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二章

553話

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 ニーナたちが着替えを持って入ってきた時、同時にルークもやって来た。
 ジュリアスさまが一瞬「やばい」って肩を揺らしたけど、思ったより怒ってなかった。

「まぁ、もった方ですし」

 どうやら、何度か仕事はセバスチャンに押し付けて逃亡しかけたのを止めてたらしい。
 ジュリアスさまがヤンチャなことをするイメージが無かったので不思議。 
 バツが悪そうにしてるけど、ルークもニーナに会えて嬉しいみたいなのでセーフみたいだよ?

「せっかくなので会議には参加しましょうね」

 あはは。私は心強いけど、ジュリアスさまは予定外の仕事になっちゃう。

 そんなわけでジュリアスさまは別室でルークと打ち合わせしつつのお着替えに。

 ニーナは夜会までは侍女服で過ごすって。まぁ無理強いはしないよ。

 私は通訳用に用意してもらった控えめドレスに、キリッとした出来る女風雰囲気メイク。
 髪はふんわりめのアップスタイル。
 メガネ欲しいなー。秘書っぽく。
 あ、色気が足りない。残念!!!

 いつもはお義母さまの好みでふわふわお人形な格好が多いので、控えめドレスがとっても嬉しい。品良く賢そうに見えるから!

 姿見の前でクルクルしてみたら、ニーナたちは微笑ましそうにしてる。豪華なドレスの時は借りて来た猫状態でされるがままだから。

 ジュリアスさまが着替えて戻ってきた。
 騎士服じゃなくて礼装!!
 隠しきれない胸筋と太ももが私を誘うよ。

 セリウスさまの優雅めな礼装姿とは違って、威厳を出す意匠なので渋い。
 私の旦那さま、かっこよ過ぎ。

「リーシャはいつもと違って凛々しいな」
 そうでしょ!今日は出来る女っぽくしてもらってある。あくまでも見えるだけだけど!

「セリウスさまは先に向かっています」

 ルークは騎士服だ。護衛として後ろに控えるのかな。

「それから大旦那さまと大奥様は先ほどタウンハウスに到着されて、すでに王妃さまに呼び出されて王宮にいますので」
 
 あらー、王妃さまはお義母さまと美容のお話とお菓子の話がしたいんだろうけど、王子さまたちにぐりゅんぐりゅんのおねだりもされてるんだろうな。

 ジュリアスさまのエスコートで会議場に向かうと、途中で礼装のセリウスさまと合流した。

「兄上、交渉もされますか?」
「いや、意見や希望は出すかも知れないが具体的な交渉は予定通りセリウスに頼む」

 辺境伯自ら出て来ちゃうと無理を言える人はいないから楽になるはず。
 セリウスさまも簡単に折れるタイプじゃないから、最終的には結果は変わらない。

「面倒なのはドローデス侯爵とダルム子爵あたりか」
「そうですね」
 ふむ、口出しはするが国益になることはしないっていう自己主張のすごいだけの人だったか。爵位の無駄遣いだよ。

 会議場に着いて、ジュリアスさまの登場にざわついた。
 夜会は参加が発表されていたが、会議はセリウスさまのみの予定だったからね。
 急遽混ざるのは良いのかと思えば、当主が出た方が良いに決まってるので都合がついたら出るのは当たり前だそう。

 夜会で着飾ってるおじさんたちが控えめな衣装なので逆に困った。 
 インパクトが減ると顔と名前思い出せないぞ。

 私たちの後にも続々と人が入って来て。マーベルハント家の伯父様とお祖父様、アーロンお兄さまと目が合ったので黙礼。
 リックさまやガルフ侯爵、宰相も入って来て。

 ナギ国からはユエさまたち、官僚の方々が入ってきた。
 王女さまたちの姿を見た貴族たちは、怪訝な顔をしたり、ユエ様たちを見て、お飾りと判断したみたいだけど、お二人はかなり賢いので舐めたらあかんですよ。

 私はジュリアスさまから離れて、王女さまたちの後ろに控える。

『『リーシャ、よろしくな』』
『こちらこそよろしくお願いします』

 王様が入って来て、会議が始まった。

 まず、友好条約はお互い損のないことを確認して王様と王女さまたちがサイン。

 特効薬の契約では、デレードと契約内容同じく、最低限の権利金で、独占販売などして値を釣り上げないこと、誰にでも入手出来るようになど、感染を広げないための条件で決まる。

 相変わらず、儲けを出さないことに反発はあるけど、権利者が良いといってるのにやかましいよ。
 アーロンお兄さまも私もなんなら無料で構わないけど、なんでも無料にすることが良くないことはしっかり諭されてる。

 ナギ国から輸入したい物、ナギ国が望む物など、各種は今日だけでは決まらない。

 どうしても港がアッガスでグレーデンだけが得をしていると不満が上がる。

 もう一つの港を持つスルト伯爵は他国の受け入れはしているもののあまり有効活用が出来ていない。
 設備や警備に予算を割けないからと積極的な運営はされていない。
 アッガスの発展が気に入らないなら、スルト港に投資して、儲ければ良いのにね?

『ではアッガスに船を持って警備隊を置いて自身で交易をしたら良い。もちろん場所代などは最低限頂きますが、格安でお貸ししますよ』

 セリウスさまがにっこり言えばシーンとなる。
 ナギ国の人たちの前で恥ずかしいのでやめなさいって感じだけど、王女さまたちもユエさまたちも『どこも似たようなものですよ』って特に感慨もないようだ。

『船は維持管理はもちろん、優秀な船員の雇用と莫大な費用が掛かります。嵐や海賊などにあった時の損失は大きいのでリスクを考えれば、多少の金を上乗せすれば簡単に物が手に入る幸運に感謝できるでしょう』

 文句を言っておいて、ユエさまの流暢な公用語をイマイチ聞き取れずオロオロしてるダルム子爵。
 周りの人たちがしらっとしてるのだから空気よんで大人しくして欲しい。

 
 
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