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129:発祥地

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「……美味しい」
「でしょ! 先輩の料理は結構イケるんです!」
「……」

「まぁ……あにぃ……ほどではありませんけど……」
「本当ですか~? 橘先輩って栄養があって食べられたらそれでいいってイメージがあるんですけど~」
「あ、あにぃをバカにしないでください!」
「顔が引きつってますよ~プププッ! 図星なんだ~」
「……」

「どうしたんですか、先輩? さっきから黙ったままで。これ、小説ですよ? 何も言わないとただの放送事故……」
「なぁ、なぜ、俺はお前等に料理を振る舞っているんだ?」
「だって、先輩、『違いの分かる男』選手権で負けたじゃないですか?」
「……だから?」
「紫苑さんが優勝したから商品を送らないといけないんでけど、私、今月お小遣いぴんちなんで、先輩に料理を振る舞ってもらっているんです」
「……納得いかねえ。紫苑はそれでいいのか?」
「別にいいですよ~。美味しいモノにありつけたんですから~。正直、棚ぼたですからね~」

「それはそうと、先輩。せっかくですし、違いの分かる男選手権の番外編をやりませんか?」
「番外編だと?」
「そうです。例えば、このナポリタン。名前からして海外が発祥地っぽいですけど、実は日本ですよね?」
「そうだな。横浜が発祥地だ」
「へえ、そうなんですね~」
「そういうの、言っていきません? 海外の料理名っぽいですけど、実は日本発祥の地の料理名」

「……トルコライスとかか?」
「ミルクレープもですよね~」
「ドリア!」
「冷やし中華」
「プリンアラモード~」
「ジャーマンポテト!」
「ジンギスカン」
「エビチリ~」
「天津飯! ではでは、逆は?」

「逆? 日本料理っぽいけど、海外が発祥の地か? なら、寿司」
「えっ? 寿司って日本じゃないんですか~?」
「元ネタは東南アジアの熟鮓なれずしだな」
「紫苑さん、天ぷらもそうなんですよ」
「えっ? そうなんですか!」
「ポルトガルが起源です。外国人がスシ! テンプラ! って言ってましたけど、実は日本食じゃなくて祖国の海外の料理を日本に来てまで食べていたってオチなんですよね」
「……あまり知りたくなかったかも」

「実は紫苑さん。訪日外国人観光客が選んだ日本の料理第一位は牛丼なんですよ」
「ええええええ!」
「ウソで~す」
「……殴っていいですか、藤堂先輩」
「やめてくれ」

「話しを戻しましょう。肉じゃがも海外が発祥の料理です」
「……藤堂先輩~?」
「イギリスだな。留学先で食べたビーフシチューを再現しようと、海軍の調理員にその材料を伝えて出来たのが肉じゃがらしい」
「……へぇ、そうなんだ……てっきり、日本が起源かと思ってました……」

「紫苑さん、アンデスメロンはどっちだと思います? 日本? 海外?」
「……話しの流れからして、日本? ですか?」
「正解! 安心して食べられるメロン! 安心ですメロン! アンデスメロンって名付けられました!」
「……待ってください。それは流石にウソでしょ? 騙されませんよ!」
「いや、紫苑、あってるぞ」

「ええええええええええ! だって、安心の心がぬけているじゃないですか!」
「紫苑、メロンを食べるとき、芯がないだろ?」
「えっ? 芯? 確かにないですけど……ま、まさか!」
「芯がない。芯を抜いて、アンデスメロン……らしい。一説だけどな」
「全然ウマくない!」
「でも、メロンは美味しいでしょ?」
「いや! そういうことじゃなくて! もうもう!」
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