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ブルーカラー面々へのパイルバンカーお披露目と……
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翌日ログインし、あの日自分に詰め寄ったブルーカラーの面々に【パイルバンカーできたから試射会やるよ】と伝えたら十分もかからずに集合した。皆さん行動が素早いね……でもその後にツヴァイからウィスパーで【レイジやカザミネが血相を変えて出て行ったんだが何かあったのか?】と混乱気味の声で聞かれてしまったが。
「で、どこでやるかって話なんだけど……その前に一つ。エリザさん、貴女は興味なかったのでは?」「むしろ、これだけの面々が血相を変えるとなれば興味を持つなと言うのが無理な話でしょう?」
と、エリザまで来ていた。まあそれは別にいいけどさ。こっちも前に興味がない、ただの杭打機でしょうと言ってたのにここに居るのが気になっただけだし。と言う訳で、実際に見せるために白の塔の浅い階層に移動。こんなに大勢で塔の中を歩くのは初めてだな。
「じゃあ、レイジや私がモンスターの大半を始末しますね」「その後準備が整った所でアースさんに実演を見せて頂ければ、と」
カザミネとカナさんの言葉に自分は頷く。ここいらのモンスターならよっぽどの油断をしなければおくれはとらないし、不意打ちを得意とするモンスターもいない。それでお願いしますと伝えて数分後、モンスターの一団を発見したので自分が釣りだし、レイジがタンクとしてモンスターのヘイトを集め、後はカザミネやカナさんを始めとしたブルーカラーの面々がモンスターを切り飛ばした。
「じゃ、実演行くので見やすい場所に移動してくださいねー」
一匹だけ残った鎧を装備しているオーク型のモンスターを相手に注意を引きつけながら自分は宣言する。その言葉を聞いて集まってきていた面々は各自やや離れた場所で見物体制に入る。それを確認して、自分は左手のパイルバンカーを起動する。後はタイミングを見計らって──
「これが、ワンモア式のパイルバンカーだ!」
と言う声と共にオークに向けて発動した。二本の杭は容易くオークの鎧を貫いて深々と突き刺さり、一拍置いて内部で炸裂。爆発音と共にオークが文字通り消し飛んだ。その様子を確認した自分はすぐにリロードを行って杭を詰めておく。さて、どんな感想を頂けるだろうか。
「起動時の音、突き刺さった時の音、そして刺さった所から爆発させるタイプの杭か……たまらないな」
これはレイジの感想。それと同時にレイジの目が自分の左腕に装備されているパイルバンカーにくぎ付けになっている。気持ちはわかる、使ってみたくなるよね。だが、これはレンタルも譲る事も出来ないように設定されてしまっている。なのでレイジに使わせてあげる事は不可能なんだよね。
「凄いね、鎧があろうが関係なく貫いてるのが見えたよ。そしてさらに爆発かぁ……アース君の装備がまた凶悪になってるよ。まあ、らしいと言えばらしいね!」
これはロナちゃん。酷い言われようだが、言われるだけの事をしてきてるから反論できないなぁ。うん、冷静になって見返してみるとスタート地点から自分は色々と、まあいろいろと無茶苦茶な進み方をしてきたよなぁ。
「これがパイルバンカーですか。杭を打ち込むようにする理由は謎ですが、それでも鎧を貫き内部から破壊するというのを見せて頂いた以上おもちゃとも言えませんわね……どうやら杭をそらされない角度から打ち込めばいいようですし、魔法使いが近接戦闘を強要された時の隠し玉として持つのもありなのでしょうか」
とエリザ。杭打機をわざわざ武器として使用する事については訳が分からないが、その威力と貫通力と言う点を見て有用な部分もあると分析した感じかな。こいつはかなり軽いので、魔法使いが装備する事も可能かな。ただ最大の問題は、こいつが親方率いる鍛冶チームの一品物って所。金出せば買えるってモノじゃないんだよね。正直、材料があっても自分じゃ作れないと思う。
「ああ、実にいいですね。爆発までさせてくれるとは、いい美学です」
少々うっとりしてるのがカナさん。ちょっと怖いと思ったのは絶対に秘密だ。うーん、もしかしてカナさんはリアルでも日本刀見るとうっとりしちゃう系かな? でも日本刀は美術品としての側面も持ってるからそれはうっとりしてもおかしくはないか。でも怖い。
「しかし、本当に作っちゃったんですね。もちろんメカ物とは中身も仕組みも違うんでしょうけど、見た目と攻撃内容はまさにパイルバンカーでしたね。しかもかなり小型ですし、取り回しもよさそうです。不意の一撃がえげつない事になりそうですよ」
そしてカザミネの感想がこれ。うん、まあ作っちゃったからね。一応仕組みは自分が考えたけど、そこからさらに品質と性能を上げたのは親方達だからなぁ。これとうり二つの性能を持つ者は絶対自分には無理。親方達じゃないとな……親方達も塔を降りちゃったし、もう一回来るかどうかは分からないし。
(と言うか、忘れてた。親方達に手紙を渡しておけばよかった……情報としてはいっているんだろうけど、やっぱり自分からも報告すべきだったよなぁ)
と、不意に思い出したのは親方達が塔を降りるときに、フェアリークィーンや龍王様、エルフ&ダークエルフの長老様に魔王様に向けての手紙を書いて渡そうかと考えていた事。塔の主は世界に攻め入る意思はない事を確認できましたよと報告する内容で書こうかなと思っていたけど、忘れてしまった。
(申し訳ないけど、機会もそうそうないしな。親方やお弟子さん達にもう一回来てくれって言う訳にもいかん)
結局忘れた自分が一番悪い。うーん、やらかした。とはいっても念話? は過去にレッドドラゴンの王様や奥方様とやったことあるけど、あれは自分からのつなぎ方が分からないんだよなぁ。ウィスパーチャットとは完全に別物だし。あれが出来れば報告が簡単なんだけど──どうにもならんか。
「所でアース、試射は一発だけか?」「あ、ううん、そんな事ないぞ。見たい人がいるなら何発でも」「だそうだ、いっぱい見せてもらおうぜ」
そんな事を考えていたらレイジから確認が来たのでそう返答した。事実この後塔から出るまでに五〇発ほどパイルバンカーをオークやオーガのどてっぱらにぶち込んで爆発四散させた。いや、オークは木っ端みじんの方が表現として正しいか。文字通り消し飛ばしたからなぁ。そのおかげで終盤のエリザからは──
「その武器はどこで手に入れられるのでしょうか? 恐らくではありますが、アースさんの作った武器ではありませんわよね? なんというか今まで使ってきた武器と比べて色が違います」
とまで言われた。エリザにとってみれば、魔法に頼らないで高威力が出せる択が欲しいって所なんだろうな。あと、散々今まで自分を見てきただけあって、このパイルバンカーが自作品ではない事も完全に見抜いていた。こういう目利きはエリザ鋭いんだよなぁ……リアルを追求する気はないが、この子もたいがい謎だよな。
「──なんとなく考えていることがわかったので申し上げておきますが、アースさんもなかなかに謎ですよ? この塔をパーティが強要されるところ以外ソロで登るという事をしておいて、こういった武器に限らず料理などを含めた制作系もこなすとか正直存在がバグ的な存在だという事を自覚してくださいまし。普通の人は、ここまでやりませんしやれませんわ」
なんというか、こちらの内心を的確に見抜いてきた挙句お小言を貰ってしまった。ゲームシステム的に自分は弱キャラなんだよな……特にスキルシステム系のRPGだと、自分みたいに武器使います、魔法も用います、生産もやりますとなるとどっちつかずで先に進めなくなる。だからこそ捨てる部分は捨てて高める部分を高める物である。
それがまあ、エリザの行ったような事をしちゃってるからバグ扱いされても文句が言えない。もちろん装備とその装備を手に入れる事が出来た行動と縁があったからこそ可能になった訳だけど。この今使っている装備が無かったら、その装備を作ってくれる、素材を分けてくれる人たちと良い縁が結べなかったら、そして鍛えてくれる師匠が居なかったら自分はここにはいない。
とどのつまり、ソロプレイなんて言っているがその実多くのワンモアの人々に支えられているのである。それを忘れて自分一人の力で成したなんて言おうものならただのピエロである。
「ま、それを可能とするだけの縁をこの世界は与えてくれた。だから今こうしていられるって事だね」「奇縁の域ですねそれは。しかし、羨ましくもあります。私ももう少し早く、自分の無駄なプライドの高さを改める事が出来れば縁を得る事が出来たのでしょうか」
エリザとこんな事を話す機会が来るとはなぁ。初対面の時は本当にあれだったが……でも、今のエリザならば好意的に接する事が出来る。彼女も変わったな。なんてことを思いながら、ブルーカラーの一部面子と行くパイルバンカーの試射は終わった。この付き合いもあと一月でお終いと思うと、やっぱり寂しく感じる物がある、な。
*****
トップクラスに初登場時と今では違うキャラの一人はエリザでしょうね。
彼女の両親も彼女の変化には肯定的です。
「で、どこでやるかって話なんだけど……その前に一つ。エリザさん、貴女は興味なかったのでは?」「むしろ、これだけの面々が血相を変えるとなれば興味を持つなと言うのが無理な話でしょう?」
と、エリザまで来ていた。まあそれは別にいいけどさ。こっちも前に興味がない、ただの杭打機でしょうと言ってたのにここに居るのが気になっただけだし。と言う訳で、実際に見せるために白の塔の浅い階層に移動。こんなに大勢で塔の中を歩くのは初めてだな。
「じゃあ、レイジや私がモンスターの大半を始末しますね」「その後準備が整った所でアースさんに実演を見せて頂ければ、と」
カザミネとカナさんの言葉に自分は頷く。ここいらのモンスターならよっぽどの油断をしなければおくれはとらないし、不意打ちを得意とするモンスターもいない。それでお願いしますと伝えて数分後、モンスターの一団を発見したので自分が釣りだし、レイジがタンクとしてモンスターのヘイトを集め、後はカザミネやカナさんを始めとしたブルーカラーの面々がモンスターを切り飛ばした。
「じゃ、実演行くので見やすい場所に移動してくださいねー」
一匹だけ残った鎧を装備しているオーク型のモンスターを相手に注意を引きつけながら自分は宣言する。その言葉を聞いて集まってきていた面々は各自やや離れた場所で見物体制に入る。それを確認して、自分は左手のパイルバンカーを起動する。後はタイミングを見計らって──
「これが、ワンモア式のパイルバンカーだ!」
と言う声と共にオークに向けて発動した。二本の杭は容易くオークの鎧を貫いて深々と突き刺さり、一拍置いて内部で炸裂。爆発音と共にオークが文字通り消し飛んだ。その様子を確認した自分はすぐにリロードを行って杭を詰めておく。さて、どんな感想を頂けるだろうか。
「起動時の音、突き刺さった時の音、そして刺さった所から爆発させるタイプの杭か……たまらないな」
これはレイジの感想。それと同時にレイジの目が自分の左腕に装備されているパイルバンカーにくぎ付けになっている。気持ちはわかる、使ってみたくなるよね。だが、これはレンタルも譲る事も出来ないように設定されてしまっている。なのでレイジに使わせてあげる事は不可能なんだよね。
「凄いね、鎧があろうが関係なく貫いてるのが見えたよ。そしてさらに爆発かぁ……アース君の装備がまた凶悪になってるよ。まあ、らしいと言えばらしいね!」
これはロナちゃん。酷い言われようだが、言われるだけの事をしてきてるから反論できないなぁ。うん、冷静になって見返してみるとスタート地点から自分は色々と、まあいろいろと無茶苦茶な進み方をしてきたよなぁ。
「これがパイルバンカーですか。杭を打ち込むようにする理由は謎ですが、それでも鎧を貫き内部から破壊するというのを見せて頂いた以上おもちゃとも言えませんわね……どうやら杭をそらされない角度から打ち込めばいいようですし、魔法使いが近接戦闘を強要された時の隠し玉として持つのもありなのでしょうか」
とエリザ。杭打機をわざわざ武器として使用する事については訳が分からないが、その威力と貫通力と言う点を見て有用な部分もあると分析した感じかな。こいつはかなり軽いので、魔法使いが装備する事も可能かな。ただ最大の問題は、こいつが親方率いる鍛冶チームの一品物って所。金出せば買えるってモノじゃないんだよね。正直、材料があっても自分じゃ作れないと思う。
「ああ、実にいいですね。爆発までさせてくれるとは、いい美学です」
少々うっとりしてるのがカナさん。ちょっと怖いと思ったのは絶対に秘密だ。うーん、もしかしてカナさんはリアルでも日本刀見るとうっとりしちゃう系かな? でも日本刀は美術品としての側面も持ってるからそれはうっとりしてもおかしくはないか。でも怖い。
「しかし、本当に作っちゃったんですね。もちろんメカ物とは中身も仕組みも違うんでしょうけど、見た目と攻撃内容はまさにパイルバンカーでしたね。しかもかなり小型ですし、取り回しもよさそうです。不意の一撃がえげつない事になりそうですよ」
そしてカザミネの感想がこれ。うん、まあ作っちゃったからね。一応仕組みは自分が考えたけど、そこからさらに品質と性能を上げたのは親方達だからなぁ。これとうり二つの性能を持つ者は絶対自分には無理。親方達じゃないとな……親方達も塔を降りちゃったし、もう一回来るかどうかは分からないし。
(と言うか、忘れてた。親方達に手紙を渡しておけばよかった……情報としてはいっているんだろうけど、やっぱり自分からも報告すべきだったよなぁ)
と、不意に思い出したのは親方達が塔を降りるときに、フェアリークィーンや龍王様、エルフ&ダークエルフの長老様に魔王様に向けての手紙を書いて渡そうかと考えていた事。塔の主は世界に攻め入る意思はない事を確認できましたよと報告する内容で書こうかなと思っていたけど、忘れてしまった。
(申し訳ないけど、機会もそうそうないしな。親方やお弟子さん達にもう一回来てくれって言う訳にもいかん)
結局忘れた自分が一番悪い。うーん、やらかした。とはいっても念話? は過去にレッドドラゴンの王様や奥方様とやったことあるけど、あれは自分からのつなぎ方が分からないんだよなぁ。ウィスパーチャットとは完全に別物だし。あれが出来れば報告が簡単なんだけど──どうにもならんか。
「所でアース、試射は一発だけか?」「あ、ううん、そんな事ないぞ。見たい人がいるなら何発でも」「だそうだ、いっぱい見せてもらおうぜ」
そんな事を考えていたらレイジから確認が来たのでそう返答した。事実この後塔から出るまでに五〇発ほどパイルバンカーをオークやオーガのどてっぱらにぶち込んで爆発四散させた。いや、オークは木っ端みじんの方が表現として正しいか。文字通り消し飛ばしたからなぁ。そのおかげで終盤のエリザからは──
「その武器はどこで手に入れられるのでしょうか? 恐らくではありますが、アースさんの作った武器ではありませんわよね? なんというか今まで使ってきた武器と比べて色が違います」
とまで言われた。エリザにとってみれば、魔法に頼らないで高威力が出せる択が欲しいって所なんだろうな。あと、散々今まで自分を見てきただけあって、このパイルバンカーが自作品ではない事も完全に見抜いていた。こういう目利きはエリザ鋭いんだよなぁ……リアルを追求する気はないが、この子もたいがい謎だよな。
「──なんとなく考えていることがわかったので申し上げておきますが、アースさんもなかなかに謎ですよ? この塔をパーティが強要されるところ以外ソロで登るという事をしておいて、こういった武器に限らず料理などを含めた制作系もこなすとか正直存在がバグ的な存在だという事を自覚してくださいまし。普通の人は、ここまでやりませんしやれませんわ」
なんというか、こちらの内心を的確に見抜いてきた挙句お小言を貰ってしまった。ゲームシステム的に自分は弱キャラなんだよな……特にスキルシステム系のRPGだと、自分みたいに武器使います、魔法も用います、生産もやりますとなるとどっちつかずで先に進めなくなる。だからこそ捨てる部分は捨てて高める部分を高める物である。
それがまあ、エリザの行ったような事をしちゃってるからバグ扱いされても文句が言えない。もちろん装備とその装備を手に入れる事が出来た行動と縁があったからこそ可能になった訳だけど。この今使っている装備が無かったら、その装備を作ってくれる、素材を分けてくれる人たちと良い縁が結べなかったら、そして鍛えてくれる師匠が居なかったら自分はここにはいない。
とどのつまり、ソロプレイなんて言っているがその実多くのワンモアの人々に支えられているのである。それを忘れて自分一人の力で成したなんて言おうものならただのピエロである。
「ま、それを可能とするだけの縁をこの世界は与えてくれた。だから今こうしていられるって事だね」「奇縁の域ですねそれは。しかし、羨ましくもあります。私ももう少し早く、自分の無駄なプライドの高さを改める事が出来れば縁を得る事が出来たのでしょうか」
エリザとこんな事を話す機会が来るとはなぁ。初対面の時は本当にあれだったが……でも、今のエリザならば好意的に接する事が出来る。彼女も変わったな。なんてことを思いながら、ブルーカラーの一部面子と行くパイルバンカーの試射は終わった。この付き合いもあと一月でお終いと思うと、やっぱり寂しく感じる物がある、な。
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