上 下
590 / 659
二章

579話

しおりを挟む
 王子様と王女様は、ミュージカルをひと段落させて、王様たちの近くに戻ってきて、握手する。
 王妃さま、王子さまたちも笑顔で握手をすると、王女さまたちにも握手。

 さっきほどじゃないけど、鼻にかかった声で、んっぬって入るからちょっと笑えちゃう。

『ナギのお方達のおかげで久方ぶりにレイドラアースの地を訪ねることが出来て、嬉しく存じます』
 外交のお偉いさんは歌劇調じゃなかった。

 改めて、王子様たちを、カイサル・ラクサンヌ・グリーンリバー第一王子とシャリアンヌ・アーリィン・グリーンリバー第三王女と言う名前だとお偉いさんなジョエル・ダンタル侯爵、外務卿が教えてくれた。
 一番面倒と聞いていたドラム公爵じゃなくってホッとした。
 同じ方向の面倒なのかは謎だけど、わざわざ面倒な場面に遭遇したくないしね。

『こちらこそ、我が国にお出まし頂き、光栄至極です』
 ガルフ侯爵が愛想良くダンタル侯爵と握手。

 カイサル殿下とシャリアンヌ殿下が、ファリン殿下とルアラン殿下に直で話しかけてきた。うぉう。通訳必要なさそうだし離れたい。

『んっぬ。すまないっんね!公用語だっとぅ、わたぁーしの良さんっがっ伝わらないっんなっ』
 ゲ。母国語だともっとすごい可能性を秘めているの!!??

『おっほうほぅ!おっにいしゃっまぁはぁ、ゴッガックゥからぁおっ逃げぇにィなっるぅからぁぁん』
(お兄さまは語学からお逃げになるから)
 シャリアンヌ殿下も大差ない気がするんだけど。

 独特なアクセント?訛りとは違うみたいだけど、私に移っちゃったらどうしよう。

 ちなみにお二人ともわりと美形なのに言動とカボチャパンツで台無しなの。
 王子様が二十五才くらいで、王女様が十九才くらいらしい。マジっすか。

 王妃さまにこっそり聞いたら、グリーンリバーの女性も通常はドレスだそうなので、王女様は趣味か旅装か。
 以前、お見えになった時は膝丈パンツだったそうなので、ドレスがお嫌いなのかも。

『そっなぁーたぁはぁ、陛ぃ下ぁのぉ、ほっごぉーうぉおぅ、うっけったぁむっすーめかぁ?』
(そなたは、陛下の保護を受けた娘か?)
 めっっっんどくせぇな!!あ、お口が悪くなっちゃいました。

『グリーンリバーの尊きお方にご挨拶をする事をお許しください。私はジュリアス・グレーデン辺境伯が妻、リーシャ・グレーデンと申します。我が王より、ナギ国のファリン殿下、ルアラン殿下の通訳としてお側につかせて頂いております』

 カーテシーの状態で停止して返事を待つ。

「ほぉほー、言葉にこっまればぁ、まっかせることぐぁ、でっきるなぁ?」
(ほほぅ、言葉に困れば、任せることができるかな?)

 え。グリーンリバー語はレイドラアース語とちょっと違うけど、これは公用語の時よりちょっとマシなだけでは。

「おんにさまぁ!出っ来ぃるどぅあけ、こうよっぉうぐぉがぁよっろうしゅいぃわぁ」
(お兄さま、出来るだけ公用語がよろしいわ)

 ぬー!これは、ちょっと難しいぞ。二カ国通訳になちゃう感じに頭使うぞ。

『っんむ!そっぉうかぁあっんぬっ』
(ぬ?そうか?)

 始終こんな感じなの?

『グッゥレェデェンッのにはぁ、会った事ぐぁあっるまっす!!ヨッメをぉもらわぁんぬっとぅおっもってぇいっましタァがっおっ好みぬぉンっ、すぇいでぇしーったのんっねぇっ』
(グレーデンのには、会った事があります!嫁を貰わぬと思っていましたが、お好みのせいでしたのね)
 
 おおぅ、ロリコン扱いぃ!王女様が酷い事言うって文句言いたいけど、この口調で話しを聞くの面倒だから泣き寝入りで良いかな?
 横にいたセリウスさまが「流せー」って顔してるし、ルルゥは笑顔で顔を固めてるし、ガルフ侯爵は「スルーせよ」って顔。
 うちの王子さまたちはすでに飽きてる。

 ナギの人たちが笑顔のまま、凍りついてるよ。

『『彼女はこう見えて成人していて、嫁ぎ先のグレーデンで商業を発展させている敏腕な夫人だ』』

 なぜか、ファリン殿下とルアラン殿下が庇ってくれた。話が長くなるし、もう良いんですよー。
 王子様とダンタス侯爵が『ほう?』ってなっちゃった。

『見た目はレイドラアースの王子方とナギの王女方と大差なく見えるのに・・・』

 グリーンリバーの皆さんの方からそんな言葉が聞こえてきた。

 なんだとぉ!!!!

 いくらなんでも私は十才には見えんだろうがぁい!!!

 ふんぬー!

「ちゃんとリーシャちゃんの方が大人っぽいからねぇ」
 後ろからルルゥにそっと肩を抑えられて慰められた。

 グレーデンやホーンで小さく見えるのは仕方ないけど、王子さまたちよりは背丈もあるし、顔つきも子供じゃないもん。

『まぁあん!我っが国ぃにぃはぁ、こっこっまでぇペッタンこぉおーっぬあぁフッジィンはぁいらっしゃるっぅくぁしらぁ?』
(まあ!我が国には、ここまでペッタンコの夫人はいらっしゃらるかしら?)

 私のお胸を見て、盛大に首を傾げるシャリアンヌ!!!絶許!!
 敬称なんか排除だ。

 全世界貧乳教会員を敵に回したな!?
 そんな会はないけど、ツルペタ仲間を敵に回したよ!

 シャリアンヌのお胸は大きくも小さくもない程よい丘に見える。が、王子様と同じベストの上にジャケットなのでハッキリはわからない。ちくせう!!でもお義母さまくらいあったら隠せないボリュームだから、多分人のこと言えるほど、大した事ないよ!!

『シャリゥアァンッンッヌッ!じょっせいぃうぁ、ムッネッっじゃぬぁいんっどぅあっんぬ!くぉっしぃだっよんっぬ!わったぁしぃぬぉツッマぬぉ、ん、ふぉっぉすぉくぅくっびぃれったぁ!くぉっし!よっぉいよっぅんぬ!』
(シャリアンヌ!女性は胸じゃないんだ!腰だよ!私の妻の、ん、細く括れた!腰!良いんだよ!)

 細く括れた腰!それも私にはナッシング!

 兄妹がしょうもない喧嘩してる。
 その内容に私は連続して攻撃を受けてるんだけど。

『『リーシャはリーシャのままで良い。うるさいよりよほど良い事だしな』』
 十二歳の王女さまたちに小声で励まされた。

 国中の重鎮が集まり、ナギとグリーンリバーのお客様のいる前で子供体型だと周知されたんだけど、もうお家帰りたい。


___________________




グリーンリバーの面倒な二人は大した事を言ってないので、深く考えなくて良いかと訳を付けてなかったんですが、訳した方がいいとのことで訳を追加しました。

改めて打ち直すとくだらなさに精神が病みそうですw

自分にダメージが大きいので、面倒なキャラを考えたことに後悔中です。

イラっとさせてしまっていたら申し訳ない。

とっとと国へ追い出したいです⭐︎
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」 愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。 伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。 「あの女のせいです」 兄は怒り――。 「それほどの話であったのか……」 ――父は呆れた。 そして始まる貴族同士の駆け引き。 「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」 「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」 「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」 令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました

お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】それではご機嫌よう、さようなら♪

山葵
恋愛
「最後まで可愛げの無い女だ。さっさと荷物を纏めて出ていけ!」 夫であったマウイに離縁を言い渡され、有無を言わさず離婚届にサインをさせられた。 屋敷の使用人達は絶句し、動けないでいる。 「おいビルダ!何を呆けているのだ。この届けを直ぐに役所に届けろ」 「旦那様、本当に宜しいのですか?」 「宜しいに決まっているだろう?ああそうだ。離婚届を出した序でに婚姻届を貰ってきてくれ。ライナが妊娠したから早急に籍を入れる予定だ。国王陛下に許可をしてくれる様に手紙も頼む」 私はビルダと共に部屋を出る。 その顔はきっと喜びで微笑んでいただろう。

処理中です...