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二章

271話

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 今日はセリウスさまたちが帰ってくるので、ご馳走にしましょうってお義母さまが言ったら、お義父さまがちょっと魔の森まで行ってくるって言うものだからジュリアスさまが苦笑い。
 さぞかし素晴らしい魔獣を狩ってくるでしょう。

 ニックスたちが我らもって燃えてるけど、期待されるような新作料理は特に思いつかないのでアズライトの池で何か分けてもらってくるって伝えて移動する。

 アランたちにはアズライトの棲家までボートで連れて行ってもらったら、アズライトが今日は主とだけ居たいのじゃってアランたちにボートで釣りでもしておけって追い出した。
 しばらく渋っていたけど、池の島に来られる敵などおらぬってアズライトに言われて折れたよ。
 でもなるべく島からは距離を取らないみたい。
 ニーナも不安そうだったけど、大丈夫って宥めて。


『みな過保護じゃの』
 んー?まぁ魔獣がちょいちょい出てくるグレーデン領で育ったらアランたちに、私の不遇時代を知ってるニーナだからねぇ。

 あまり長時間離れてるとニーナたちがストレスにやられちゃうのでとっとと作業をしよう。

 仙桃は昨日の夜にバッチリニョキニョキしちゃったようで立派な実がたわわだよ。
 ポムとティムがドヤァっとしてる。

 はいはいってことで、タンク保護のために屋根があった方がいいだろうと伝えて、ポムが土魔法で小屋を作ってティムが風魔法でカンカンになるまで乾燥させる。
 火魔法使えたらレンガとかにできそうなのに残念。池の中とはいえ樹木が多いとこで火の気はダメだよね。
 コンテナは嫌だったんだろうか?

 中に入って金属など材料を出してタンク一式を錬成。もう構造が頭に入ってるから楽ちん。
 アズライトたちが好きに飲めるように完全に全自動にしなくちゃなので少し改造したけど。
 アズライトは〈浄化〉が使えるから腐ってお腹を壊すとかはないだろう。

 ティムは風魔法で実を全部狩ってくれたので粉砕機に入れて撹拌機に流れて行くか確認して完了。

「良い?このお酒はこの島からの持ち出しは一切禁止。自分たちで飲むだけにしてね」
 そりゃ私も一杯欲しいけど、なんか飲んだら仙人とかになりそうで怖い。

「あとわかってるだろうけど最初に精霊さまに献上してね」

 加護をくれている精霊にお供えはしておかないとね。

「ププキュン!」
「モッキュン!」

 当たり前だ~って胸を張る。
 アズライトも『うむ』って。

 アズライトに今夜のご馳走に果実か花ミツバチの蜜が欲しいって言ったら、おっきな薄紫色のマンゴーっぽいのと蜂蜜をくれた。
 マンゴーの形してるけど中の味はメロンで食感は梨らしい。素直にマンゴーにしといて欲しい。
 以前手に入れたマンゴーっぽいやつとはまた違うみたい。紛らわしいから困る。

 岸に出てアランたちを呼ぶとすぐ来てくれた。
 ギョンバイを釣ったらしい。
 海じゃないからいないだろうけどタコやカニがいたら良いのにねぇ。
 綺麗なウミウシっぽいのとか食べれるのかな?ナマコっぽかったら苦手だからいらないんだけど。

「おっきいのが連れましたよ」

ってアランが嬉しそうなので良かったよ。

 お魚はフライにしちゃおうかな。
 タルタルつけて。

 マンゴー?はそのままのが美味しいかな?
 メロンっぽい味かー、ゼリーかパフェに乗っけるくらいしか思いつかない。

 本邸に戻ってニックスにギョンバイとマンゴー?を渡して魚はフライにしたいって伝えた。
 フィッシュ&チップスにしちゃおうかな。

 お義父さまがお肉を狩ってきてくれるから豪華さはそっちに任せちゃえ。

「あ、白いワインってある?」
 チーズフォンデュにしちゃおう。
 庭で新鮮な野菜を収穫してきてもらおう。
 王都近辺の野菜じゃ嫌だけどうちの採れたて新鮮野菜は生で食べても大丈夫。
 スティックにしてもらおう。

「このワインとチーズでイケますか?」
 ベンが持ってきてくれたチーズの塊とちょっと大ぶりのビンに入ったワイン。
 ワインの匂いを嗅いでみたら大丈夫そうなので使おう。
 アルコールは飛んじゃうからダメって言われないよね?

「チーズはいっぱいある?」
「はい、定期的に入手出来てますよ」
 
 お酒解禁されたら生ハムとチーズで楽しみたい。

 鮭とばも欲しいところ。

 ザワザワっと庭から声がしてくる。

「ああ、おかえりのようですね」
 
 慌ててお出迎えに向かうとお義父さまが馬をドーリーの預けていた。
 お義母さまがまだいなかったので私が弾丸になってみる。
「お帰りなさいませ!!」
 自分的にはドーンとブツかって見たんだけどお義父さまがビクともせず私を抱き上げる。

「ただいまじゃ、お出迎え嬉しいぞ」
「どんな魔獣が狩れましたか?」
「うむ!ジャイアントビッグサンダーホーンとフィレストディアとロックバードじゃ」

 痺れるのはご馳走に外せないのね!

 鳥は唐揚げにしてもらおうかな。

 お義母さまが降りてきてお義父さまの位置を確認して弾丸になる。
 待って?私を降ろしてもらってからにして欲しい。
 片手抱っこなのでお義父さまがもう片方の腕でガッチリお義母さまを抱き止める。

「お帰りなさいませ!!」

 やっぱりビクともしない。素晴らしい体幹のようです。

「ふむ、戻ってきたようだのぅ」

 何も聞こえないんだけどお義父さまが転移陣のある塔を見つめる。
 耳からじゃなくて気配を感じてるのかな。

 少し間をおいて声が聞こえてきた。

 


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