67 / 171
68:織田ほのか信長の野望 兄弟編
しおりを挟む
「私、伊藤ほのか十五歳。五時限目の歴史の授業で居眠りして気がつくと、戦国時代にきちゃった。しかも、織田信長になってるし! 女の子のままだけど、信長として生きてます!」
「と、殿……どうかされたのですか? いきなり誰もいないところに話しかけて」
「気にしないで、長秀クン。お約束だから……」
「は、はあ……(流石は尾張の大うつけ。何を考えているのかさっぱり分からん)」
(今、私に話しかけてきたイケメンは丹羽長秀クン。本家信長が『木綿藤吉 米五郎左 懸かれ柴田に 退き佐久間』と四人の武将を表した詠に出てくる米五郎左に該当する人が長秀クンってわけ。米のように地味だけど欠かせない存在って意味だよ。乙女ゲームに出てくる長髪イケメンで、もちろん、ちょんまげはしてない。これもお約束だよね。まあ、私が女の子のまま織田信長やってるし、そこはご都合主義ってことで)
「それよりも殿、一大事でございます。弟君の信勝様が……」
「逆心を抱いているって言いたいんでしょ?」
「あ、あくまで噂ですが……」
「はぁ……どうして、愚弟って姉に逆らう習性があるのやら……これはキツイお仕置きが必要ね」
「お、お言葉ですが殿、信勝様は殿と違って、常識人といいますか、折目高なる肩衣、袴めし候へて、あるべきごとくの御沙汰なりといいますか……」
「ああぁ、こっちの話しだから。それにしても、長秀クン。ちょっと毒があるよね? 殿に対してさ」
「殿、いい加減、態度を改めてください。男色の物語ばかりお読みになられて……嘆かわしい」
「ええっ~、女の子ならBLはフツウだって」
「び、び~える? 南蛮の言葉ですか?」
「そう……なのかな? とにかく、武士同士の恋愛は素敵ってこと。趣もあるし、かの有名な藤原頼長も男色家だったし。男色の開祖は空海って知ってた? それにあっ、そうだ! 長秀クンにも貸してあげようか? おすすめの本を五十冊ほど」
「ご、五十冊! 結構です!(殿の闇が深すぎる!) それよりも、信勝様のことです!」
「だよね~。戦国時代ってホント、家督争いで兄弟とか戦うよね~。仁義なき戦いじゃん。周りにはいっぱい敵がいるのにさ~」
「兄弟と言わず、親と戦う事もありますからね。殿の心中お察しします」
「ありがとね、長秀クン。でも、これも長男の定めだし、頑張りますか。確かあっちには柴田……」
「殿……殿は長男ではありません」
「えっ? そりゃそうだけど、一応、私は織田家の長男ってポジションだし。女の子だけど」
「いえ、信長様は次男でございます。長男は信広様でございます」
「えっ? 信広って人、いたの? 私……っていうか、信長って長男じゃなかったの!」
『丹羽長秀の言う通り、織田家の長男は信広だよ、伊藤さん。ちなみに腹違いの兄だけど』
「あ、頭の中に直接声が聞こえてきた! って、この声って……橘先輩?」
『違う。僕の名はサコーン。天の声だと思ってくれていいよ。ほら、○○○系でよくあるじゃない』
「いや、ありますけど! いろいろとツッコミどころがあるんですけど、信広って人、どこにいるんです?」
『今川家の捕虜になってたけど、竹千代と人質交換されて、戻ってきているはずだけど』
「ダサ! 竹千代って徳川家康だっけ?」
『そうだよ。信広も信勝と同じく裏切るから注意してね。まあ、裏切り者の末路は大抵同じ結末だけどね』
「怖ぁ! 聞きたくなかった……はぁ……私、長男じゃないんだ……いや、女の子だからいいだんけど……」
『ちなみに信広の娘がそこにいる長秀の嫁になるわけだけどね』
「殿? 大丈夫ですか? もし、心労がたまっているのなら、この長秀めにお話しください。何が出来るというわけではありませんが、それでも……」
「ありがとね、長秀クン。とりあえず、尾張をなんとかしないとね。そこに住む民のためにも……」
「左様でございますね……(殿は時々、まともなことをおっしゃるから手を焼かされる。ですが、この長秀、殿のためにこの命を賭して尽くす所存です)」
――――――――――――――――――――――――――――――
このお話は戦国武将である織田信長のトレビアのお話です。
諸説の一つを独断と偏見で書いていますので、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
「と、殿……どうかされたのですか? いきなり誰もいないところに話しかけて」
「気にしないで、長秀クン。お約束だから……」
「は、はあ……(流石は尾張の大うつけ。何を考えているのかさっぱり分からん)」
(今、私に話しかけてきたイケメンは丹羽長秀クン。本家信長が『木綿藤吉 米五郎左 懸かれ柴田に 退き佐久間』と四人の武将を表した詠に出てくる米五郎左に該当する人が長秀クンってわけ。米のように地味だけど欠かせない存在って意味だよ。乙女ゲームに出てくる長髪イケメンで、もちろん、ちょんまげはしてない。これもお約束だよね。まあ、私が女の子のまま織田信長やってるし、そこはご都合主義ってことで)
「それよりも殿、一大事でございます。弟君の信勝様が……」
「逆心を抱いているって言いたいんでしょ?」
「あ、あくまで噂ですが……」
「はぁ……どうして、愚弟って姉に逆らう習性があるのやら……これはキツイお仕置きが必要ね」
「お、お言葉ですが殿、信勝様は殿と違って、常識人といいますか、折目高なる肩衣、袴めし候へて、あるべきごとくの御沙汰なりといいますか……」
「ああぁ、こっちの話しだから。それにしても、長秀クン。ちょっと毒があるよね? 殿に対してさ」
「殿、いい加減、態度を改めてください。男色の物語ばかりお読みになられて……嘆かわしい」
「ええっ~、女の子ならBLはフツウだって」
「び、び~える? 南蛮の言葉ですか?」
「そう……なのかな? とにかく、武士同士の恋愛は素敵ってこと。趣もあるし、かの有名な藤原頼長も男色家だったし。男色の開祖は空海って知ってた? それにあっ、そうだ! 長秀クンにも貸してあげようか? おすすめの本を五十冊ほど」
「ご、五十冊! 結構です!(殿の闇が深すぎる!) それよりも、信勝様のことです!」
「だよね~。戦国時代ってホント、家督争いで兄弟とか戦うよね~。仁義なき戦いじゃん。周りにはいっぱい敵がいるのにさ~」
「兄弟と言わず、親と戦う事もありますからね。殿の心中お察しします」
「ありがとね、長秀クン。でも、これも長男の定めだし、頑張りますか。確かあっちには柴田……」
「殿……殿は長男ではありません」
「えっ? そりゃそうだけど、一応、私は織田家の長男ってポジションだし。女の子だけど」
「いえ、信長様は次男でございます。長男は信広様でございます」
「えっ? 信広って人、いたの? 私……っていうか、信長って長男じゃなかったの!」
『丹羽長秀の言う通り、織田家の長男は信広だよ、伊藤さん。ちなみに腹違いの兄だけど』
「あ、頭の中に直接声が聞こえてきた! って、この声って……橘先輩?」
『違う。僕の名はサコーン。天の声だと思ってくれていいよ。ほら、○○○系でよくあるじゃない』
「いや、ありますけど! いろいろとツッコミどころがあるんですけど、信広って人、どこにいるんです?」
『今川家の捕虜になってたけど、竹千代と人質交換されて、戻ってきているはずだけど』
「ダサ! 竹千代って徳川家康だっけ?」
『そうだよ。信広も信勝と同じく裏切るから注意してね。まあ、裏切り者の末路は大抵同じ結末だけどね』
「怖ぁ! 聞きたくなかった……はぁ……私、長男じゃないんだ……いや、女の子だからいいだんけど……」
『ちなみに信広の娘がそこにいる長秀の嫁になるわけだけどね』
「殿? 大丈夫ですか? もし、心労がたまっているのなら、この長秀めにお話しください。何が出来るというわけではありませんが、それでも……」
「ありがとね、長秀クン。とりあえず、尾張をなんとかしないとね。そこに住む民のためにも……」
「左様でございますね……(殿は時々、まともなことをおっしゃるから手を焼かされる。ですが、この長秀、殿のためにこの命を賭して尽くす所存です)」
――――――――――――――――――――――――――――――
このお話は戦国武将である織田信長のトレビアのお話です。
諸説の一つを独断と偏見で書いていますので、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-
Keitetsu003
恋愛
終わりが失恋だとしても、彼らは愛し続けるだろう。愚かなまでに……。
不良の楽園と呼ばれる町、青島で『不良狩り』と呼ばれる風紀委員がいた。
その名は、藤堂正道。
不良達の起こす理不尽な行動が許せなくて、今日も自分の信念に基づいて不良と真っ向からぶつかっていた。
そんな正道の前に、青島高等学校最大の問題児があらわれる。
予想もしなかった、予測すらできなかった問題児に、正道はどう立ち向かっていくのか。
*この物語は様々な恋愛がテーマとなっています。
第一部……ハーレム
第三部……同性愛
第四部……失恋
番外編……友情
第五部~……家族愛
『アルファポリス』様のサイトで番外編『藤堂正道のおしゃべり』を投稿しています。もし、よろしければ読んでみてください。
『小説家になろう』様『カクヨム』で投稿しています。
尚、『第七部 俺達の家族 -団結編-』の『兄さんなんて大嫌いです! 藤堂正道SIDE』は小説家になろう様のみ投稿していますので、そちらもぜひ寄ってみてください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる