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97:紫苑の正体
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「おはよう、伊藤さん」
「……」
「どうかした? また、正道と喧嘩した?」
「憶測で物を言わないでください。それと、私の機嫌が悪いと橘先輩に何か不都合でも?」
「な、何もないです(正道、何をしたの? いや、きっと原因は……)」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ね、ねえ、何か話さない? 放送事故になるよってね~」
「私伊藤ほのかと風紀委員長である橘左近先輩は風紀委員室にします。以上」
「……」
「あ、あのさ、今日11月5日はいいりんごの日って知ってた?」
「だから? 11月で『いい』をつければなんでも出来るじゃないですか」
「だ、だったらこれでどう? 縁結びの日。11(いい)5(ご)えんで……」
「『えん』はどこからきたんですか? 無理矢理過ぎます」
「で、電報の日っていうのは? 電報を申しこむ時に使用する電話番号が「115」だから」
「このご時世に電報を送る人、いるんですか?」
「いるとは思うんだけど……」
「……」
「……そ、そのギターケース、格好いいね。バンドでも始めたの?」
「……」
ぱかっ!
「ちょ、ちょっと! これ!」
「AS50ですが何か?」
「フツウに銃刀法違反だよね!」
「大丈夫です。弾は麻酔弾ですから。勿論、ICPO専任捜査官でも三十分は眠らせることの出来る弾ですから。時計型麻酔銃だって犯罪ではないんですし、これくらい可愛いですよね」
「何が大丈夫なのかツッコミが追いつかないんだけど!」
「早く姿を見せろ、汚らわしい毒女め……後輩のあざとさを利用し、丈の短いスカートで先輩を誘惑するなんて愚の骨頂! 一分一秒がこんなにも長く感じることはないですね、橘先輩」
「いや! 変なことに巻き込まないで! 僕、知らないから!」
「早く投降しろ……胸を腕に押しつければ男なんてチョロいなんて浅はかな考えを持つビッチめ……ターゲットがいつ来るのか、空を見上げて風に問いかけたい気分です」
「いやいやいや! 目が! 目が危ないよ、伊藤さん!」
「早く処刑されにこい……おだてたら男の機嫌なんて簡単にとれると思っている世間知らずのお嬢様に人誅する。大丈夫ですよ、橘先輩。風紀委員に迷惑をかけないよう、バレないよう一発で仕留めますから。ただ信じることに決めたんです」
「いやいやいや! 信じちゃダメだから! バレないってところがゲスい!」
「はぁ……はぁ……はぁ……よくも先輩の前でコケにしやがったな、あのクソ女! 笑顔振りまいていたらバカ男の好感度を上げられると思っている恋人のいない妄想女! Take The Wave 地獄の奈落にヤツを突き落とせよ タルタロスの方へ」
「いやいやいやいや! 伊藤さん。今、自分がどれだけブーメラン投げているか気づいてる? それになにげに正道をデスってるよね? とにかく、紫苑に手を出さないでね。これ、風紀委員長命令だから」
「ああん!」
「い、伊藤さん! 銃口を向けないで!」
「橘先輩、あの女にもう取り込まれたんですか? 大丈夫ですよ、橘せんぱ~い。今すぐ、目を覚ましてあげますから」
「永遠の眠りにつきそうだよ! 違うから! 僕は別に……」
「おはようございま~す!」
「「!!!」」
「あ~れ~、伊藤さんじゃないですか~。うわ~、それって鉄砲ですよね~、紫苑、怖い~」
「……」
「伊藤さん! 銃口を紫苑に向けないで! 僕にもね!」
「あにぃに……銃口向けるなぁああああ!」
「えっ? きゃあああああああああああああ!」
「ほんと、上司がゴリラなら、部下も脳筋ですね。このまま腕をへし折って……」
「紫苑! 僕を怒らせる気?」
「……命拾いしましたね、伊藤さん」
「……ゴリラってもしかして、先輩の事?」
「他に誰が? あの先輩、単純ですよね~。太ももガン見してくるし」
「先輩はそんな人じゃありません! スカート丈が短いから注意したかったから見ていただけです!」
「胸を押しつけたら、鼻の下伸ばしてましたけど?」
「迷惑がっていたでしょうが! 先輩は真面目なんです!」
「ちょっとすご~いっておだてたら、得意げにしてましたけど?」
「先輩はただ面倒見がいいだけです!」
「笑顔で笑いかけたらつられて顔、緩んでましたけど?」
「社交辞令ですから!」
「……伊藤さんって手のひら返すのが得意だよね? さっきまで同じ事言ってデスってたじゃない。紫苑、もうその手を離してあげて」
「……納得いかない。どうして、あにぃはこのビッチを庇うの? 少し痛い目にあって……」
「おい、やめろ」
「「「!!!」」」
「伊藤から手を離せ。もし、これ以上伊藤をキズつけてみろ。容赦しない」
「せ、先輩!」
「正道、落ち着いて。紫苑!」
「……慈悲深いあにぃに感謝してくださいね」
「ふぅ……ごめんね、伊藤さん。紫苑が迷惑をかけて」
「……」
「伊藤さん?」
「負けた……この私が負けた! ちくしょう!」
「いや、そんなバトル漫画の主人公が負けたみたいなノリで言われても……秒殺されてたよね?」
「伊藤」
「先輩……仇を……」
ごつん!
「あ痛ぁ! な、何するんですか!」
「心当たりがないと言いたいのか? モデルガンを左近に向けるなバカ者が!」
「ううっ……で、でも! どうして、先輩も橘先輩もあの女を庇うんですか!」
「「……」」
「どうして……」
「……ごめん、僕の従姉妹なんだ」
「はい?」
「彼女は橘紫苑。僕の従姉妹なんだ」
「……」
「どうかした? また、正道と喧嘩した?」
「憶測で物を言わないでください。それと、私の機嫌が悪いと橘先輩に何か不都合でも?」
「な、何もないです(正道、何をしたの? いや、きっと原因は……)」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ね、ねえ、何か話さない? 放送事故になるよってね~」
「私伊藤ほのかと風紀委員長である橘左近先輩は風紀委員室にします。以上」
「……」
「あ、あのさ、今日11月5日はいいりんごの日って知ってた?」
「だから? 11月で『いい』をつければなんでも出来るじゃないですか」
「だ、だったらこれでどう? 縁結びの日。11(いい)5(ご)えんで……」
「『えん』はどこからきたんですか? 無理矢理過ぎます」
「で、電報の日っていうのは? 電報を申しこむ時に使用する電話番号が「115」だから」
「このご時世に電報を送る人、いるんですか?」
「いるとは思うんだけど……」
「……」
「……そ、そのギターケース、格好いいね。バンドでも始めたの?」
「……」
ぱかっ!
「ちょ、ちょっと! これ!」
「AS50ですが何か?」
「フツウに銃刀法違反だよね!」
「大丈夫です。弾は麻酔弾ですから。勿論、ICPO専任捜査官でも三十分は眠らせることの出来る弾ですから。時計型麻酔銃だって犯罪ではないんですし、これくらい可愛いですよね」
「何が大丈夫なのかツッコミが追いつかないんだけど!」
「早く姿を見せろ、汚らわしい毒女め……後輩のあざとさを利用し、丈の短いスカートで先輩を誘惑するなんて愚の骨頂! 一分一秒がこんなにも長く感じることはないですね、橘先輩」
「いや! 変なことに巻き込まないで! 僕、知らないから!」
「早く投降しろ……胸を腕に押しつければ男なんてチョロいなんて浅はかな考えを持つビッチめ……ターゲットがいつ来るのか、空を見上げて風に問いかけたい気分です」
「いやいやいや! 目が! 目が危ないよ、伊藤さん!」
「早く処刑されにこい……おだてたら男の機嫌なんて簡単にとれると思っている世間知らずのお嬢様に人誅する。大丈夫ですよ、橘先輩。風紀委員に迷惑をかけないよう、バレないよう一発で仕留めますから。ただ信じることに決めたんです」
「いやいやいや! 信じちゃダメだから! バレないってところがゲスい!」
「はぁ……はぁ……はぁ……よくも先輩の前でコケにしやがったな、あのクソ女! 笑顔振りまいていたらバカ男の好感度を上げられると思っている恋人のいない妄想女! Take The Wave 地獄の奈落にヤツを突き落とせよ タルタロスの方へ」
「いやいやいやいや! 伊藤さん。今、自分がどれだけブーメラン投げているか気づいてる? それになにげに正道をデスってるよね? とにかく、紫苑に手を出さないでね。これ、風紀委員長命令だから」
「ああん!」
「い、伊藤さん! 銃口を向けないで!」
「橘先輩、あの女にもう取り込まれたんですか? 大丈夫ですよ、橘せんぱ~い。今すぐ、目を覚ましてあげますから」
「永遠の眠りにつきそうだよ! 違うから! 僕は別に……」
「おはようございま~す!」
「「!!!」」
「あ~れ~、伊藤さんじゃないですか~。うわ~、それって鉄砲ですよね~、紫苑、怖い~」
「……」
「伊藤さん! 銃口を紫苑に向けないで! 僕にもね!」
「あにぃに……銃口向けるなぁああああ!」
「えっ? きゃあああああああああああああ!」
「ほんと、上司がゴリラなら、部下も脳筋ですね。このまま腕をへし折って……」
「紫苑! 僕を怒らせる気?」
「……命拾いしましたね、伊藤さん」
「……ゴリラってもしかして、先輩の事?」
「他に誰が? あの先輩、単純ですよね~。太ももガン見してくるし」
「先輩はそんな人じゃありません! スカート丈が短いから注意したかったから見ていただけです!」
「胸を押しつけたら、鼻の下伸ばしてましたけど?」
「迷惑がっていたでしょうが! 先輩は真面目なんです!」
「ちょっとすご~いっておだてたら、得意げにしてましたけど?」
「先輩はただ面倒見がいいだけです!」
「笑顔で笑いかけたらつられて顔、緩んでましたけど?」
「社交辞令ですから!」
「……伊藤さんって手のひら返すのが得意だよね? さっきまで同じ事言ってデスってたじゃない。紫苑、もうその手を離してあげて」
「……納得いかない。どうして、あにぃはこのビッチを庇うの? 少し痛い目にあって……」
「おい、やめろ」
「「「!!!」」」
「伊藤から手を離せ。もし、これ以上伊藤をキズつけてみろ。容赦しない」
「せ、先輩!」
「正道、落ち着いて。紫苑!」
「……慈悲深いあにぃに感謝してくださいね」
「ふぅ……ごめんね、伊藤さん。紫苑が迷惑をかけて」
「……」
「伊藤さん?」
「負けた……この私が負けた! ちくしょう!」
「いや、そんなバトル漫画の主人公が負けたみたいなノリで言われても……秒殺されてたよね?」
「伊藤」
「先輩……仇を……」
ごつん!
「あ痛ぁ! な、何するんですか!」
「心当たりがないと言いたいのか? モデルガンを左近に向けるなバカ者が!」
「ううっ……で、でも! どうして、先輩も橘先輩もあの女を庇うんですか!」
「「……」」
「どうして……」
「……ごめん、僕の従姉妹なんだ」
「はい?」
「彼女は橘紫苑。僕の従姉妹なんだ」
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