上 下
402 / 659
二章

391話

しおりを挟む
 ジュリアスさまたちが帰って来て、セリウスさまも戻って来たんだけど、ちゃっかり王様とリックさまがいちゃってるのなんで?

 王様はお祖父様たちと獲物から得た素材を見せながら森でのことを説明してる。
 伝説(?)パーティの面々に王様の目はキラキラだよ。

 リックさまはジャスパーを観察したがって抱き上げたところ猫パンチ猫キックを喰らって楽しそうだ。猫好きーだったか。

「いやーいやー!精霊王の気配が丸ごと詰まったボディ!素晴らしいよ!!」
 蹴られても猫吸いをしようとチャレンジしてるのでちょっと猫変態かもしれない。

「アズライトも古代の神秘ですよ」
「え?触れても良いのですか!?」
 ジャスパーがちょっとかわいそうなのでアズライトに交代してもらったら、アズライトの背中に頬擦りしたり腹を吸ったので猫に限らず変態だったかも。
 今まではアズライトに遠慮してたみたい。
「なんと涼やかで滑らかなウロコ・・・」

 狩って来たばかりの死んだ素材より生きてる素体がいいのはわかるけど、魔導師なら垂涎な素材がまだまだいっぱいあるので交渉した方がいいよ?
 私も亀の甲羅は少し分けてもらった。媒介にして魔力増幅機ができると思うんだ。
 衛星アンテナ的な。

 コックさんたちと騎士さんたち、侍従さんたちが設営を済ませて調理が始まったので変態さんは置いといて、ちょっと料理に口出ししよう。

 ルルゥとベンがピザ生地をグリングリン回して大きく伸ばしてるのを騎士さん何やんややんやと応援してる。
 ふ、本場のピッツァは回して飛ばすんだぜ!
「「「おお~!!」」」
 大きいのは無理だけど私の手で扱えるサイズにして回して飛ばしてとしたらベンがすぐマスターしちゃった。ちくせう!
 悲しみのピザ盛り付けだい。
 ピリ辛のソースにパバブ盛りだ。変態さんを押し付けたアズライトにあげよう。
 パバブは葉っぱと根っこを擦ったのと茎を刻んだのを使うよ。私は食べれないよ!
 ポムたちにはプルルンを盛り付けるデザートピザだ。美味しいよ。

 お肉は丸焼きにはできないサイズが多いので切り分けたブロック(でも巨大)を焼く。
 ルルゥ特製ハーブや特製スパイスを塗りこんであるから絶対美味しいヤツ。

 巨大蜘蛛や大蛇とかお約束なのも結構あるけど、カニとウナギって感じなのでもう気にしない。
 
 ある程度調理が進んだところで、宴会開始の乾杯になった。

「皆、よく働いてくれておる。感謝じゃ」
 お義父さまのご挨拶。
「このところ境界周りが小忙しいが、今日は英気を養ってまたしっかり励んでくれ」
 ジュリアスさまのご挨拶。
「グレーデンの民よ、そなたたちの頑張りでレイドラアースの平和がある。いつも感謝しておるぞ」
 そして王様の激励に歓喜の声をあげてお肉の争奪が始まった。

「リーシャ、こちらに」
 ジャスパーが首に巻いた?ジュリアスさまが私を抱き上げて料理を取る。

「酒を出してくれたんだな」
「宴にはお酒ですから」

 酒豪ばかりいるので出さないと暴動が起きるよ。

「リーシャちゃん、これどうぞ」
 ルルゥが差し出してくれたのは、なんかプルプルした白子みたいなのが載ったお皿。
「亀の腸よぉ」
 ええ~!こんななのか。どんな食感なんだろう。
「睾丸はあっちで争奪戦よぉ!ジュリアスさまはいいのかしらぁ?」
「・・・間に合ってる」
 ん?もしかしてあっちに効く系?
 亀、雄だったのか・・・。

 とりあえず一口食べた腸はコリコリ?見た目の白子っぽさとは違ってた。
 コリコリしたのは飲み込むタイミングが掴めなくて苦手だな。ずっと噛んでたら残りはジュリアスさまとジャスパーが食べてくれた。
 
 睾丸争奪戦はスピネルさんとチェイスさんとお祖父様とドーリーさんが制した。まだまだ量あるでしょ?って思ったら、高級素材だから貢物としてホーン家やリュフェリー家、王家と分けてるらしい。
 王様は参戦しなかったわけだよ。

「女性にも色々回復効果があるから食べたらいいけど、睾丸は食べたがらないかなー」
 男性陣の盛り上がりに女性が欲しいとは言い出せないしと思ってつぶやいたら、お祖母様がお祖父様の戦利品を分けてくれって。
 お祖父様がビックリして困ってた。

 亀の心臓や肝臓も美味しいらしいので少しだけ食べたんだけど、よくわかんない味だった。魔素はたっぷりなので滋養にいいとは思う。

 ポムたちは卿が乗ってくるとやっぱり踊り出して、おっきな騎士さんたちがそれに続いて。
 愉快な踊りに良い加減に酔ったコックさんも侍女さんも踊り始めちゃって。
 ジャスパーもウズウズしちゃって踊りの輪に混ざっちゃった。

 (・・・また精霊が飛びまくっちゃうな)
『精霊王も神も喜ぶから良いじゃろうの』

 たくさん食べて満足したらしいアズライトが私の肩に乗って来た。
 うちに来てからこんな長いこと離れてたことがないから戻ってくれてホッとした。

 (魔の森大変だった?)
『そうでもないの。興奮したあやつらの制御の方が大変だったの』
 おおぅ。グレーデン最強の人たちが集まって、カマランでフィーバーしたルークたちみたいになってたってことでしょ。マジ怖い!
『だが早めに気がついたおかげでスタンピードにならんかったのはルドガーの感のおかげじゃの。この魔の森の多い領地が長く大きな被害を出してないのはあの者のおかげじゃろうの』

 おお!お義父さまの感すごいのね。
 ジュリアスさまたちに遺伝してると良いな。

 延々と踊るみんなを眺めてるとフォークダンスを思い出した。
 マッチョだらけのマイムマイムとかちょっと想像したらダメ!
 
 プルプル肩を震わせちゃったらジュリアスさまが「寒いか?」って心配しちゃった。
「ジュリアスさまがあったかいから平気」
 遠慮なく抱きつきますよ!
「そうか?」

 そしてやっぱり、踊りの中心に大きな光が現れて、精霊の気配がブワッと広がって空に舞っちゃった。

 ジャスパーが入っちゃったからより大きくいったねー・・・。
 火の精霊王が望んでたんだから仕方ない。

 ちょうど王様がいるから王様、情報規制とかなんかお願いします。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

追い出された万能職に新しい人生が始まりました

東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」 その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。 『万能職』は冒険者の最底辺職だ。 冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。 『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。 口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。 要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。 その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。 黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、 接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。  中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。  無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。 猫耳獣人なんでもござれ……。  ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。 R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。 そして『ほの暗いです』

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
恋愛
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

侯爵夫人は子育て要員でした。

シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。 楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。 初恋も一瞬でさめたわ。 まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。 離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。

処理中です...