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二章
パラレル お正月のおもてなし? SS
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ふわふわ。
真っ白な雲。マショマロ?
柔らかな寝床でふわふわぬくぬく。
ペチペチ。
ペシンぺシン。
タシタシタシ。
小さな肉球とひんやりしっぽ。
頬を掠める僅かな刺激に目を覚ませば空の上。
「寝坊助だな」
「ふむ、神力が馴染まぬか?」
ふかふか床?に手を当てて体を起こすと綺麗な綺麗な人たちが浮いたガラス板?に茶器を乗せて優雅にお茶飲んでる。
「我らは精霊の王」
「汝等を見守るものぞ」
「・・・」
「茶菓子を食うが良い」
明らかに人も世の者じゃない感じの美しさと身体に纏っている衣類や装身具がふわりふわりと浮いているのが不思議すぎて言葉が出ない。
「そなたのいた世界では今は正月というのだろう?」
「せっかくだから神に近しい我らが会いに来てやったのだ」
「ほれ、この場ではそなたが思い描けば思い通りの食べ物が出るぞ。早よぅおせちとやらで我らをもてなせ」
ええええ、呼ばれた方がもてなすの!?
なんか釈然としないけどお高いお重のデパートお取り寄せおせちを思い浮かべる。
「「「「おおお!!!」」」」
「我は雑煮とやらも食したい」
「お屠蘇とやらを」
「お酒を」
なんなん!!!!!
「どうぞ」
言われるがまま、お正月なものを出し続ける。
ポムたちもちゃっかりそれぞれの加護をくれたらしき精霊王のそばで飲み食い。
「あな愛しきものぞ」
ポムの顎をウリウリしてるのが土の王かな。
「我の仔も可愛らしかろう」
ティムの腹とディディエの首をかいてやってるのが風の王。
「我の仔はジジィじゃからのぉ、だがこれもまた良きかな」
アズライトに酒を注いでやってるのが水の王らしい。
火の王はまだうちの卵が孵ってないのでちょっと不機嫌。
「ふむ、地球の食事がうまいと聞いて頼んでみたが確かにうまいの、どれ、褒美をやらねばな」
「そうだな、お年玉というのだったか」
「そら、その水鏡を覗くが良いぞ」
散々飲み食いをしたあと満足したのか、彼らが空に出した魔法陣が水鏡になった。
じっと覗き込めば、ボクシングの試合??
いつもクミちゃんと観戦していた開場が映し出される。
座席を見ればクミちゃんや筋肉スキーな友人たちがガチな応援ルックで推しの応援をしてる。
いけー!!そこだー!逃げるなー!攻めろ!
大声で応援してる懐かしいクミちゃんの姿に泣きそうだ。
クミちゃんの席の横には私の大事にしていた推し色のうさぎのぬいが置いてある。
一緒に連れて行ってくれてるんだ。
しばらく見ていると場面が変わって居酒屋だ。いつも試合後に行ってた。やっぱりうさぎが横に座ってる。
「ハー。やっぱり動いてる時の筋肉が一番だね!」
「あんたそんなこと言ってもビルダーのムック睨めるように見てるの知ってっからね」
「別腹よ!!」
相変わらず仲間達。私も混ざって騒ぎたいな。
しこたま飲んだみんなはそのまま初詣。毎年のお約束だ。日の出前に移動して近くの山道で屋台飲みが出来るとこで朝を待つ。
「今年は絶対マッチョを口説きにタイに行くわ!!」
なぜにタイ。
「えー私はブラジルがいい」
「筋肉関係なしにイタリアに行きたい」
「「「筋肉は絶対なのよ」」」
ブレないな。
「ほう、汝等の友人は愉快だな」
「筋肉が好きならグレーデンに呼んでやったらどうかな」
ええええ!!いや涎出して喜びそうだけど、寿命まで地球で生きさせてあげて。
「そうだな、天寿をまっとうしたらこちらに転生させるのもよかろうか」
いやいやいや、たまたま私の友人だっただけで異世界に呼ばれても大変だからね!!
「神に聞いた方がよかろうの」
そうそうそう!!絶対そう!!
「あまり褒美になってなかったか?」
「いえ!友達が元気にしてるって知れて良かったです!!」
「そうか」
クミちゃんたちをずっと見ていたいけどそうもいかないし。
「仕方ないの。おまけで美味しい酒を渡しておこうか。いつも供えてくれてありがとうの」
またも神聖なお酒をもらってしまった。
「ほれ、そろそろ其方の夫君が心配するから戻るが良い」
「馳走になった」
「良い一年を過ごせるよう祝福しよう」
「うむ、そなたとそなたの愛する者たちが幸せに包まれるように」
精霊王たちからキラキラが飛んできて光に包まれて眠った・・・。
違う。目が覚めた。
ジュリアスさまが心配そうの私を覗き込んでた。
「大丈夫か?」
「?」
「寝ぼけてベッドから落ちてしまったんだよ」
うげげ。
縁起が良い夢を見てた気がするのにお花畑に行ってた方だったの!?
「ほら、これで良いだろう」
コブが出来てるみたいで傷用のポーションを塗ってくれた。
うーん。
とりあえずきっと良い夢だった。うん。
--------------
明けましておめでとうございます。
この世界の一年の区切りはレイドラ神の生誕祭なので完全にパラレルということで。
なんとなくなお正月ネタを書いてみたかったのでした。
今年も一年、このグレーデンの愉快な仲間たちのお付き合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
読者さまのご多幸をお祈りいたします。
「プッキュ!」
「モッキュ!!」
ポムとティムがお正月餅の代わりに種を投げておもてなし←?
真っ白な雲。マショマロ?
柔らかな寝床でふわふわぬくぬく。
ペチペチ。
ペシンぺシン。
タシタシタシ。
小さな肉球とひんやりしっぽ。
頬を掠める僅かな刺激に目を覚ませば空の上。
「寝坊助だな」
「ふむ、神力が馴染まぬか?」
ふかふか床?に手を当てて体を起こすと綺麗な綺麗な人たちが浮いたガラス板?に茶器を乗せて優雅にお茶飲んでる。
「我らは精霊の王」
「汝等を見守るものぞ」
「・・・」
「茶菓子を食うが良い」
明らかに人も世の者じゃない感じの美しさと身体に纏っている衣類や装身具がふわりふわりと浮いているのが不思議すぎて言葉が出ない。
「そなたのいた世界では今は正月というのだろう?」
「せっかくだから神に近しい我らが会いに来てやったのだ」
「ほれ、この場ではそなたが思い描けば思い通りの食べ物が出るぞ。早よぅおせちとやらで我らをもてなせ」
ええええ、呼ばれた方がもてなすの!?
なんか釈然としないけどお高いお重のデパートお取り寄せおせちを思い浮かべる。
「「「「おおお!!!」」」」
「我は雑煮とやらも食したい」
「お屠蘇とやらを」
「お酒を」
なんなん!!!!!
「どうぞ」
言われるがまま、お正月なものを出し続ける。
ポムたちもちゃっかりそれぞれの加護をくれたらしき精霊王のそばで飲み食い。
「あな愛しきものぞ」
ポムの顎をウリウリしてるのが土の王かな。
「我の仔も可愛らしかろう」
ティムの腹とディディエの首をかいてやってるのが風の王。
「我の仔はジジィじゃからのぉ、だがこれもまた良きかな」
アズライトに酒を注いでやってるのが水の王らしい。
火の王はまだうちの卵が孵ってないのでちょっと不機嫌。
「ふむ、地球の食事がうまいと聞いて頼んでみたが確かにうまいの、どれ、褒美をやらねばな」
「そうだな、お年玉というのだったか」
「そら、その水鏡を覗くが良いぞ」
散々飲み食いをしたあと満足したのか、彼らが空に出した魔法陣が水鏡になった。
じっと覗き込めば、ボクシングの試合??
いつもクミちゃんと観戦していた開場が映し出される。
座席を見ればクミちゃんや筋肉スキーな友人たちがガチな応援ルックで推しの応援をしてる。
いけー!!そこだー!逃げるなー!攻めろ!
大声で応援してる懐かしいクミちゃんの姿に泣きそうだ。
クミちゃんの席の横には私の大事にしていた推し色のうさぎのぬいが置いてある。
一緒に連れて行ってくれてるんだ。
しばらく見ていると場面が変わって居酒屋だ。いつも試合後に行ってた。やっぱりうさぎが横に座ってる。
「ハー。やっぱり動いてる時の筋肉が一番だね!」
「あんたそんなこと言ってもビルダーのムック睨めるように見てるの知ってっからね」
「別腹よ!!」
相変わらず仲間達。私も混ざって騒ぎたいな。
しこたま飲んだみんなはそのまま初詣。毎年のお約束だ。日の出前に移動して近くの山道で屋台飲みが出来るとこで朝を待つ。
「今年は絶対マッチョを口説きにタイに行くわ!!」
なぜにタイ。
「えー私はブラジルがいい」
「筋肉関係なしにイタリアに行きたい」
「「「筋肉は絶対なのよ」」」
ブレないな。
「ほう、汝等の友人は愉快だな」
「筋肉が好きならグレーデンに呼んでやったらどうかな」
ええええ!!いや涎出して喜びそうだけど、寿命まで地球で生きさせてあげて。
「そうだな、天寿をまっとうしたらこちらに転生させるのもよかろうか」
いやいやいや、たまたま私の友人だっただけで異世界に呼ばれても大変だからね!!
「神に聞いた方がよかろうの」
そうそうそう!!絶対そう!!
「あまり褒美になってなかったか?」
「いえ!友達が元気にしてるって知れて良かったです!!」
「そうか」
クミちゃんたちをずっと見ていたいけどそうもいかないし。
「仕方ないの。おまけで美味しい酒を渡しておこうか。いつも供えてくれてありがとうの」
またも神聖なお酒をもらってしまった。
「ほれ、そろそろ其方の夫君が心配するから戻るが良い」
「馳走になった」
「良い一年を過ごせるよう祝福しよう」
「うむ、そなたとそなたの愛する者たちが幸せに包まれるように」
精霊王たちからキラキラが飛んできて光に包まれて眠った・・・。
違う。目が覚めた。
ジュリアスさまが心配そうの私を覗き込んでた。
「大丈夫か?」
「?」
「寝ぼけてベッドから落ちてしまったんだよ」
うげげ。
縁起が良い夢を見てた気がするのにお花畑に行ってた方だったの!?
「ほら、これで良いだろう」
コブが出来てるみたいで傷用のポーションを塗ってくれた。
うーん。
とりあえずきっと良い夢だった。うん。
--------------
明けましておめでとうございます。
この世界の一年の区切りはレイドラ神の生誕祭なので完全にパラレルということで。
なんとなくなお正月ネタを書いてみたかったのでした。
今年も一年、このグレーデンの愉快な仲間たちのお付き合いいただけると幸いです。
よろしくお願いします。
読者さまのご多幸をお祈りいたします。
「プッキュ!」
「モッキュ!!」
ポムとティムがお正月餅の代わりに種を投げておもてなし←?
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