38 / 150
38:蚊
しおりを挟む
「先輩、冒頭ですが失礼します。ほのかパーンチ!」
「ぐほっ!」
「あ、逃げられちゃいました」
「……お前、いきなり何しやがる」
「いや、先輩の横顔に蚊がいたのでつい……本当ですよ?」
「お前は……いい加減にしろ!」
パチン!
「いひゃい! 両頬をぱっちんしないでください! 女の子ですよ、私」
「やかましい! もし、俺の頬に蚊の死骸がついたら気持ち悪いだろうが! 人として常識的な判断をしろ、愚か者!」
「ううっ……試してみたかったんですよ」
「何をだ?」
「ほら、漫画やアニメでは、人の顔に蚊がいたら、叩くじゃないですか。でも、誰も蚊を仕留めた人はいないんですよね、たぶん。蚊って避けるとき早すぎません?」
「自分で試せ。それと蚊を叩くときは縦に叩いてみろ」
「どうしてですか?」
「蚊の飛び方は独自の空気力学のメカニズムらしくてな、上に飛んでも小さい羽では高度を維持できず、下に落ちるらしい。だから、横から叩くと上下に移動している蚊を仕留めるのは難しいが、縦から叩くと、楽に殺れるらしいぞ」
「なるほど。試してみましょう。都合よく蚊がいました。えいっ!」
パチン!
ブゥウウウウウウン~。
「逃げられたな」
「逃げられましたね。どういうことっすかね?」
「伊藤の運動神経がダメってことだろ?」
「ええええっ! 私のせいっすか! そこまで言うのなら、先輩が見本を見せてくださいよ!」
「任せておけ。運良く蚊が現れたな。しかも、壁に止まっている」
「……これってどうやって縦に叩くんですか?」
「まあ、見てろ」
シュー!
パタン。
「よし!」
「……今のなんっすか?」
「スプレーだ。別の殺虫剤でなくても制汗スプレーでもなんでもいい。二、三秒かけたら、蚊は地面に落ちる。ただ、死んだわけではない。動きが止まるだけだ。だから……」
ぶちっ!
「動けないうちに殺すに限る」
「うわ……縦の叩き関係ないっすね。でも、私もお風呂で経験があるんですけど、シャワーの水を蚊に浴びせたら落ちますね」
「羽が濡れて重くて飛べなくなるのかもな。後、蚊は仕留め損ねても、叩いた人の臭いを覚え、危険回避からその人に近寄らないって情報もあるが……俺は刺されたな」
「私もっす。昔、蚊は一度しか血を吸えないって言ってましたけど、今では何度も血を吸って、1mgほど吸ったら吸血を止めるみたいですね。ちなみに、蚊は血が欲しいのではなくて、卵巣を発達させる為にタンパク質を確保してるみたいですね」
「蚊を通じて病原体が体内に入ってくるから、有効な知識を積んで対策していきたいな」
「全くです。ときどき、変なところを刺されるので迷惑なんですよね。あっ、先輩。今、エッチなこと、想像しませんでしたか?」
「するか。いい加減、そのだらしない格好はやめろ。胸元開きっぱなし、スカート丈短すぎ、他にも……」
「あ~あ~聞こえない! 大体、このナイスバディを余すことなくさらけ出しているのは、サービスですから!」
「サービスだと?」
「先輩、知ってます? ヒロインの露出が多くなると人気が上がるって。それに、私くらいじゃないですか。セクシー&キュートな女の子は。ルパン○世で例えるなら、峰○二子さんです。つまり、このお話には必要不可欠な人物なんです! 恥を忍んで体を張って物語に貢献する私、いい仕事してると思いませんか?」
「伊藤……」
「先輩……」
「このドアホ! お前くらいだ! 風紀委員で風紀を乱しているヤツは! 風紀委員にセクシーなんてもの、求めてねえんだよ! お前のはただ可愛く見せるだけに露出してるだけだろうが!」
「ひぃええええ!」
「ぐほっ!」
「あ、逃げられちゃいました」
「……お前、いきなり何しやがる」
「いや、先輩の横顔に蚊がいたのでつい……本当ですよ?」
「お前は……いい加減にしろ!」
パチン!
「いひゃい! 両頬をぱっちんしないでください! 女の子ですよ、私」
「やかましい! もし、俺の頬に蚊の死骸がついたら気持ち悪いだろうが! 人として常識的な判断をしろ、愚か者!」
「ううっ……試してみたかったんですよ」
「何をだ?」
「ほら、漫画やアニメでは、人の顔に蚊がいたら、叩くじゃないですか。でも、誰も蚊を仕留めた人はいないんですよね、たぶん。蚊って避けるとき早すぎません?」
「自分で試せ。それと蚊を叩くときは縦に叩いてみろ」
「どうしてですか?」
「蚊の飛び方は独自の空気力学のメカニズムらしくてな、上に飛んでも小さい羽では高度を維持できず、下に落ちるらしい。だから、横から叩くと上下に移動している蚊を仕留めるのは難しいが、縦から叩くと、楽に殺れるらしいぞ」
「なるほど。試してみましょう。都合よく蚊がいました。えいっ!」
パチン!
ブゥウウウウウウン~。
「逃げられたな」
「逃げられましたね。どういうことっすかね?」
「伊藤の運動神経がダメってことだろ?」
「ええええっ! 私のせいっすか! そこまで言うのなら、先輩が見本を見せてくださいよ!」
「任せておけ。運良く蚊が現れたな。しかも、壁に止まっている」
「……これってどうやって縦に叩くんですか?」
「まあ、見てろ」
シュー!
パタン。
「よし!」
「……今のなんっすか?」
「スプレーだ。別の殺虫剤でなくても制汗スプレーでもなんでもいい。二、三秒かけたら、蚊は地面に落ちる。ただ、死んだわけではない。動きが止まるだけだ。だから……」
ぶちっ!
「動けないうちに殺すに限る」
「うわ……縦の叩き関係ないっすね。でも、私もお風呂で経験があるんですけど、シャワーの水を蚊に浴びせたら落ちますね」
「羽が濡れて重くて飛べなくなるのかもな。後、蚊は仕留め損ねても、叩いた人の臭いを覚え、危険回避からその人に近寄らないって情報もあるが……俺は刺されたな」
「私もっす。昔、蚊は一度しか血を吸えないって言ってましたけど、今では何度も血を吸って、1mgほど吸ったら吸血を止めるみたいですね。ちなみに、蚊は血が欲しいのではなくて、卵巣を発達させる為にタンパク質を確保してるみたいですね」
「蚊を通じて病原体が体内に入ってくるから、有効な知識を積んで対策していきたいな」
「全くです。ときどき、変なところを刺されるので迷惑なんですよね。あっ、先輩。今、エッチなこと、想像しませんでしたか?」
「するか。いい加減、そのだらしない格好はやめろ。胸元開きっぱなし、スカート丈短すぎ、他にも……」
「あ~あ~聞こえない! 大体、このナイスバディを余すことなくさらけ出しているのは、サービスですから!」
「サービスだと?」
「先輩、知ってます? ヒロインの露出が多くなると人気が上がるって。それに、私くらいじゃないですか。セクシー&キュートな女の子は。ルパン○世で例えるなら、峰○二子さんです。つまり、このお話には必要不可欠な人物なんです! 恥を忍んで体を張って物語に貢献する私、いい仕事してると思いませんか?」
「伊藤……」
「先輩……」
「このドアホ! お前くらいだ! 風紀委員で風紀を乱しているヤツは! 風紀委員にセクシーなんてもの、求めてねえんだよ! お前のはただ可愛く見せるだけに露出してるだけだろうが!」
「ひぃええええ!」
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる