上 下
347 / 659
二章

337話

しおりを挟む
 ニーナも戻って来て普段の状況に戻って数日。
 マダム・シフォンがお弟子さんたちを連れて来てくれた。

 先に製作済みの私とお義母さま、お祖母様のドレスを最終確認。
 いつの間に頼んでたのってくらいの量だったので着せ替えショーが終わって既にクタクタ。
 お義母さまとお祖母様の体力はお化けだ。

 そして私的本日のメインのニーナのドレスとサラとメルのメイド服。サラとメルだけって言うわけにもいかないので侍女長メイド長含むみんなにはクラシカルなメイド服を来てもらって。
 コックさんたちにはカフェっぽいお店のおしゃれコックコート、侍従さんたちには悪魔で執事になってもらおう。

 予算は私のポケットマネーで!!これ一回は言ってみたいよね。今なら言えるぞ。いくらでもドンとこいや!!

 あとジュリアスさまの夜会用も新調してもらおう。黒に銀刺繍でアクセントに紫入れて貰えば私の独占欲が詰まった衣装になるのだ。アイスドラゴンの魔石を少し削ってクラバットピンも用意しなくっちゃ。

 ニーナが自分のドレスだなんて思ってなかったので必死に辞退しようとしてたけど、ルークのお祝いでもあるし、私の事をずっと守って来てくれた褒美でもあるってお義母さまに説き伏せられた。

 オレイユ家ではお母さまがニーナの給金を払えるようにしてくれていたけど、四六時中私に尽くしてくれて、飢えないように食事の手配とか大変なこともあったし、キミーやイダルンダから嫌がらせも多かったのに辞めずにいてくれた事だって感謝だもの。

 ドレスを何枚だって買っても恩を返しきれないよ。
 
「ニーナ、この生地はどうかしらぁ」
「こっちの色合いもいいんじゃないかい?」

 お義母さまもお祖母様もノリノリでニーナに生地を当ててる。

「うふふ、難攻不落のサーキス卿が結婚を決めたって王都で大騒ぎだそうですよ」

 マダムが笑顔でデザイン画を確認して話し始める。

「あらぁ?もうバレちゃってるのぇ」
「サーキス子爵夫人がお茶会で嬉しそうに話回ってるそうです」
「まぁ!ルークちゃんが怒るわよねぇ。でも一生独り身と思っていた息子のことだから気持ちはわかるわぁ」

 年頃の子供を持つ母たちの会話!

 ニーナがしょっぱい顔になってるぞ。

「ニーナさまのこの腰のくびれを自慢したいわ。こんな感じはいかがかしらぁ?」

 ボディラインがハッキリしたマーメイドラインはニーナに似合いそうだけどルークは嫌がらないかな。せめてロールラインで合わせるかな。
 後ろにレースでフレア入れてとかロマンティクにしたい。

 ルークは銀髪にアイスブルーだから白地に銀糸刺繍と青い石を散らすと綺麗よね。
 銀多めに使いたいな。

 マダムのデザイン画を見ながら私は別紙にイメージを描き込んでいく。めっちゃ楽しい。
 
「まぁ、これは光を纏う感じになりそうですわねっ!綺麗ですわ」
「あらぁ、素敵ねぇ」

 お色直し的なドレスは甘いのも取り入れて。ニーナに似合う淡いグリーンのドレスも欲しい。

「リーシャさま、そんな可愛らしいのは私には無理です」
 なんて言うけどお祖母様とマダムが絶対似合うって後押ししてくれた。

 あとはお式に出る私たちのドレスもお願いして。

 最後にサラとメル、他の衣装のデザイン画を見せてマダムにお願いした。

「まぁ!可愛いですねぇ」
「でもお仕事中に中が見えそうなのは問題では?」

 マダムとお弟子さんにごもっともな事を言われてしまった。ダメか~。絶対領域は諦めるか。

「そうねぇ、せめてお膝までは無いとダメねぇ」
 と言われてせめて可愛い靴下の靴は譲れないと頑張った。

「このこちらの衣装は可愛くて良いですわね」
「そうねぇ、みんな喜んでくれそうねぇ」

 流石にメイド服やコックコートはマダムのお店じゃなくて下請けさんにお任せするそうだ。手が足りないしね。
 
 ジュリアスさまの衣装にはマダムが目をキラキラさせてた。

 そういえばルークの花婿衣装もいるんだったって思い出してお義母さまも「ハッ」ってなってみんなで苦笑。

 ジュリアスさま用に描いたデザインを少し変えて色合いをニーナの春色のグリーンの瞳に近い生地にニーナの髪色の濃い金を模した金糸刺繍とで、王子様チックなのができそうなデザイン画が完成!
 お色直しは白地に銀糸刺繍とグリーンの石でってことに。
 うーん、日本人だったら似合わなそうだけどルークなら似合う!

 ついでなのでってお義母さまがセリウスさんとクラウスさま、ついでにお義父さまとお祖父様の分もお願いしてた。

 そういえばそのうち王都のホーン慰労パーティも行かなくちゃだしね。

 マダムたちとお茶をしてから解散になったので私は離れに向かう。

 フーゴの村にもそろそろ顔を出したいから新しい教材を用意しなくちゃ。
 
 まずは離れの庭を覗くと色々育ってた。
 収穫してしばらくしたらまた育ち始めるからいつでも何か採れる夢のような畑になってるよ。ポムたちが気前良く舞をしてくれるもんだから。

 ホーンの時にたくさん放出してる空になってた棚のお酒が少し貯まって来たのでちょっとワクワク。
 寝かせる余裕が出て来たかな。

 マギー先生がちょいちょい瓶を持っていくけど大量じゃないので大丈夫。
 騎士団や使用人棟にも平等に分けてるので今のところ問題はない。
 まぁ人数に対して量が足りて無いけどちゃんと分け合ってるらしい。
 直に工場産が出回るからもうちょっと待ってね。

 甘酒の木のお酒は配合を変えて比べた中で泡盛っぽいのができたので嬉しかった。
 日本酒ワインっぽいのも出来たしで、なんでもありだ。

 アズライトとポムが一番飲んでるけど、まぁ加護あればこそなので仕方ないよね。
 池で作ってるお酒をたまに分けてくれるし。

 ふと思い立って酒粕を使って美肌パックを作ってみたら超潤った。
 ちょっとしたいたずら心でお義父さまに使ってもらったらボディビルダーみたいにテカったのでやりすぎた。脂ギッシュでは無いけどなんかダメだ。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」 愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。 伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。 「あの女のせいです」 兄は怒り――。 「それほどの話であったのか……」 ――父は呆れた。 そして始まる貴族同士の駆け引き。 「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」 「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」 「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」 令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に

ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。 幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。 だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。 特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。 余計に私が頑張らなければならない。 王妃となり国を支える。 そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。 学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。 なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。 何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。 なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。 はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか? まぁいいわ。 国外追放喜んでお受けいたします。 けれどどうかお忘れにならないでくださいな? 全ての責はあなたにあると言うことを。 後悔しても知りませんわよ。 そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。 ふふっ、これからが楽しみだわ。

かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました

お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。

夫から国外追放を言い渡されました

杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。 どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。 抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。 そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】それではご機嫌よう、さようなら♪

山葵
恋愛
「最後まで可愛げの無い女だ。さっさと荷物を纏めて出ていけ!」 夫であったマウイに離縁を言い渡され、有無を言わさず離婚届にサインをさせられた。 屋敷の使用人達は絶句し、動けないでいる。 「おいビルダ!何を呆けているのだ。この届けを直ぐに役所に届けろ」 「旦那様、本当に宜しいのですか?」 「宜しいに決まっているだろう?ああそうだ。離婚届を出した序でに婚姻届を貰ってきてくれ。ライナが妊娠したから早急に籍を入れる予定だ。国王陛下に許可をしてくれる様に手紙も頼む」 私はビルダと共に部屋を出る。 その顔はきっと喜びで微笑んでいただろう。

処理中です...