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19:インフルエンザ

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「寒いですね……」
「ああ……」
「……」
「……」
「ちょっとちょっとちょっと! 話が終わっちゃったじゃないですか! 大寒日だからって、寒さに負けず、盛り上がっていきましょうよ!」
「伊藤は寒さに強そうだな。流石は真冬でもミニスカで素足を出している事はある。タイツくらいは履いておけよ」
「雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けぬ女子高生の可愛さを追求した素足をナメないでください」
「宮沢なにがしか、己は……へっぷし!」
「あら、やだ、先輩。くしゃみ可愛い」
「ほっとけ。少し風邪気味なんだ」
「先輩でも風邪を引くんですね」
「俺のこと、バカにしてるのか?」
「バカ真面目だって言いたいんです。風邪を引いているのなら、一日くらい見回りを休めばいいのに。私、心配しているんですよ」
「……ほっておけ、と言いたいところだが、伊藤に風邪をうつしでもしたら大変だ。今日は切り上げるか」
「そうですね。あっ、ちゃんと病院に行ってくださいね。最近、インフルエンザが流行っているみたいですから」
「確かにな。一応、予防接種はうけているから、さほど問題ないと思うのだが」
「油断大敵ですよ、先輩。予防接種を受けたからって、インフルエンザにかかる人はいるみたいですから」
「だろうな。予防接種は発病や発病後の重症化を予防する為のものだからな。過信せず、他にも対策を立てるべきだ」
「ですよね~。先輩、知ってます? うがいってインフルエンザの予防には全然効果がないんですって。インフルエンザウイルスがのどの粘膜や気管支の細胞に付着した場合、細胞の中へ侵入するのに要する時間は数分から二十分らしいです。つまり、付着した後、うがいを数分以内にしないとダメなんですけど、無理ですよね? そんなこと」
「ケースバイケースだと思うがな。うがいをすることでウイルスを物理的に除去できるらしいし、対策の一つとして知っておいて損はないと思うぞ。手洗いやマスクもあまり効果がないみたいなことを言われているが、口を触ってしまうクセのある人はそこからウイルスがはいる可能性があるから手洗いをしておくべきだと思うし、マスクで予防できなくても、乾燥を防ぐ、くしゃみをとばさずにすむメリットはある。大切なのは自分の出来る範囲であまり神経質にならずに行動する事だと俺は思う。気にしすぎたらストレスになって健康にもよくないからな」
「小さな事からコツコツと、塵積ですね。私もできる事から始めようと思います。では、早速、私もできる事から始めましょう! むぎゅ~」
「……なぜ、腕に抱きつく、伊藤」
「ほら、温かいでしょ? 病気の時は体を温めるのがいいって言いますし。お互い体をくっつけて温めあえれば、寒さも吹き飛びますし、一石二鳥ですよね、先輩」
「……歩きにくいのだが」
「この正直者! 私の優しさをかえせ!」
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