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十九章
十九話 ラベンダー -期待- その二
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「えっ?」
きゅ、救世主? 救世主って何? 薬用養命酒の親戚か何か?
お、おおおおお落ち着くのよ、ほのか。冷静になればきっと……。
「「「救世主様!」」」
ここにいる男の子達が声をそろえて私を救世主と呼んだ。
お、おおおおおおおおおちちゅくのよ、ほのか。冷静になればきっと……って、落ち着けるか!
何なのコレ! 救世主? 私が? ここ異世界? 世界のピンチなの?
今起きている出来事は私の理解をはるかに超えている。何をどうしていいのか分からない。
でも、イケメンに救世主って呼ばれるのって、何か斬新~。漫画みたいな出来事だよね? ちょっと新鮮かも。
「おいおい、こんな間抜け面が救世主なのか? 本当に頼りになるのか?」
「本当の事を言ったら失礼だよ。俊哉」
前言撤回。すぐに帰りたくなった。
なんで男の子って女の子に向かって暴言を吐くかな? いくらイケメンでも許せない。
私は少女漫画に出てくるヒロインのようなマゾではない。それでも耐えるのよ、ほのか。まずは状況を確認しなきゃ。
状況は……。
「きゃ!」
い、いつの間にか男の子の一人が私の顔を至近距離で覗き込んでいた。
近い、近い!
パーマをかけたイケメンはじっと私の顔を見つめてくる。私は気恥ずかしくなり、そっと目をそらした。
く、悔しい……でも、やっぱり、イケメンに見つめられたら目をそらしちゃうよ。なんでこの人、私をじっと見つめてくるの? 少しは遠慮してほしい……。
「キミ」
「は、はい」
優しく甘い声で私を呼ぶ男の子。なんだろう、ドキドキしてきた。
私には先輩がいるのに……後ろめたい気分になっていく。早くおさまってよ、このドキドキ!
男の子が笑顔で私に伝えようとした言葉は……。
「昔飼っていたブルドックにそっくりだ~」
このドキドキはただの動悸みたい。先輩を裏切っていないことに感謝しつつ、この目の前の無礼者の股間を蹴り上げてやろうかと真剣に考えていた。
そのとき、一人の男の子が私と失礼な男の子の間に入ってきた。
この人もイケメン。身長は百八十そこそこ。しなやかで首元まで伸びている髪に、眉は綺麗に成形されている。
くっきりとした二重、鼻が高く、笑顔が爽やかで、すごく大人っぽく見える。
でも、イケメンばかりなんでいい加減、目が慣れてきた。
「こら、失礼なことを言うんじゃない。伊藤さん、ごめんね。悪気はないんだ。ただ思ったことを口にするヤツだから」
「それはつまり、私はブルドッグに似ているということですか。そうですか。失礼しました」
さて、帰ろっか。
帰り道、寒いからイヤだな~。こんなとき、誰かのぬくもりが欲しいんだけど……先輩とか先輩とか先輩とか。
はあ、寂しいよ……。
「ま、待って!」
男の子が私の手首を握って呼び止める。大きな手。男の子って感じがする。
でも、先輩に触られた時のような嬉しさ、恥ずかしさは全く感じなかった。
「お願い! 話を聞いて! 今までの非礼は謝るから!」
「……」
はあ……本当に困っている人を見るとなんとかしてあげたいって思うのは、風紀委員の影響かな?
力になってあげたいけど、今は獅子王さん達のことで手一杯。
申し訳ないけど、断らせてもらおう。いい加減な対応は相手を傷つけるだけ。それは獅子王さん達のことで身に染みている。
私は物語の主人公のように何でも解決できるようなスキルはない。モブはモブらしくしていればいいのだから。
断ろうとしたとき、また男の子が私達の間に割り込んできた。
「待て、はると。やはり俺はこの女が好かん。自分達の問題は自分達で解決するべきだ」
サーモントフレーム越しの鋭い眼光に睨まれ、委縮してしまう。長身で短髪の端正な顔立ち……って本当にイケメン多いよね。
しかも、目の前にいるメガネの男の子は本当に高校生なのってツッコミたくなる。
ふけているわけじゃないんだけど、大人っぽい雰囲気と体格が全然高校生らしくない。
大学生か、新人社会人って感じがしちゃうんだけど。足がとても長いし。
「ううん。僕達には伊藤さんの力が必要だよ、るい。獅子王さんと古見君の仲を取り持った彼女ならうまくいくと信じてる」
獅子王さんと古見君の仲を取り持った? なんでそんなことを知っているの? それが私の呼び出された理由と何かあるの?
疑問が尽きない。目の前にいる男の子達は私に何をやらせたいのか、なぜ、私を救世主と呼ぶのか……。
次の一言で、私は更に混乱することになる。
「お願いします! 僕達がゴールデン青島賞をとれるよう、協力してください!」
きゅ、救世主? 救世主って何? 薬用養命酒の親戚か何か?
お、おおおおお落ち着くのよ、ほのか。冷静になればきっと……。
「「「救世主様!」」」
ここにいる男の子達が声をそろえて私を救世主と呼んだ。
お、おおおおおおおおおちちゅくのよ、ほのか。冷静になればきっと……って、落ち着けるか!
何なのコレ! 救世主? 私が? ここ異世界? 世界のピンチなの?
今起きている出来事は私の理解をはるかに超えている。何をどうしていいのか分からない。
でも、イケメンに救世主って呼ばれるのって、何か斬新~。漫画みたいな出来事だよね? ちょっと新鮮かも。
「おいおい、こんな間抜け面が救世主なのか? 本当に頼りになるのか?」
「本当の事を言ったら失礼だよ。俊哉」
前言撤回。すぐに帰りたくなった。
なんで男の子って女の子に向かって暴言を吐くかな? いくらイケメンでも許せない。
私は少女漫画に出てくるヒロインのようなマゾではない。それでも耐えるのよ、ほのか。まずは状況を確認しなきゃ。
状況は……。
「きゃ!」
い、いつの間にか男の子の一人が私の顔を至近距離で覗き込んでいた。
近い、近い!
パーマをかけたイケメンはじっと私の顔を見つめてくる。私は気恥ずかしくなり、そっと目をそらした。
く、悔しい……でも、やっぱり、イケメンに見つめられたら目をそらしちゃうよ。なんでこの人、私をじっと見つめてくるの? 少しは遠慮してほしい……。
「キミ」
「は、はい」
優しく甘い声で私を呼ぶ男の子。なんだろう、ドキドキしてきた。
私には先輩がいるのに……後ろめたい気分になっていく。早くおさまってよ、このドキドキ!
男の子が笑顔で私に伝えようとした言葉は……。
「昔飼っていたブルドックにそっくりだ~」
このドキドキはただの動悸みたい。先輩を裏切っていないことに感謝しつつ、この目の前の無礼者の股間を蹴り上げてやろうかと真剣に考えていた。
そのとき、一人の男の子が私と失礼な男の子の間に入ってきた。
この人もイケメン。身長は百八十そこそこ。しなやかで首元まで伸びている髪に、眉は綺麗に成形されている。
くっきりとした二重、鼻が高く、笑顔が爽やかで、すごく大人っぽく見える。
でも、イケメンばかりなんでいい加減、目が慣れてきた。
「こら、失礼なことを言うんじゃない。伊藤さん、ごめんね。悪気はないんだ。ただ思ったことを口にするヤツだから」
「それはつまり、私はブルドッグに似ているということですか。そうですか。失礼しました」
さて、帰ろっか。
帰り道、寒いからイヤだな~。こんなとき、誰かのぬくもりが欲しいんだけど……先輩とか先輩とか先輩とか。
はあ、寂しいよ……。
「ま、待って!」
男の子が私の手首を握って呼び止める。大きな手。男の子って感じがする。
でも、先輩に触られた時のような嬉しさ、恥ずかしさは全く感じなかった。
「お願い! 話を聞いて! 今までの非礼は謝るから!」
「……」
はあ……本当に困っている人を見るとなんとかしてあげたいって思うのは、風紀委員の影響かな?
力になってあげたいけど、今は獅子王さん達のことで手一杯。
申し訳ないけど、断らせてもらおう。いい加減な対応は相手を傷つけるだけ。それは獅子王さん達のことで身に染みている。
私は物語の主人公のように何でも解決できるようなスキルはない。モブはモブらしくしていればいいのだから。
断ろうとしたとき、また男の子が私達の間に割り込んできた。
「待て、はると。やはり俺はこの女が好かん。自分達の問題は自分達で解決するべきだ」
サーモントフレーム越しの鋭い眼光に睨まれ、委縮してしまう。長身で短髪の端正な顔立ち……って本当にイケメン多いよね。
しかも、目の前にいるメガネの男の子は本当に高校生なのってツッコミたくなる。
ふけているわけじゃないんだけど、大人っぽい雰囲気と体格が全然高校生らしくない。
大学生か、新人社会人って感じがしちゃうんだけど。足がとても長いし。
「ううん。僕達には伊藤さんの力が必要だよ、るい。獅子王さんと古見君の仲を取り持った彼女ならうまくいくと信じてる」
獅子王さんと古見君の仲を取り持った? なんでそんなことを知っているの? それが私の呼び出された理由と何かあるの?
疑問が尽きない。目の前にいる男の子達は私に何をやらせたいのか、なぜ、私を救世主と呼ぶのか……。
次の一言で、私は更に混乱することになる。
「お願いします! 僕達がゴールデン青島賞をとれるよう、協力してください!」
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