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133:エビフライ

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「伊藤、今日が何の日か、知っているか?」
「新作BL本の発売日……」
「聞いた俺がバカだった」
「ウソウソ! 冗談ですから! 6/21は……」
「エビフライの日!」
「正解だ」

「流石は紫苑さん。食べ物の話になるとしゃしゃり出てきますね」
「頭がお花畑な伊藤さんに言われたくないんですけど~?」
「……」
「……」
「この意地汚いブラコンが!」
「変態女に言われたくないわ!」

 ガッ……。

「しぇ、しぇんぱい……たしゅけて……」
「久しぶりだな。せめて一秒はもたせろ。すぐに腕逆捕されるな」

「まあ、恒例行事は終わりましたし、そろそろお話に戻しましょうか。藤堂先輩、どうして、6/21がエビフライの日かご存じですか?」
「海老の曲がった形が『6』に見えること。フライの語呂合わせからエビフライの日となった……んだが……」
「どうかしたのですか?」
「なぜ21をフライって語呂合わせで呼ぶのかが分からなくてな。フを2で呼ぶのは日本の古代の数え方、ひ(1)、ふ(2)、み(3)、よ(4)、からきてるって予想が出来る。イは1の中国語でイーと呼ぶから予想出来る。だが、ラが2にも1にも予想出来なくてな」
「別にいいんじゃないっすか?」
「気にしすぎですよね~」
「……」

「あっ、どうでもいいんですけど~エビフライ……のしっぽの日とか言いますよね~」
「あっ、すみっコぐらしですよね! あれ、BLの次の次くらいに好きです!」
「……それは褒めているのか?」
「当然です! ちなみにエビフライのしっぽですが、食べる派ですか? 残す派ですか?」
「「食べる派」」

「あ、あれ? ここは別れて論争する場面では?」
「別にいいじゃないですか~食べたって」
「別にマナー違反とかそういうのはないらしいからな。栄養あるし」

「私食べない派なんですけど……まあ、いいですよね。個人の自由だし。あっ、先輩! 森のエビフライって知ってますか?」
「アカマツの松ぼっくりだろ?」
「アカマツの松ぼっくり? それがどうして、森のエビフライなんですか~?」
「リスは松ぼっくりの実を好んで食べるんだが、その中の種が渋くて食べないんだ。種を残して食べると、エビフライの形をしていることから、森のエビフライって呼ばれるんだ」
「へえ……でも、それってエビフライの日と何か関係あるんですか~?」
「特にない」

「ないんだ……ま、まあ、いいですよ、そんなこと。藤堂先輩、大抵、こういった食関係の話の後は……」
「エビフライを用意してきた。食べるか?」
「「いただきます!」」
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