上 下
509 / 608
二章

498話

しおりを挟む

 モフモフタイムならぬハイパームキムキタイムを得た私。ゴートゥヘブン!!

「リーシャ、くすぐったい」
「いやぁー」
 ベッドに腰掛けてすぐ胸元にダイブして頭ぐりぐりしてたら剥がされそうだったので抵抗。

「珍しいな。駄々っ子みたいだぞ」
「変な人ばっかりで疲れました」
 なら仕方ないってギュッとしてくれる。

「予想を超えてたなぁ。俺が王都の騎士団にいた頃よりかなりぼんやりしてる」
 役人だけじゃなくて騎士団の方もダイブ緩んでるんだそう。

「平和なのは良いことだが有事に使えないとなると困る。ホーンやリュフェリーと交代で合同訓練をしているがもっと頻度を増やさないとダメだな」
「そんなに弱いんですか?」
「弱いと言うよりは意識が低い。王家を、民を守る覚悟が見えないな」

 うーん。いざとなったら逃げ出しそうとか?

「まぁ次はリュフェリーだったか。あそこはウチやホーンよりは貴族意識が強いからな。貴族の騎士としての矜持をしっかり叩き直してもらおう」
 貴族の騎士・・・。

「上の方はさすがに修羅場も潜り抜けているから心配ないが、中には親の役職の後継にねじ込むケースもある。実力がなきゃ飼い殺しだが命を預ける身になれば上に置いておくのも不服だろう」

 理不尽な作戦とか立てられて犬死にしそうなのキツい。

「ハーボットの親戚筋が消えた場所に父上のような身体を鍛えることが全てな人材を紹介しておいたからもう少ししたらマシになると良いな」
 脳筋の中の脳筋を送り込んだ!!!
「あ、もちろんウチだけ出すとパワーバランスが変わるからな。ホーンもリュフェリーも選りすぐりのきんに・・・、教育者を推薦したはすだ」
 選りすぐりの筋肉って言いかけたよね。
 ジュリアスさまもお義父さまレベルは筋肉って言っちゃうんだ。

「王都の騎士さんたちも立派な肉体が手に入ると良いですね!」
 私の目の保養にも!!

「身体を育てるのもある意味、才能と血筋な部分があるからな。そこそこくらいは期待できると良いな」

 マッチョも才能なの?

「父上やお祖父様は魔力もだが筋肉の発達がすごい。俺はまだ大型亀は吹っ飛ばせないぞ」
 いつかはチャレンジする気っぽい。ジュリアスさまも十分な脳筋だからね。

「明日は俺も境界まで送迎に付き添う。王都の歓迎式典にはお祖父様とお祖母様も行くことになっているから何かあれば頼ると良い」
「ジュリアスさまは出られないですか?」
 転移陣でちょろっと。
「夜に会いに行くくらいは許してもらえるかも?多分・・・」
 後ろにルークの笑顔が見えるね。

「正直いきなり一ヶ月近く離れるなんて思っていなかったからな」
「そうですね」
 天国から魑魅魍魎に囲まれる苦界に放り込まれた気分。

「道中はセリウスとアンゼリカが必ず付き添うから心配するな」
 あ、クラウスさまと交代じゃなくなったのね。

「あとナギ国の気分次第でグリーンリバーやキャベルルンに寄る可能性がある。国境沿いで付き添いは相手国に移るが帰還はアッガスなのは変わりないから状況をよく観察して報告をあげてほしい」

 気分次第で!?
 どうやらレイドラアースだけで満足できない場合があるらしい。
 それならそうと最初から他所の国との計画もきっちり組み込んで日程決めてくれー。
 海の向こうすぎて伝達が微妙すぎるんだろおうか。
 隣国もどうなるかハラハラじゃん。

「ああ、一応近隣国も友好のために挨拶には大臣か王族が出てくるそうだ」

 ぎゃー!王女さまたちの専属通訳な私は全部会うことになるの!?

「宰相がリーシャなら問題ないだろうと言っていた」
 さすがリーシャだと笑ってくれるとこ申し訳ないけど。
 宰相よ。お前に私が何がわかってるんだ??そんな深い付き合いないよね??

 〈生えないくん〉を絶対作る。
 胃薬じゃなくて胃痛薬にしてやる。

「いた・・・くはないけど、痛いぞ?」
 どっち!?
 ジュリアスさまのお胸や腕を甘噛みさせてもらって無茶苦茶甘えてから寝た。

 朝になってジュリアスさまに抱き起こしてもらって、ハグとキスでイチャイチャしてたらお義母さまが「起きて~!ドレスアップよぉ~」って扉を叩いた。

「おはよー☆」

 謎にハイテンションなお義母さまがニーナをガッチリ捕まえて侍女さんたちがたくさんのドレスとお化粧品を持って並んでる。

「母上・・・」
「世界一可愛いうちの嫁を見せびらかすのよぉ」
「私はテクニックを学ぶわ」
 シャロンさままで。

「マデリーさまは?」
「あなたたちに後にやるのよぉ~。リーシャちゃんにおマデリーちゃんの化粧とドレスを選ばせてあげるわぁ」

 おお。人の衣装を選ぶのは初めてかも。多分、負担の少ない物を選んでってことだよね。

「ジュリアスたちは礼装と多少化粧をしてきなさいなぁ」
「化粧?」
「男も多少は見栄えを考えないとねぇ!ルルゥがきっちりやってくれるわよぉ」

 非常に嫌そうな顔をして部屋から出ていった。
 マッチョイケメン同士のお化粧タイム。
 過程を超見たい。

 でも今日は我慢だ。しょんぼり。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!

田古みゆう
ファンタジー
 見習い学校を卒業して、正式に魔女になったばかりの新人魔女リッカは、就活解禁日となったその日、いくつかの求人票が貼り付けられた掲示板を睨みつけていた。 「おっ? どうした嬢ちゃん? 職探しか?」  就労斡旋所の所長ジャックスは、そんなリッカの姿を見かけ、声をかける。  新人魔女リッカの希望就職先は、森の中の工房。そこでのんびりと見習い仕事をしながら、実習に明け暮れる日々を送ることがリッカの希望だった。  しかし、そんなに都合の良い就職先を見つけることは出来るのか?  新人魔女のほのぼの(?)スローライフが始まります。 ※表紙画像及び挿絵は、フリー素材を加工使用しています。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 前話 【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

領主の妻になりました

青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」 司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。 =============================================== オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。 挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。 クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。 新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。 マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。 ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。 捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。 長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。 新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。 フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。 フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。 ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。 ======================================== *荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください *約10万字で最終話を含めて全29話です *他のサイトでも公開します *10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします *誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

処理中です...