322 / 659
二章
313話
しおりを挟む
私は自室に籠るから護衛は必要ないのでアランとジェイクに離れまで行って、甘酒の木の樹液があるだけと仕上がってるお酒を全部厨房に運んでくれるようにお願いした。
誰か一人は付いてないといけないそうなのでアランだけ行ってくれることに。
「タンクの使い方はわかる?」
「はい」
「じゃぁ〈洗浄〉してケビンに新たに庭の果物かハーブを入れてもらうようにお願いしてくれる?」
「承知しました」
あまり大っぴらに出したくないけど、極寒の地ではウォッカとかで体温下げないようにしてるって何かで読んだから、今回は使ってもらおう。うちからも騎士さん出てるし。
ニーナに手伝ってもらって簡易錬金セットをテーブルに並べて、素材もバンバンと出していく。
「リーシャさま、今日はもうたくさん魔力を消費していますが大丈夫ですか?」
ニーナが心配そうに聞いてきた。
「うん。今のところ大丈夫っぽい。無理そうだったら休むね」
まずは百目の肝を処理しないと。
取り出した巨大な毒々しい紫色の肝をとりあえず半分を風魔法でバラバラに刻んで大鍋の中で撹拌する。
臭いはアイテムボックスから出した時は無臭だったけど、切り刻んだ一瞬にムワァっとしたので遮断した。マジ勘弁。
お母さまの残した薬草に滋養強壮のが何種類かあったので確かお母さまの残したレシピに百目の肝について書いてあったなって記憶を探って必要な素材を鍋に入れていく。
今回はポーションとまではいかない滋養強壮薬なので多少簡単。
弱ってる人には強いので年齢と体格別に希釈度を変えて使う。
ホーン領に向かった人たちにも身体を温める栄養剤をってことでさっきのに加えて辛味のあるボムの根と内緒だけど虫から生えた薬草とセクシーポーズしてるみたいな根菜を混ぜる。
平時に飲むと別の意味で漲っちゃうので飲んじゃダメだぞ。
隣でニーナが虫の草を見てドン引きしてるけど薬に使う素材なんて得体の知れないものが多いんだよ。
あとお酒に混ぜる薬草も煎じておく。
作った物は一旦アイテムボックスに仕舞って厨房に向かう。
アランも戻ってきていたので
「ルルゥ、妊婦さんたちにはまずこの甘酒の樹液とかなり煮込んだ米と麦を混ぜてあげて」
栄養がたっぷりだから。
「お酒は何に使うのぉ?」
「薬草を混ぜてホーンにいる騎士さんたちに渡すの。向こうで寒さに耐えてる領民にはこれを薄めたものとこっちの栄養剤も配ってほしい」
厨房のコックさんたちが全員フル稼働だ。
マギー先生から胃に優しいものや逆に栄養の吸収力の高い食べやすいものなどいろいろ指示が出てるみたい。
「ルルゥ、栄養剤は侍女さんやメイドさんに任せた方がいい?」
「あら、状態別に場所を分けてあるからこっちでやるわよぉ」
私は大鍋と希釈の説明書をルルゥに任せた。
ニックスとベンに手伝ってもらって酒樽に薬草を煎じた物を混ぜて、こっち用を少し残して残りを転移陣のある塔に運ぶことに。
「リーシャさまはお休みになってください」
「この状況で私だけ休むのはできないよ」
途中でセバスチャンが追いかけてきたけど流石に却下だよ。
「やれることやったら休むから」
グレーデンに薬師も医師もいるけど百目とか高ランク素材を使うのを短時間でこなすのは私しかいないと思う。自惚れてるかも?だけど。
アランに運ばれてるからカッコつかないけどね!
塔に入るとまだまだ人が移動してきていた。
かなりの人数だよ。
「寒さに慣れた私らでもあれは堪える」
ちょっとお年のマッチョさんがボヤきながら荷物を転移陣から出してた。
私はちょうど騎士帯を送り出してるサーキスさまに、身体を温める栄養剤の説明をして、お酒も全部渡した。
一瞬眉を顰めたけど、緊急時なので受け取ってもらえた。
「リーシャさま、可能ならカイロのような物をたくさん用意してください。素材はセバスチャンに言えばすぐ用意されます」
おお!お仕事もらった。
「あとアズライトがホーンに残ってるようですが何か指示を出しましたか?」
え?そう言えばいないと思ったらホーンに忘れてきちゃったのかしら?ずっと肩に乗せてかから自分の意思で降りたんだよね?
「何も言ってないです」
「そうですか・・・」
まぁアズライトなら心配ないと思う。寒さに強いかは知らないけど。
「じゃぁ温かい道具を用意してきます」
「よろしくお願いします」
リュフェリー家や王家の騎士団も動いてるようでホーン家の転移陣はずっと稼働中で合間に運び入れてるから大変だそう。
ついでなのでグレーデン家の転移陣の装置に魔力を充填しておく。
「・・・底無しですか」
こっそりのつもりがサーキスさまに見られててめちゃくちゃ呆れられた。
「感謝します」
でもちゃんとお礼を言われたので問題なし。
大広間の方も何か必要ないかと顔を出すことにして向かってもらったら、寝かせられてる人とお世話する人で部屋は豪華なのに野戦場の如く忙しなく人が動き回ってた。
「リーシャさま、いかがなさいましたか?」
侍女さんが声を掛けてくれたので聞いてみた。
「何か必要なものとかありますか?」
「リーシャさまが用意してくださった甘酒の粥と栄養剤で状況は良くなってきましたので大丈夫ですよ」
ってことなので少し安心。
落ち着いたら天幕みたいなので個室っぽくするらしい。
客間の方には妊婦さんたちがいるそうで今は医師たちに任せてるそうだ。
そっちは何もできそうにない。
お湯とかも魔法でやれちゃうしね。
大人しくお部屋で温かい魔道具を量産しよう。
そう伝えるとニーナもアランもジェイクもかなりホッとした。解せぬ。
誰か一人は付いてないといけないそうなのでアランだけ行ってくれることに。
「タンクの使い方はわかる?」
「はい」
「じゃぁ〈洗浄〉してケビンに新たに庭の果物かハーブを入れてもらうようにお願いしてくれる?」
「承知しました」
あまり大っぴらに出したくないけど、極寒の地ではウォッカとかで体温下げないようにしてるって何かで読んだから、今回は使ってもらおう。うちからも騎士さん出てるし。
ニーナに手伝ってもらって簡易錬金セットをテーブルに並べて、素材もバンバンと出していく。
「リーシャさま、今日はもうたくさん魔力を消費していますが大丈夫ですか?」
ニーナが心配そうに聞いてきた。
「うん。今のところ大丈夫っぽい。無理そうだったら休むね」
まずは百目の肝を処理しないと。
取り出した巨大な毒々しい紫色の肝をとりあえず半分を風魔法でバラバラに刻んで大鍋の中で撹拌する。
臭いはアイテムボックスから出した時は無臭だったけど、切り刻んだ一瞬にムワァっとしたので遮断した。マジ勘弁。
お母さまの残した薬草に滋養強壮のが何種類かあったので確かお母さまの残したレシピに百目の肝について書いてあったなって記憶を探って必要な素材を鍋に入れていく。
今回はポーションとまではいかない滋養強壮薬なので多少簡単。
弱ってる人には強いので年齢と体格別に希釈度を変えて使う。
ホーン領に向かった人たちにも身体を温める栄養剤をってことでさっきのに加えて辛味のあるボムの根と内緒だけど虫から生えた薬草とセクシーポーズしてるみたいな根菜を混ぜる。
平時に飲むと別の意味で漲っちゃうので飲んじゃダメだぞ。
隣でニーナが虫の草を見てドン引きしてるけど薬に使う素材なんて得体の知れないものが多いんだよ。
あとお酒に混ぜる薬草も煎じておく。
作った物は一旦アイテムボックスに仕舞って厨房に向かう。
アランも戻ってきていたので
「ルルゥ、妊婦さんたちにはまずこの甘酒の樹液とかなり煮込んだ米と麦を混ぜてあげて」
栄養がたっぷりだから。
「お酒は何に使うのぉ?」
「薬草を混ぜてホーンにいる騎士さんたちに渡すの。向こうで寒さに耐えてる領民にはこれを薄めたものとこっちの栄養剤も配ってほしい」
厨房のコックさんたちが全員フル稼働だ。
マギー先生から胃に優しいものや逆に栄養の吸収力の高い食べやすいものなどいろいろ指示が出てるみたい。
「ルルゥ、栄養剤は侍女さんやメイドさんに任せた方がいい?」
「あら、状態別に場所を分けてあるからこっちでやるわよぉ」
私は大鍋と希釈の説明書をルルゥに任せた。
ニックスとベンに手伝ってもらって酒樽に薬草を煎じた物を混ぜて、こっち用を少し残して残りを転移陣のある塔に運ぶことに。
「リーシャさまはお休みになってください」
「この状況で私だけ休むのはできないよ」
途中でセバスチャンが追いかけてきたけど流石に却下だよ。
「やれることやったら休むから」
グレーデンに薬師も医師もいるけど百目とか高ランク素材を使うのを短時間でこなすのは私しかいないと思う。自惚れてるかも?だけど。
アランに運ばれてるからカッコつかないけどね!
塔に入るとまだまだ人が移動してきていた。
かなりの人数だよ。
「寒さに慣れた私らでもあれは堪える」
ちょっとお年のマッチョさんがボヤきながら荷物を転移陣から出してた。
私はちょうど騎士帯を送り出してるサーキスさまに、身体を温める栄養剤の説明をして、お酒も全部渡した。
一瞬眉を顰めたけど、緊急時なので受け取ってもらえた。
「リーシャさま、可能ならカイロのような物をたくさん用意してください。素材はセバスチャンに言えばすぐ用意されます」
おお!お仕事もらった。
「あとアズライトがホーンに残ってるようですが何か指示を出しましたか?」
え?そう言えばいないと思ったらホーンに忘れてきちゃったのかしら?ずっと肩に乗せてかから自分の意思で降りたんだよね?
「何も言ってないです」
「そうですか・・・」
まぁアズライトなら心配ないと思う。寒さに強いかは知らないけど。
「じゃぁ温かい道具を用意してきます」
「よろしくお願いします」
リュフェリー家や王家の騎士団も動いてるようでホーン家の転移陣はずっと稼働中で合間に運び入れてるから大変だそう。
ついでなのでグレーデン家の転移陣の装置に魔力を充填しておく。
「・・・底無しですか」
こっそりのつもりがサーキスさまに見られててめちゃくちゃ呆れられた。
「感謝します」
でもちゃんとお礼を言われたので問題なし。
大広間の方も何か必要ないかと顔を出すことにして向かってもらったら、寝かせられてる人とお世話する人で部屋は豪華なのに野戦場の如く忙しなく人が動き回ってた。
「リーシャさま、いかがなさいましたか?」
侍女さんが声を掛けてくれたので聞いてみた。
「何か必要なものとかありますか?」
「リーシャさまが用意してくださった甘酒の粥と栄養剤で状況は良くなってきましたので大丈夫ですよ」
ってことなので少し安心。
落ち着いたら天幕みたいなので個室っぽくするらしい。
客間の方には妊婦さんたちがいるそうで今は医師たちに任せてるそうだ。
そっちは何もできそうにない。
お湯とかも魔法でやれちゃうしね。
大人しくお部屋で温かい魔道具を量産しよう。
そう伝えるとニーナもアランもジェイクもかなりホッとした。解せぬ。
320
お気に入りに追加
1,695
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。
川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました
お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】それではご機嫌よう、さようなら♪
山葵
恋愛
「最後まで可愛げの無い女だ。さっさと荷物を纏めて出ていけ!」
夫であったマウイに離縁を言い渡され、有無を言わさず離婚届にサインをさせられた。
屋敷の使用人達は絶句し、動けないでいる。
「おいビルダ!何を呆けているのだ。この届けを直ぐに役所に届けろ」
「旦那様、本当に宜しいのですか?」
「宜しいに決まっているだろう?ああそうだ。離婚届を出した序でに婚姻届を貰ってきてくれ。ライナが妊娠したから早急に籍を入れる予定だ。国王陛下に許可をしてくれる様に手紙も頼む」
私はビルダと共に部屋を出る。
その顔はきっと喜びで微笑んでいただろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる