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155:クリスマス誘拐事件 その一
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「……今年もやってきましたね、クリスマスイベントが……」
「どうした、伊藤? 何か用事でもあったのか?」
「いえ……毎年いろいろありましたので……今年もかなっと」
「不吉なことを言わないでくれ。せっかく、紫苑がやる気を出しているのに」
「……めっちゃやる気出してますよね。何でですかね?」
「報酬がクリスマスケーキだからな」
「ケーキって……子供ですか!」
「このビッチ! サボるな!」
「ひぃ! 紫苑さん、いたんですか?」
「いますよ! 忙しいんですから、さっさと働いてください!」
「な、なんでそんなにやる気が……たかがケーキに……」
「ああん! ケーキはイチゴから卵、バター、小麦粉の原材料高騰! 尚且つ光熱費、人件費、配送料等などの値上がりの影響をモロに受けていて、インフレの塊なんですよ!」
「……確かにカオ豆の価格高騰に記録的な猛暑による不作で消費者もお店も苦い思いをするだろうな」
「あっ、先輩。うまいこと言いましたね」
「口を動かすな! 手を動かせ!」
「「は、はい……」」
「あっ、藤堂君! 今年もよろしくね!」
「富岡さん、よろしくお願いします」
「富岡さんって、毎年市が開催しているクリスマスイベントを押しつけられている万年係長の公務員ですよね?」
「ハハハッ! 伊藤さんは辛口だな! クリスマスなのに!」
「そのネタ、先輩がやりましたから。それに強引です」
「いい加減、担当を代えて欲しいんだけどね!」
「富岡さん、クリスマスの飾り付けを持ってきました。ジュースも冷蔵庫に運んでおいたので」
「ご苦労様、本当に助かるよ! あっ、藤堂君。紹介するね。彼は木島畑俊哉君」
「噂は富岡さんから聞いてるよ、藤堂君。不良相手に取り締まっているんだって? 正義感が強いな。けど、警察官ではないんだから暴力は違反だ」
「……申し訳ございません」
「まあまあ、木島畑君。彼のおかげで去年は助かったんだよ。不良がやんちゃしてさ。それを藤堂君達のおかげで追い払ってくれたんだ」
「それはそれです、富岡さん。暴力を振るっていたのなら、所詮、不良と同じレベルですから」
「……」
「……何か嫌なカンジですよね、先輩」
「……正論だから仕方ない。別に認められたくてやっているわけじゃないからな」
「木島畑君は藤堂君達と同じでボランティアとして今回のクリスマスイベントの手伝いをしてくれているんだ。彼はね、あの国公立○大の大学生で、見ての通りイケメンで正義感が強い。柔道三段の実力者で去年のようなことがあっても彼がいれば問題なし! しかも、自分から立候補してくれたんだ! 今時には珍しい好青年だよ」
「どこの大学か、なんてボランティアには関係ありませんし、生まれ育った青島の地域貢献がしたくてただ、ボランティアをしているだけです。それに悪いことを見逃せないのは人として当然じゃないですか。暴力なんて使わなくても、やりようはあります。藤堂君、先ほどは言い過ぎた。今日はお互い頑張ろう」
「よろしくお願いします」
「……よろしくです」
「富岡さん。飾り付けのことですが……」
「うん。それなんだけどね……」
「伊藤、顔に出てるぞ」
「だって、いきなり上から目線で言われたら腹が立ちません? それに私達は前からクリスマスイベントを手伝っているんですよ? それなのに、今年から手伝っている人が私達よりも偉そうにしているなんて……」
「……伊藤さん、アナタ、鳥頭なんですか? 何度言えば分かってもらえるんですか? さっさと……仕事しろ!」
「ひぃいい! い、今すぐやります!」
「どうした、伊藤? 何か用事でもあったのか?」
「いえ……毎年いろいろありましたので……今年もかなっと」
「不吉なことを言わないでくれ。せっかく、紫苑がやる気を出しているのに」
「……めっちゃやる気出してますよね。何でですかね?」
「報酬がクリスマスケーキだからな」
「ケーキって……子供ですか!」
「このビッチ! サボるな!」
「ひぃ! 紫苑さん、いたんですか?」
「いますよ! 忙しいんですから、さっさと働いてください!」
「な、なんでそんなにやる気が……たかがケーキに……」
「ああん! ケーキはイチゴから卵、バター、小麦粉の原材料高騰! 尚且つ光熱費、人件費、配送料等などの値上がりの影響をモロに受けていて、インフレの塊なんですよ!」
「……確かにカオ豆の価格高騰に記録的な猛暑による不作で消費者もお店も苦い思いをするだろうな」
「あっ、先輩。うまいこと言いましたね」
「口を動かすな! 手を動かせ!」
「「は、はい……」」
「あっ、藤堂君! 今年もよろしくね!」
「富岡さん、よろしくお願いします」
「富岡さんって、毎年市が開催しているクリスマスイベントを押しつけられている万年係長の公務員ですよね?」
「ハハハッ! 伊藤さんは辛口だな! クリスマスなのに!」
「そのネタ、先輩がやりましたから。それに強引です」
「いい加減、担当を代えて欲しいんだけどね!」
「富岡さん、クリスマスの飾り付けを持ってきました。ジュースも冷蔵庫に運んでおいたので」
「ご苦労様、本当に助かるよ! あっ、藤堂君。紹介するね。彼は木島畑俊哉君」
「噂は富岡さんから聞いてるよ、藤堂君。不良相手に取り締まっているんだって? 正義感が強いな。けど、警察官ではないんだから暴力は違反だ」
「……申し訳ございません」
「まあまあ、木島畑君。彼のおかげで去年は助かったんだよ。不良がやんちゃしてさ。それを藤堂君達のおかげで追い払ってくれたんだ」
「それはそれです、富岡さん。暴力を振るっていたのなら、所詮、不良と同じレベルですから」
「……」
「……何か嫌なカンジですよね、先輩」
「……正論だから仕方ない。別に認められたくてやっているわけじゃないからな」
「木島畑君は藤堂君達と同じでボランティアとして今回のクリスマスイベントの手伝いをしてくれているんだ。彼はね、あの国公立○大の大学生で、見ての通りイケメンで正義感が強い。柔道三段の実力者で去年のようなことがあっても彼がいれば問題なし! しかも、自分から立候補してくれたんだ! 今時には珍しい好青年だよ」
「どこの大学か、なんてボランティアには関係ありませんし、生まれ育った青島の地域貢献がしたくてただ、ボランティアをしているだけです。それに悪いことを見逃せないのは人として当然じゃないですか。暴力なんて使わなくても、やりようはあります。藤堂君、先ほどは言い過ぎた。今日はお互い頑張ろう」
「よろしくお願いします」
「……よろしくです」
「富岡さん。飾り付けのことですが……」
「うん。それなんだけどね……」
「伊藤、顔に出てるぞ」
「だって、いきなり上から目線で言われたら腹が立ちません? それに私達は前からクリスマスイベントを手伝っているんですよ? それなのに、今年から手伝っている人が私達よりも偉そうにしているなんて……」
「……伊藤さん、アナタ、鳥頭なんですか? 何度言えば分かってもらえるんですか? さっさと……仕事しろ!」
「ひぃいい! い、今すぐやります!」
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