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二章

566話

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 グレーデン家用の食堂に入ると、お義父さま達とセリウスさまが席についてた。

「「「おはよう」」」
「おはようございます」

 テーブルの上にはすでにパンとお肉がドーンと用意されてた。

「父上が狩ったコカトリスを持ってきたぞぅ」
 コカトリスはまだ実物は見たことないけど、グレーデン家の貯蔵庫にはたまにブロック分けされて入ってる。

「半分は王家に譲ったぞぅ?魔素の足りぬ食事が続いてはリーシャちゃんが痩せてしまうかなぁ!たんと食え」
 ノーマルなお肉には魔素が少なくて淡白だったけど、昨夜は夜会料理でそれなりに魔素充実してたから痩せないはず~。

「ありがとうございます」
 お義父さまがせっせとお義母さまと私のお皿に山盛りに分けてくれる。
 ちなみにスープはコーンスープだった。濃厚とろりで最高に美味しい。

「私は今夜からタウンハウスに移りますからねぇ」
 お義母さまは数件の面会と茶会に参加して、お義父さまは王国騎士団で少し訓練に付き合って、王子さまたちの遊びにお付き合いして、三日くらいでグレーデンに戻るんだそう。

「小忙しいねー」
 王女さま達の予定は詰まってはないけど、私はそれなりに控えてないとだから王宮にお泊まり。豪華なお部屋は落ち着かないなぁ。

「リーシャちゃんのお仕事は私とデリアお義母さまでするから心配しないでねぇ」
 奨学金基金や子供達の学校の諸々、料理学校とかは一応私のお仕事。
 基本が決まってるからもう人任せもいいけど、進んでいく過程を見るのも楽しいのにね。

「よろしくお願いします」
 私がいないから進まないとかは困るからとても助かります。
「決裁とか最終的な確認はこっちに書類送るからぁ」
 あ、丸投げじゃなかった。

「うふふ、リーシャちゃんが戻ったら一緒にお宿で過ごしましょうねぇ」
 
 温泉でまったりしたいなぁ。

 食後のお茶にはパンケーキ。パンケーキって一食分にカウントしても良くない?
 
 お義母さまに贈り物のお礼状に何を付けたら良いか相談したら、私からならお菓子セットや市販で出してる化粧水とかでも良いって。
 刺繍した物とか言われたらできないから、良かった。
 
「お昼からはシフォンちゃんとナギのお衣装さんが王女さま達とリーシャちゃんのお揃いを作るお話をしたいんですってねぇ」

 王女さま達とお揃いなんて恐れ多過ぎるけど、ご本人たちが乗り気だから逃げられないようだ。
 せめて私の分は生地の質とか落とすしかないかなぁ。

「王妃さまが私も参加してって誘ってくださったから楽しみねぇ」
 あ、午後は潰れたようだ。

「リーシャちゃん、がんばれー」
 全く心がこもってない応援をセリウスさまがしてくれた。
 男物も着せ替えショーできると思うんだ。私。

「セリウスさまは今日のご予定は?」
「ガーラント卿主催の奨学金基金の相談会と辺境三家と警備の会議だよー」

 何も言えないやつ~!!

「私も奨学金基金のでた方が良くないですか?」
「いや、リーシャちゃんは王都であまりたぬきジジイどもと接点を持たない方が良いよー」
 およよ。
「あいつらすぐ慣れてない若造に不利な契約取り付けようとするシート、リーシャちゃんを取り込もうとするだろうしー」

 私を取り込んでもお金はギルドの口座だし、権利関係は全部王家チェックが入ると思うし、自由にはできないと思うなぁ。

「ま、父上も兄上もそんなこと許すわけないから良いけどねー」
 そんな軽く言ってるけど、セリウスさまも本気出したら怖そうだなぁ。

「うふふ、私を敵に回すなら国中の夫人を使っていたぶってあげますわぁ」
 お義母さまはも怖かった。

「普段は舐められてる程度の方が動きやすいから放っておいてあげるけれどねぇ、お馬鹿さんは徹底的に潰してあげないとぉ♡」

 ルークだけじゃなくて、怒るとみんな冷気が漂うの。寒いよぅ。

「ふん、あまり舐めた真似をするなら騎士の派遣をやめて領地に隠れば良いぞぅ。さすればほとんどの領地は国に領地を返還するじゃろうて」

 騎士団を抱えれない領地は自警団と傭兵団で警護しているが境界が曖昧な場所は国の予算から派遣される辺境三家の騎士団が担当している。
 その曖昧な土地には大体、魔の森があったりで騎士団の派遣がなくなったら近隣の領地はたちまち怯えて暮らすことになる。

 その状況下で辺境三家を下に見てるのおバカすぎるなぁ。

「本当にねー、ついでに自領に出た魔獣を倒せとか言って金出さないんだよー」

 ついでに!
 倒した魔獣は倒した者の物なので損はしないけど、ムカつくね。

「そういう領地には魔獣肉が流れていかんからいつまで経っても強い者が育たんのにのう」

 魔素を取り込めないまま育つと魔力も育たないから、そりゃ魔導師も少ないはずだよ。

「返還されてマシな領主に分配されるのは良いんだがみんな大領地になってしまうよのぅ」

 それは仕事が増えて大変だよ。

 でもそんなおバカな貴族なら大人しく返還してくれたら良いけど、領民と土地に被害が出まくって再生不可能くらいまでゴネそうじゃん。

「さすがにそろそろ自分たちの立ち位置がわかるんじゃないかしらぁ?」

 なんで?

「悪さをしていた人たちがいないんだからぁ自分たちの無能さが目立ってしまうでしょう?」

 隠れ蓑がなくなって、気がついたら剥き出しでウロウロしちゃうのか。

 くぅー!それは恥ずかしい。

「いないから欲が出たともいうよねー」

 周りの国が辺境三家の睨みに大人しくしててくれてるから良いものの、滅んでてもおかしくないよね。






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