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二章
543話
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目を覚ませば、すでにニーナはいなかった。
そして、寝台を囲んでいたクッションに埋まってる私。
おかっしいなぁ?ちゃんと大きなベッドの真ん中に収まってたはずなんだけど。
起きて寝着の乱れとクッションを少し整えてから、テーブルの上の鈴でニーナを呼ぶ。
「おはようございます」
私の姿とクッション、ベッドシーツを見て薄く苦笑するのやめてください。
「今日のお衣装はこちらで宜しいですか?」
用意された朝食用と王都に向かう用、私はマナーやステイタスに沿った衣装選びがわからないのでお任せでいいのだ。
一応一通り習ったけどさ、楽な格好がしたいからボリュームが少なければ少ないほど良いと思っちゃうんだもの。
「ニーナの衣装も決まってる?」
「はい、移動なので簡易のものですが」
「私も簡易でー」
「身分差と王女さまたちとの兼ね合いを考えてください」
うー。ばっさり。
王都に入って王宮直前で、王女さま二人は、屋根なし馬車に乗り換えだから、私は目立たないので良いんだもの。
ニーナは朝食後まで侍女服でお仕事して、出発前までに着替えるんだって。アンゼリカさまもね。
「朝食用ドレスってなんなんだよー」
オレイユ家でなんて、お古のドレス数枚と制服しか無かったのにねぇ。
「グレーデン家でなら多少はゆるくて良いですが王都近隣で高位貴族のお宅ではそれなりでお願いします」
ニーナが私に下衣を着せて、ドレスを纏わせ、サクサクっと髪を結い上げる。
お化粧は朝食後にしっかりするのでと少しパウダーとリップを使っただけ。
それなりに仕上がるとセリウスさまが迎えにきてくれた。
「おはようー、なんか化粧水塗りたくられたんだけどー?リーシャちゃんの指示ー?」
「みんな艶々にしたくて?」
ニーナを身立たせない苦肉の策です!
セリウスさまは髪の毛ツヤツヤ、お肌もピカピカ!いつもより貴公子に仕上がってる!
衣装は、礼服?夜用よりは軽いけど、ちゃんとした格好。朝食後に騎士団服に着替えるそう。お家でのラフな姿を見慣れてるから、窮屈そう。
「ルルゥも髪の煌めきが凄かったよー」
それは早く見たい!
ルルゥは朝食のお手伝いに呼ばれてるらしい。
ガルフ侯爵ったら遠慮なく使うねぇ。
途中でアンゼリカさまと合流。
アンゼリカさまもスーパーシャインになってた。よし!
「リーシャ、早朝に侍女たちが襲ってきたんだが?」
わぁ!ごめんなさい。
団服なので、かっこよ美しい!!
オ○カーーーーール!!!
「王都でやってもらう予定だったんです!でもみんなアンゼリカさまを着飾りたいから!」
そうだよ。何もしてなくても美人だけど、より極上にしてもらってドレスも着てもらいたい。
王都ではさすがに着てくれるよね?
「・・・」
おおぅ!とっても嫌そうだ。今は追撃はやめておこう。
食堂にはガルフ侯爵家の皆さまとご親戚、ナギご一行の王女さまたち以外が席に着いていた。
「「おはようございます」」
『『『おはようございます』』』
二カ国の言語が出迎えてくれたぞ。
私たちの後に王女さまたちとユエさまが入ってきて、着席した。
『今日はグレーデン風のパンとスープを用意させた』
パンもスープもレシピは解放されてるので、仕込みをしてあったものをルルゥに仕上げてもらった感じみたい。
サラダにはやっぱりお花が入ってた。
『柔らかいパンですね』
『中のクリームはなんですか』
大麦パンもナッツや干した果物を使ったパンも好評で、カスタードや芋餡も喜ばれた。
菓子パンまで出したのか。
メーメのチーズを乗せたパンは最高に幸せなんだけど、いつも食べてるガルフの皆さんは、やわらかパンに夢中になってる。
それより、奥さん!!
都会の朝食にはお肉が出ないんですってよ!!!!!
田舎よりの領地には多少出てたけど、完全に軽めの朝食なんだよ。
スープに入ってる薄切り肉はグレーデンでは肉料理にカウントされません!!!
軽い食事に感動している。
おかわりは自由だけど、貴族的には大食いは出来ないのでみんな籠盛りパンに手を伸ばす程度。
ルルゥはあえてガルフ侯爵家のメニューに口出ししなかったのね。
『いやぁ、うまい。パンだけで幸せな気持ちになれる』
『噂のグレーデンのパンなのね』
みなさんご機嫌だな。
セリウスさまは、状況を知ってたからか普通に食べてる。
別の部屋で食べてる騎士さんたち足りてるかな。
『『チーズが蕩けていてうまいな』』
王女さまたちは、メーメのチーズを褒めたら、急にスイッチが切り替わって、
『そうでございましょう!』
『牧草にもこだわって育てたメーメは良い乳を出してくれるのです』
って、笑顔で語り出す。
柔らかいパンも美味しいけど、このチーズが気軽に食べれるのは羨ましいことだよ。
昨日の焼肉にピザにたっぷり食べさせてもらったけど、魔素の少ない王都寄りでこれだけ美味しい食べ物って素晴らしい。
『『メーメを見たいものだ』』
馬車の中からは見られなかったのは、私たちの馬車隊が通るから、屋敷の反対側の庭にまとめて隔離してたからだそう。
『あれらは凶暴なので遠くからなら』
『慣れぬ人間には唾や鼻水を飛ばしてきます』
え、ラクダみたいな生き物なの?
アルパカみたいなのかしら?
『危ないのでしたらやめておきましょう』
ユエさまが王女さまたちに諦めるよう促す。
『『そうか。なれば仕方のないことよ』』
残念そうだけど、管理の人たちが抑えるのに苦労するから手間をかけちゃうしね。
『子供の頃から育てると育てた人間の言うことは聞いてくれますよ』
それって、お世話してる人にしか制御出来ないじゃん!
『今の時期は毛も刈ったあとですし、可愛くない見た目になってますからね、半年後くらいなら良い感じだったのですが』
もこもこ見たかった気もするけど、ふわふわ生き物はメーメだけじゃないからね。
食後の紅茶にまで生のお花が浮いてた。
男性陣がそっとお皿に避けたのは見ないふりするのがマナー?
そして、寝台を囲んでいたクッションに埋まってる私。
おかっしいなぁ?ちゃんと大きなベッドの真ん中に収まってたはずなんだけど。
起きて寝着の乱れとクッションを少し整えてから、テーブルの上の鈴でニーナを呼ぶ。
「おはようございます」
私の姿とクッション、ベッドシーツを見て薄く苦笑するのやめてください。
「今日のお衣装はこちらで宜しいですか?」
用意された朝食用と王都に向かう用、私はマナーやステイタスに沿った衣装選びがわからないのでお任せでいいのだ。
一応一通り習ったけどさ、楽な格好がしたいからボリュームが少なければ少ないほど良いと思っちゃうんだもの。
「ニーナの衣装も決まってる?」
「はい、移動なので簡易のものですが」
「私も簡易でー」
「身分差と王女さまたちとの兼ね合いを考えてください」
うー。ばっさり。
王都に入って王宮直前で、王女さま二人は、屋根なし馬車に乗り換えだから、私は目立たないので良いんだもの。
ニーナは朝食後まで侍女服でお仕事して、出発前までに着替えるんだって。アンゼリカさまもね。
「朝食用ドレスってなんなんだよー」
オレイユ家でなんて、お古のドレス数枚と制服しか無かったのにねぇ。
「グレーデン家でなら多少はゆるくて良いですが王都近隣で高位貴族のお宅ではそれなりでお願いします」
ニーナが私に下衣を着せて、ドレスを纏わせ、サクサクっと髪を結い上げる。
お化粧は朝食後にしっかりするのでと少しパウダーとリップを使っただけ。
それなりに仕上がるとセリウスさまが迎えにきてくれた。
「おはようー、なんか化粧水塗りたくられたんだけどー?リーシャちゃんの指示ー?」
「みんな艶々にしたくて?」
ニーナを身立たせない苦肉の策です!
セリウスさまは髪の毛ツヤツヤ、お肌もピカピカ!いつもより貴公子に仕上がってる!
衣装は、礼服?夜用よりは軽いけど、ちゃんとした格好。朝食後に騎士団服に着替えるそう。お家でのラフな姿を見慣れてるから、窮屈そう。
「ルルゥも髪の煌めきが凄かったよー」
それは早く見たい!
ルルゥは朝食のお手伝いに呼ばれてるらしい。
ガルフ侯爵ったら遠慮なく使うねぇ。
途中でアンゼリカさまと合流。
アンゼリカさまもスーパーシャインになってた。よし!
「リーシャ、早朝に侍女たちが襲ってきたんだが?」
わぁ!ごめんなさい。
団服なので、かっこよ美しい!!
オ○カーーーーール!!!
「王都でやってもらう予定だったんです!でもみんなアンゼリカさまを着飾りたいから!」
そうだよ。何もしてなくても美人だけど、より極上にしてもらってドレスも着てもらいたい。
王都ではさすがに着てくれるよね?
「・・・」
おおぅ!とっても嫌そうだ。今は追撃はやめておこう。
食堂にはガルフ侯爵家の皆さまとご親戚、ナギご一行の王女さまたち以外が席に着いていた。
「「おはようございます」」
『『『おはようございます』』』
二カ国の言語が出迎えてくれたぞ。
私たちの後に王女さまたちとユエさまが入ってきて、着席した。
『今日はグレーデン風のパンとスープを用意させた』
パンもスープもレシピは解放されてるので、仕込みをしてあったものをルルゥに仕上げてもらった感じみたい。
サラダにはやっぱりお花が入ってた。
『柔らかいパンですね』
『中のクリームはなんですか』
大麦パンもナッツや干した果物を使ったパンも好評で、カスタードや芋餡も喜ばれた。
菓子パンまで出したのか。
メーメのチーズを乗せたパンは最高に幸せなんだけど、いつも食べてるガルフの皆さんは、やわらかパンに夢中になってる。
それより、奥さん!!
都会の朝食にはお肉が出ないんですってよ!!!!!
田舎よりの領地には多少出てたけど、完全に軽めの朝食なんだよ。
スープに入ってる薄切り肉はグレーデンでは肉料理にカウントされません!!!
軽い食事に感動している。
おかわりは自由だけど、貴族的には大食いは出来ないのでみんな籠盛りパンに手を伸ばす程度。
ルルゥはあえてガルフ侯爵家のメニューに口出ししなかったのね。
『いやぁ、うまい。パンだけで幸せな気持ちになれる』
『噂のグレーデンのパンなのね』
みなさんご機嫌だな。
セリウスさまは、状況を知ってたからか普通に食べてる。
別の部屋で食べてる騎士さんたち足りてるかな。
『『チーズが蕩けていてうまいな』』
王女さまたちは、メーメのチーズを褒めたら、急にスイッチが切り替わって、
『そうでございましょう!』
『牧草にもこだわって育てたメーメは良い乳を出してくれるのです』
って、笑顔で語り出す。
柔らかいパンも美味しいけど、このチーズが気軽に食べれるのは羨ましいことだよ。
昨日の焼肉にピザにたっぷり食べさせてもらったけど、魔素の少ない王都寄りでこれだけ美味しい食べ物って素晴らしい。
『『メーメを見たいものだ』』
馬車の中からは見られなかったのは、私たちの馬車隊が通るから、屋敷の反対側の庭にまとめて隔離してたからだそう。
『あれらは凶暴なので遠くからなら』
『慣れぬ人間には唾や鼻水を飛ばしてきます』
え、ラクダみたいな生き物なの?
アルパカみたいなのかしら?
『危ないのでしたらやめておきましょう』
ユエさまが王女さまたちに諦めるよう促す。
『『そうか。なれば仕方のないことよ』』
残念そうだけど、管理の人たちが抑えるのに苦労するから手間をかけちゃうしね。
『子供の頃から育てると育てた人間の言うことは聞いてくれますよ』
それって、お世話してる人にしか制御出来ないじゃん!
『今の時期は毛も刈ったあとですし、可愛くない見た目になってますからね、半年後くらいなら良い感じだったのですが』
もこもこ見たかった気もするけど、ふわふわ生き物はメーメだけじゃないからね。
食後の紅茶にまで生のお花が浮いてた。
男性陣がそっとお皿に避けたのは見ないふりするのがマナー?
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