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82:ホワイトデー

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「突然ですが! ホワイトデーの由来は何でしょう、先輩!」
「……」
「せ、先輩?」
「……」
「ううっ……そうだった……先輩がいないんだっけ……ぐすん。私の隣には……」
「どうかした? 伊藤さん」
(ううっ……知らないうちに私のパートナーは神宮寺 爽真そうま君。笑顔が綺麗な爽やかイケメンなんだけど……)
「い、いえ……なんでも……」
「藤堂先輩なんていないじゃない。その年で痴呆症なの?」

(で、でたー! 少女漫画あるあるのイケメンだけど中身は腹黒毒舌王子! 昔はイケメンだしいいかもって思ったけど、やっぱ無理! もう獅子王先輩でおなかいっぱいですから!)

「そうだ、伊藤さん。今日はホワイトデーだから、僕、忙しいんだ。もう、帰っていい?」
「待ちなさい! 風紀委員として、そんな理由で休んだらだめでしょ!」
「いや、伊藤さんだって同人誌の発売日には休むでしょ」
「なぜそれを知っている!」
「BL好きとか風紀委員としてどうなの?」
「ううううっ……」

「はぁ……仕方ない。ホワイトデーの由来だっけ? お菓子会社の陰謀だっけ?」
「違います! バレンタインは元々、ウァレンティヌス司祭の殉教の日です。皇帝クラウディウス2世が戦士の士気の低下を防ぐために兵士たちの結婚を禁止したんだけど、ウァレンティヌス司祭はそれに反発して兵士達を結婚させていたから、皇帝の怒りを買って処刑されたのが2/14。弔う意味がバレンタインデーの由来ね。3/14はその一ヶ月後の日。改めて二人の永遠の愛を誓い合ったというエピソードからきているわけ」
「なんで一ヶ月なの?」
「つ、月命日てきな?」
「仏教じゃん。キリスト教の司教でしょ?」
(き、キビシー。ツッコミがキツいよ~)

「ちなみにお返しのお菓子に意味があるの?」
「あるみたいですね。マシュマロは『あなたの気持ちを包み込んでお返しします』です」
「そうなの? 口の中に入れるとすぎに溶けて無くなるから、嫌いな人に対してのお返しだって聞いてるけど」
「いやいやいや! そんなことないですよ! 日本でのホワイトデーの起源はマシュマロデーって言われているくらいに有名ですから!」
「まあ、物は言い様だね。でも、お返しのお菓子に意味があるのって面倒。

クッキーは友達でいよう。
キャンディーは好きです。
マカロンは特別な人。
マドレーヌはもっと仲良くなってあなたのことが知りたい。

他にもあるけど、予算で決めてるんだから、別に意味なんてないし」
「言い切っちゃいましたよ、この人!」
「それに3倍返しとか、どんだけ強欲なの、女って。半沢○樹だって倍返しなのに、ありえないでしょ」
「……チェンジ! この人、面倒くさい! 今すぐ先輩に戻して!」
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