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45:損害

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「先輩、お疲れ様です」
「おう、お疲れ、伊藤。暑さはまだまだ続くからな。ほれ、水分補給しておけ」
「ありがとです、先輩。それにしても、台風の被害、凄いっすね」
「全くだ。科学がどれだけ進んでも、いや、進むからこそ、被害は大きくなるのかもな。青島はまだ被害は小さかったが、関東はかなりヤバいらしいな」
「ですね。ゴルフ練習場の鉄柱が家に落ちたり、屋根が吹き飛んだり、電信柱が倒れて停電になったりしてますもんね。電車も止まったり、計画運休で首都圏の交通がマヒしてますし。停電はこの暑さではしんどいっすよね。私、サバ○バルファミリー思い出しましたよ」
「つくづく台風が直撃しなくてよかったと思うな。事前に気象庁が警告していたが、これほどまでとは思わないよな」
「全くです。ちなみに、台風で屋根が飛んだり、瓦や看板とか飛んできて家や車が破損したら、誰が保証してくれるんですかね?」
「自己責任らしいぞ」
「厳しっすね」
「国も信号や道路といった公共の施設をなおすので手一杯だろうしな。ただ、例外はあるからな。強風で建物が崩壊して他の建物を傷つけた場合でも、壊れた建物が最初から壊れる可能性があった場合は該当しないハズだ。後は保険だな。車は任意保険でなんとかなるかもしれないし、火災保険に水災、風災、落雷の被害もカバーしているものもある。ただ、安い保険はそこらへんが削られているのでアウトかもしれない」
「難しいですよね。台風の被害、恐ろしさは知っているつもりですが、まさか、自分の住んでいる地域が被害に遭うなんて思いもしないですし。災害グッズもそうそうありませんもんね。保険がきくとしても、すぐにもらえるわけではないですし、書類に必要事項書かないといけませんもんね。後、どうでもいいんですけど、どうして私達は台風の後片付けをしているんでしょうか?」
「困ったときはお互い様だろ? 左近は売名行為で受けたんだけどな」
「許せないっす!」
「まあ、実際に困っている人がいるんだ。助けてやりたいだろ?」
「それなら、もっとお役所の人が頑張って欲しいんですけどね」
「愚痴ってないで作業を進めるぞ」
「は~い。一日も早い復興を心からお祈りしますってことで」
「そうだな。みんなで協力して、乗り切ろう」
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