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二章

330話

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 離れでは伯父様とお兄様がホーンの領民のための作業してるのでちょっとお話し。

 カイダール領では土地の浄化と開墾、土の改良と大忙しで領民が一丸となってお手伝いしてくれてるらしい。
 しばらくは王領扱いで代官がしっかり運営してくれていたそうでイダルンダのせいで良くない状態だった領民の感情も穏やかだったそう。
「おかげさまでつつがなく受け入れてもらえてありがたいよ」
 今はその代官がホーンのためにと送り出してくれたのだとか。

 リーシャは領地にいた頃はお母さまの言いつけで屋敷周りしか出てなかったっぽいから領がどんな雰囲気だったかは覚えていない。お母さまは時折お出かけして交流を持っていたみたいだけどね。
 屋敷から見る畑や領地の全景は野原が多くて長閑だったと思う。

「カイダール父さんに仕えていた執事が戻ってきてくれてね、色々聞きながらなんとかやってるよ」

 ん~、確かイダルンダが追い出した人だな。微かにしか覚えていないけどメガネと懐中時計の似合いそうな人だった。

「お兄様、お母さまが残していた薬草の記録と種は全部お渡ししますね」
 領地に行った時にって思ってたけど早い方がいいし、伯父様と二人でお母さまの大好きだった薬草畑を復活させて欲しい。

「多分お父さまが書いたものがほとんどだと思います」

 テーブルの上にドーンと出したら結構あったので自分でびっくり。

「あの二人は几帳面でな。細かく記していたんだろう」

 伯父様が全部マジックバッグに仕舞ってくれた。

「お兄様はマジックバッグは?」
「叙爵祝いにマーベルハント前侯爵さまがくださったのを使わせてもらっているよ」

 わぁ、お祖父様ってば太っ腹!

「リーシャさん、多分セラーナ夫人の作ったものだと思うよ」
 ああ!お祖母様なら色々作っていたからマーベルハント家にも色々残っていそう。
 私の貰った遺産や隠し部屋の中にもいっぱいあるからきっと試作品も色々あるよね。

 しばらく領地のことをお話ししたと、化粧水に使いたい薬草と効能を相談した。
 お兄様の祖国アルモンドでのお肌のケアはクリーム状のものを寝る前に塗るのだそうで、よく聞くと脂ギッシュなパック状の何かだったので怖いって思ったよ。
 私が作りたいものはって百目ポーションを使った化粧水とクリームを見せた。
 成分が効きすぎたので普段のケアと日焼け止め効果のある素材で薬用として作りたいと説明した。
 お試しでお兄様たちに手に塗ってもらったら手の甲がピーンと張って肌色が明るくなったので顎がカクーンと落ちた感じになったよ。

「これは出回ると恐ろしいな」
「普通のを作ろうか・・・」

 二人とも美に執着のある女性が近くにいたのかしら?

 お肌に良い薬草とその薬草に相性のいいお花の組み合わせを教えてもらって潤いのと美白のとハリのと数種類できそうなので色々試そう。

「あ!お兄様、オレ・・・カイダールの山には月夜にしか咲かない花があるはずです。お母さまが一度だけ見せてくれたんですがとても良い匂いがしました。あれの香水を高位貴族向けに領地の名産にしたら運営資金になるかもです」

 化粧水の組み合わせを考えていたら香水も良いなと思って、そうしたら突然あの花の香りを思い出した。

「山か・・・ナタリアさまが手に取れたのなら普通に行ける場所なのだろうか」

 言い出しておいてごめんだけど場所までわからないや。

「領地の植生も調査しているから何かしら情報は入るだろう」

 見つからなくてもお母さまの種で良い薬が出来れば大丈夫かな。もし厳しそうなら私の口座から投資しても良いかもだし。

 今回の化粧水も権利の半分はお兄様たちにしてもらおう。

「しかし錬金術とはやはり凄まじいな」
「そうですねー、混合するのではなく合成してますし魔物の素材も使いますから失敗したら爆発しますしね、ポーション作ったらヘドロが出来たりしました!」

 薬術師が身体に合わせてゆっくり治していく方が負荷が少ないし安全だとは思うけど、錬金術で作った薬の方が一気に効くし、効果が高いからどうしても薬術師の地位が一段下がるんだよね。
 でも錬金術の薬に使うのも基本は薬草だから薬術師がいて薬草を育ててくれる人がいてこそなんだよ。
 リーシャは錬金術も薬術もお母さまから学んでたから私がとっても助かっている。

 お兄様たちはヘドロが出来たと聞いて引いてるけど役に立ったのよ?

「ヘドロ味のポーションは一応治癒効果があったので鉱山刑になったハーボット元侯爵やイダルンダに使われたそうです!」
「「はは・・・」」

 使うって決めたのは私じゃないよ?

 お兄様たちは引き続き弱った人向けの薬を作るそうなので私は化粧水の素材を選ぶことに。

 精霊さんたちにもらったお花の香りの良いのを自分用に使いたいな。

 化粧水は一般向け用にしたいので極力一般的な素材で誰でも少し贅沢だけど手に入れられるくらいのお値段になるようにしなくては。

 そういえば百目はね。結構使ったけど目玉はまだまだあるんだよ。ヤバいよね!
 それなのにお義母さまが喜ぶからってアッガスに獲れたら回してくれるようにってお義父さまが依頼しちゃってるんだよ。
 私はできればもう百目触りたく無いんだよ!
 なので一般向けの化粧水は絶対いい感じに仕上げるぞ。

 素材の選別を数通りしたところで良い時間になったので私はマイ酒蔵のチェックだけして本邸に戻った。

 庭でお祖母様が体術の訓練をしててびっくり。

「あらおかえり!あんたもやるかい?」

 えええ、興味はあるけどガチそうだから無理!

「まだやることがあるので・・・」

 無理とか言ったらスパルタ発動しそうだからそそくさと逃げた。

 一旦お部屋に戻って楽な服に着替えてからディゴーで買った瓶を〈洗浄〉〈清浄〉する。
 オーダーで依頼した分は王族と公爵家であとはディゴーので良さげ。

 自分用に薄いピンクとブルーのを使おう。

 









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