上 下
485 / 659
二章

474話

しおりを挟む
 

 レシピとお料理の下拵えとかとかであっという間に時間が過ぎていく。

 サーペントやらとんでも素材は、中級ポーションまでなら作って良いとルークが許可くれた。

 んー、上位互換しちゃうから、ようするに低級以下で作れよ!ってことですね。
 素材が素材なので元気溌剌系になっちゃうんだよ。
 「病中病後?スッキリ治せよ!(オロ○○ンG系)」と「朝まで働け!寝かせないよ!(眠○打破系)」と、「二十四時間頑張れ!(ユン○ル系)」と、「最近歳だなと言うあなたに!(赤マ○シ系)」みたいなポーションね。
 
 まぁ、体力回復も魔力回復も滋養強壮系っちゃそうだねって感じか。
 薬は、成分による補強、増強のためのものだけど、身体に多少負荷があるから頻繁に飲むものでもないと思ってる。

 蛇の肝と血と卵だよ。すんごいよねぇ。

 薬草と魔石粉とか色々足しちゃうと中級ポーション以上になっちゃうから、最低限の成分で作った。
 下級ポーション程度になったはず。

 お料理の下拵えは、日々あーでもないこーでもないと悩んでいるうちに品数が増えた。
 ジュリアスさまなら全部食べてくれるだろうけど。

 ルークたち護衛もいるんだから、足りないくらいかも。

 
 明日は出発だって、ワクワクして夕食を食べていたら、王様から勅命が来たって大騒ぎになった。

 ジュリアスさまが書簡を読んでるのを私もお膝で読む。

「「・・・」」

 そっとハロルドに書簡を渡してお義父さまとお祖父様に回してもらう。

「ほー、ナギ国のぅ。わざわざ王族がやって来るとは」
「ナギ?」
「あー、お祖母様、第一王女ファティマ殿下がデレード海洋国に輿入れをなさったんですが、そのお近くの島にナギ国があって、リーシャの望むスパイスなど変わった品があるそうで輸入を申し込んでいたのでおそらくその関係で参るのでしょう」

 二十年前にはナギ国は地図に載っていない国だったそう。
 新興国ではないようなので、知られざる国だったのかな。
 天竺とか黄金の国ジパングとかアトランティスとかちょっとロマンな香り。

「ふむ、当時は海向こうとの付き合いがなくて情報が無かったしな」
 隣国や他の国から流れてきた古書からの情報しかなかったそうだ。

 造船技術が発展しないと、海魔獣がわんさかいる海なんて越えれないよね。
 向こう側からもなかなかだよ。

「で、なんだって言うのさ」

「アッガスで入港するから出迎えと、王都に向かう道中をグレーデン騎士団に任せたいとのことだ」

 外交!!!

「あちらの情報がほとんどないのにどうおもてなししろって言うのかねぇ」

 日本と中国混ざった感じであれば、何とかならなくもないけど、スパイスとかから想像すると、インドやネパールも混ざってるのかな。
 アジア系みたいな国かしら?

「あちらがレイドラアース滞在中は、リーシャは通訳、ルルゥを料理人として絶対付き添わせてほしいとは」
  
 ナギ語は出来ないぞ。公用語で通訳しかないのか。
 公用語でスラスラ話してたから抜擢らしいけれど、公用語は学園の執務官と文官クラスは必須だったよね?特に外務コース!!
 
「あまり長く二人を取られたくないのぅ」
「そうだよねー」

 ナギ国御一行は、一ヶ月後を予定してるそうなので、アッガスの受け入れ準備が大変だ。
 レオルカさまにも当然連絡は入っていると言うか、アッガスの船便が来るから真っ先に連絡を受けてるはず。

「多分陛下にーって慌ててウチへの連絡後回しにしたよねー」
 そう笑ってたらまさにレオルカさまから連絡が入った。

「セリウス、クラウス、交代でレオルカの手伝いに入ってくれ」
「「了解」」

 そんなわけでお宿は延期かと思ったら。
「一泊や二泊くらい休んで良いわよぉ。その後しばらく休めなくなるんだからしっかり楽しんでちょうだぁい」
 って、言われてしまった。

 お宿は、使用人棟近くなので急ぎの仕事があったら、すぐ動けるし気にしなくて良いと。
 これは空き時間にルークが書類持ってくる予感しかしないぞ。

「私たちも一泊ずつずらしてお休みもらうからぁ」
 あ、予定はあくまでも変えずなんですね。

 とりあえず、ウォレス領にはしばらく行けないのは確定した。
 樹液、見に行きたかった。

 でもナギ国のことも気になるし、変わったスパイスとか何か新しい出会いがあるかもだ。

 デレード国の人とはまた違った服装かもだし、おもてなしのことも色々考えなくちゃ。

 明日はお宿をしっかり楽しもう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」 愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。 伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。 「あの女のせいです」 兄は怒り――。 「それほどの話であったのか……」 ――父は呆れた。 そして始まる貴族同士の駆け引き。 「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」 「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」 「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」 令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】それではご機嫌よう、さようなら♪

山葵
恋愛
「最後まで可愛げの無い女だ。さっさと荷物を纏めて出ていけ!」 夫であったマウイに離縁を言い渡され、有無を言わさず離婚届にサインをさせられた。 屋敷の使用人達は絶句し、動けないでいる。 「おいビルダ!何を呆けているのだ。この届けを直ぐに役所に届けろ」 「旦那様、本当に宜しいのですか?」 「宜しいに決まっているだろう?ああそうだ。離婚届を出した序でに婚姻届を貰ってきてくれ。ライナが妊娠したから早急に籍を入れる予定だ。国王陛下に許可をしてくれる様に手紙も頼む」 私はビルダと共に部屋を出る。 その顔はきっと喜びで微笑んでいただろう。

使えないと言われ続けた悪役令嬢のその後

有木珠乃
恋愛
アベリア・ハイドフェルド公爵令嬢は「使えない」悪役令嬢である。 乙女ゲームの悪役令嬢に転生したのに、最低限の義務である、王子の婚約者にすらなれなったほどの。 だから簡単に、ヒロインは王子の婚約者の座を得る。 それを見た父、ハイドフェルド公爵は怒り心頭でアベリアを修道院へ行くように命じる。 王子の婚約者にもなれず、断罪やざまぁもされていないのに、修道院!? けれど、そこには……。 ※この作品は小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

やってしまいましたわね、あの方たち

玲羅
恋愛
グランディエネ・フラントールはかつてないほど怒っていた。理由は目の前で繰り広げられている、この国の第3王女による従兄への婚約破棄。 蒼氷の魔女と噂されるグランディエネの足元からピキピキと音を立てて豪奢な王宮の夜会会場が凍りついていく。 王家の夜会で繰り広げられた、婚約破棄の傍観者のカップルの会話です。主人公が婚約破棄に関わることはありません。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう

天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。 侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。 その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。 ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。

処理中です...