しても私にできることをしよう。異世界でもカップルを増やして、みんなを笑顔にする!)
婚活アドバイザーのアリサは、激務が続き高熱を出し倒れ、目が覚めると大好きなゲームに転生していた。
アリサはギルドの店員ケビンに、結婚相談所を開かせてくれないかと頼み、すぐに人気になる。
ある日、隣国のガーネット王国第一王子であるルビオ王子が相談所に押しかけ、「私の理想の妻を探してくれ」と依頼してきた。
しかしこの王子が、理想が高くお見合いを何十人も断っている、厄介なこじらせ男子だった。
恋愛に臆病なギルド店員ケビンと、忙しくて余裕のないルビオの側近クレイも参加し、3人は婚活市場にて悪戦苦闘することに。
エグゼクティブ婚活パーティや相席居酒屋。
魔力を使い運命の相手とマッチングするマッチングアプリなど。
アリサが現世で開催していた様々なイベントを異世界風にアレンジし、アドバイスをする。
理想高すぎ、恋に臆病、仕事が多忙な三人のこじらせ男子達を、アリサは見事成婚させることができるのかーー?
こじらせ女子が荒れた異世界を、幸せなカップルを成立させ救う!新感覚お仕事マリッジファンタジー!
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
偽りの婚約のつもりが愛されていました
ユユ
恋愛
可憐な妹に何度も婚約者を奪われて生きてきた。
だけど私は子爵家の跡継ぎ。
騒ぎ立てることはしなかった。
子爵家の仕事を手伝い、婚約者を持つ令嬢として
慎ましく振る舞ってきた。
五人目の婚約者と妹は体を重ねた。
妹は身籠った。
父は跡継ぎと婚約相手を妹に変えて
私を今更嫁に出すと言った。
全てを奪われた私はもう我慢を止めた。
* 作り話です。
* 短めの話にするつもりです
* 暇つぶしにどうぞ
伯爵令嬢は身の危険を感じるので家を出ます 〜伯爵家は乗っ取られそうですが、本当に私がいなくて大丈夫ですか?〜
超高校級の小説家
恋愛
マトリカリア伯爵家は代々アドニス王国軍の衛生兵団長を務める治癒魔法の名門です。
神々に祝福されているマトリカリア家では長女として胸元に十字の聖痕を持った娘が必ず生まれます。
その娘が使う強力な治癒魔法の力で衛生兵をまとめ上げ王国に重用されてきました。
そのため、家督はその長女が代々受け継ぎ、魔力容量の多い男性を婿として迎えています。
しかし、今代のマトリカリア伯爵令嬢フリージアは聖痕を持って生まれたにも関わらず治癒魔法を使えません。
それでも両親に愛されて幸せに暮らしていました。
衛生兵団長を務めていた母カトレアが急に亡くなるまでは。
フリージアの父マトリカリア伯爵は、治癒魔法に関してマトリカリア伯爵家に次ぐ名門のハイドランジア侯爵家の未亡人アザレアを後妻として迎えました。
アザレアには女の連れ子がいました。連れ子のガーベラは聖痕こそありませんが治癒魔法の素質があり、治癒魔法を使えないフリージアは次第に肩身の狭い思いをすることになりました。
アザレアもガーベラも治癒魔法を使えないフリージアを見下して、まるで使用人のように扱います。
そしてガーベラが王国軍の衛生兵団入団試験に合格し王宮に勤め始めたのをきっかけに、父のマトリカリア伯爵すらフリージアを疎ましく思い始め、アザレアに言われるがままガーベラに家督を継がせたいと考えるようになります。
治癒魔法こそ使えませんが、正式には未だにマトリカリア家の家督はフリージアにあるため、身の危険を感じたフリージアは家を出ることを決意しました。
しかし、本人すら知らないだけでフリージアにはマトリカリアの当主に相応しい力が眠っているのです。
※最初は胸糞悪いと思いますが、ざまぁは早めに終わらせるのでお付き合いいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる