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二章
577話
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お昼は軽く食べてから、グリーンリバー国からのお客様を出迎えるためのドレスに着替えた。
レイドラアース国、グレーデン家が舐められない程度に豪華な衣装らしい。
それを品良く着こなすのが子供体型の私には難しいけどね!
肌触りはもちろん光を受けて煌めく素敵布。
赤から薄紅にグラデーションさせた生地で動くとキラキラする。
「ドレスに負けてると思う」
「そんなことはありませんよ。とても愛らしくてお可愛らしいです」
むぅ。お義母さまとか見慣れすぎて、貧相に感じちゃうのよねぇ。美少女だけど大人っぽい格好は無理なのが切ないよ。
お化粧は柔和な感じ?オレンジ系のリップでより可愛いらしく演出してだそう。
ちなみにニーナもドレスアップ。ルークはいないけど、私の付き添い的立場なんだって。
ずっと王宮から姿を消していたアンゼリカさまが騎士団服でお迎えに来てくれた。
「アンゼリカさまどこ行ってたんですか」
「王国騎士団をたた・・・鍛えていたんだ」
叩き上げって言いかけたよね?
「伯父上もアーク翁とリュフェリー侯爵と交代で暴・・・訓練をしていたぞ」
暴れてたって言いかけたよね?
「御三方が揃うのは珍しいからとても良い訓練になった」
アンゼリカさまが頬を染めて嬉しそうに語っているけど、王国騎士にしてみたら、災害級?の三人と特級クラス?のアンゼリカさまとセリウスさまって、悪夢でしか無いよ!
「さすがに伯父上たちは本気を出してはいなかったが新人たちは良い汗をかいただろう」
冷や汗だと思うけど、お義父さまたちの姿をうっとり顔で伝えてくれるので、水は差さないでいよう。
って言うか、私もアークさまたちの戦う姿見たかった。
「あー、アンゼリカ、こっちにいたんだー」
お部屋を出るとセリウスさまとルルゥも騎士服で待っていてくれた。
「ルルゥ、厨房じゃなくて良いの?」
「メインとデザートは用意して来たからぁ、あとは私がいなくても大丈夫~」
グリーンリバーの人たちが来るから、私の護衛を優先なんだって。
アランとジェイク、アモンさんとチェイスさんがいるのに過保護だね。
「まぁ、私が厨房に参加してるって知られない方がいいでしょうしぃ」
美味しい料理を作ったのは誰かと騒がれて、勧誘とかされたら困るね。
王宮のコックさん勧誘も困るけど。
グリーンリバーは、お互いの国を攻めない友好協定とか、災害時の協力とかそれなりの関係なので、無理矢理なことはしないはず。
大昔は、侵攻があったらしいけど、ホーン領の気候の厳しさ、魔獣の多さ、ホーン辺境伯家の強さで、グリーンリバー側が諦めた経緯がある。
別ルートだと他国を通って来ないとダメだしね。
今後はどうかはわからないけど、相当な戦力を失う覚悟じゃないと攻めれないはず。
「ちょっと聞いたけどぉ、グリーンリバーの貴族に獣人の護衛を雇うのが流行ってるんですってぇ」
「へぇ、こっちより差別感情は少ないだろうけど、珍しいなー」
獣人、まさかイダルンダの奴隷売買先じゃなかろうか?
「あー、奴隷じゃないわよぉ?」
私が嫌な顔しちゃったからかルルゥが慌てて否定してくれた。
「売られた奴隷は行き先がわかったのは交渉して解放されてるよー」
行き先がわかってない人たちがいるのは、亡くなってるか、協定や条約を結んでない国に売られたから。
「うちが奴隷売買の解決に尽力したのはグリーンリバーも知ってるから、万が一奴隷だった獣人がいたとしてわざわざ連れて来ないと思うよー」
セリウスさまとルルゥが私を落ち込ませないよう説明をしてくれる。
イダルンンダの悪いお金の恩恵を受けたとは思ってないけど、いちおう親だと思って生きてきたからね。なんか小骨が刺さったままの感じで嫌な気持ちがするよ。
「ふん、もし奴隷だったら協定を盾に買い取りを申し込めばいい。その後に解放して賠償金と住む場所を提供するなりすると良い」
大陸の中でも奴隷を認めている国があるから、奴隷の権利者が損を被るのはダメで、買い取りにかかった費用に色をつけて買い取るしかないんだそう。
嫌な話だけど、売買が成立してるから。
「旧ハーボット派閥と旧オレイユ家の凍結財産がまだ残ってると思うよー」
莫大な悪銭を溜め込んでたなぁ。
現在までに解放された人たちにした賠償金を支払ってもまだあるのか。
「まだ見つかるかも知れないから残してあるんだよ。最終的には国に取り込まれるけど、孤児や災害時の予算に回るはず~」
そっか。人助けに回るなら良いのかな。
出迎えのために王宮の玄関ホールのような場所に向かう。
すでに王国の主だった貴族が並び、王宮門まで騎士団が縦列を作っている。
私たちは王様たちに挨拶をして、ナギの王女さまたちのそばに行く。
『『リーシャ、グリーンリバーからわざわざ第一王子が来るのだそうだぞ』』
わぁ!ちょっと面倒な王太子さまが!
もうわかってたなら教えて欲しかったと王様を見るとそっと目を背けられた。
『それは殿下方に早くお会いしたかったからでしょう』
当たり障りなく答える。
『『だが妃がもういらっしゃるようだから相手にはならないな』』
婚活!!捗らないね!
『まだ他に王子がいらっしゃいますし、高位貴族にも良い方がいるかも知れません』
『『あはは、まぁ近隣を巡ってから考えようぞ』』
じっくり良い方を選んでくださいな。
ギャンブル、暴力をしない、八股とかしないよい殿方を!!!
あ、アルコールは程々の人ね!人のこと言えないけど!
話しているうちにグリーンリバーの御一行が門前に到着した。
レイドラアース国、グレーデン家が舐められない程度に豪華な衣装らしい。
それを品良く着こなすのが子供体型の私には難しいけどね!
肌触りはもちろん光を受けて煌めく素敵布。
赤から薄紅にグラデーションさせた生地で動くとキラキラする。
「ドレスに負けてると思う」
「そんなことはありませんよ。とても愛らしくてお可愛らしいです」
むぅ。お義母さまとか見慣れすぎて、貧相に感じちゃうのよねぇ。美少女だけど大人っぽい格好は無理なのが切ないよ。
お化粧は柔和な感じ?オレンジ系のリップでより可愛いらしく演出してだそう。
ちなみにニーナもドレスアップ。ルークはいないけど、私の付き添い的立場なんだって。
ずっと王宮から姿を消していたアンゼリカさまが騎士団服でお迎えに来てくれた。
「アンゼリカさまどこ行ってたんですか」
「王国騎士団をたた・・・鍛えていたんだ」
叩き上げって言いかけたよね?
「伯父上もアーク翁とリュフェリー侯爵と交代で暴・・・訓練をしていたぞ」
暴れてたって言いかけたよね?
「御三方が揃うのは珍しいからとても良い訓練になった」
アンゼリカさまが頬を染めて嬉しそうに語っているけど、王国騎士にしてみたら、災害級?の三人と特級クラス?のアンゼリカさまとセリウスさまって、悪夢でしか無いよ!
「さすがに伯父上たちは本気を出してはいなかったが新人たちは良い汗をかいただろう」
冷や汗だと思うけど、お義父さまたちの姿をうっとり顔で伝えてくれるので、水は差さないでいよう。
って言うか、私もアークさまたちの戦う姿見たかった。
「あー、アンゼリカ、こっちにいたんだー」
お部屋を出るとセリウスさまとルルゥも騎士服で待っていてくれた。
「ルルゥ、厨房じゃなくて良いの?」
「メインとデザートは用意して来たからぁ、あとは私がいなくても大丈夫~」
グリーンリバーの人たちが来るから、私の護衛を優先なんだって。
アランとジェイク、アモンさんとチェイスさんがいるのに過保護だね。
「まぁ、私が厨房に参加してるって知られない方がいいでしょうしぃ」
美味しい料理を作ったのは誰かと騒がれて、勧誘とかされたら困るね。
王宮のコックさん勧誘も困るけど。
グリーンリバーは、お互いの国を攻めない友好協定とか、災害時の協力とかそれなりの関係なので、無理矢理なことはしないはず。
大昔は、侵攻があったらしいけど、ホーン領の気候の厳しさ、魔獣の多さ、ホーン辺境伯家の強さで、グリーンリバー側が諦めた経緯がある。
別ルートだと他国を通って来ないとダメだしね。
今後はどうかはわからないけど、相当な戦力を失う覚悟じゃないと攻めれないはず。
「ちょっと聞いたけどぉ、グリーンリバーの貴族に獣人の護衛を雇うのが流行ってるんですってぇ」
「へぇ、こっちより差別感情は少ないだろうけど、珍しいなー」
獣人、まさかイダルンダの奴隷売買先じゃなかろうか?
「あー、奴隷じゃないわよぉ?」
私が嫌な顔しちゃったからかルルゥが慌てて否定してくれた。
「売られた奴隷は行き先がわかったのは交渉して解放されてるよー」
行き先がわかってない人たちがいるのは、亡くなってるか、協定や条約を結んでない国に売られたから。
「うちが奴隷売買の解決に尽力したのはグリーンリバーも知ってるから、万が一奴隷だった獣人がいたとしてわざわざ連れて来ないと思うよー」
セリウスさまとルルゥが私を落ち込ませないよう説明をしてくれる。
イダルンンダの悪いお金の恩恵を受けたとは思ってないけど、いちおう親だと思って生きてきたからね。なんか小骨が刺さったままの感じで嫌な気持ちがするよ。
「ふん、もし奴隷だったら協定を盾に買い取りを申し込めばいい。その後に解放して賠償金と住む場所を提供するなりすると良い」
大陸の中でも奴隷を認めている国があるから、奴隷の権利者が損を被るのはダメで、買い取りにかかった費用に色をつけて買い取るしかないんだそう。
嫌な話だけど、売買が成立してるから。
「旧ハーボット派閥と旧オレイユ家の凍結財産がまだ残ってると思うよー」
莫大な悪銭を溜め込んでたなぁ。
現在までに解放された人たちにした賠償金を支払ってもまだあるのか。
「まだ見つかるかも知れないから残してあるんだよ。最終的には国に取り込まれるけど、孤児や災害時の予算に回るはず~」
そっか。人助けに回るなら良いのかな。
出迎えのために王宮の玄関ホールのような場所に向かう。
すでに王国の主だった貴族が並び、王宮門まで騎士団が縦列を作っている。
私たちは王様たちに挨拶をして、ナギの王女さまたちのそばに行く。
『『リーシャ、グリーンリバーからわざわざ第一王子が来るのだそうだぞ』』
わぁ!ちょっと面倒な王太子さまが!
もうわかってたなら教えて欲しかったと王様を見るとそっと目を背けられた。
『それは殿下方に早くお会いしたかったからでしょう』
当たり障りなく答える。
『『だが妃がもういらっしゃるようだから相手にはならないな』』
婚活!!捗らないね!
『まだ他に王子がいらっしゃいますし、高位貴族にも良い方がいるかも知れません』
『『あはは、まぁ近隣を巡ってから考えようぞ』』
じっくり良い方を選んでくださいな。
ギャンブル、暴力をしない、八股とかしないよい殿方を!!!
あ、アルコールは程々の人ね!人のこと言えないけど!
話しているうちにグリーンリバーの御一行が門前に到着した。
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