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二章

234話

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 キッチン馬車とその周りで調理が始まった。お昼前なので出来上がるまでにちょうど良いかも?

 工場のコックさんたちもお手伝いしてくれるよ。

 おすましはまず出汁と溶き卵と三つ葉っぽいちょっとクセのあるハーブと。
 もう一杯はネギっぽいハーブと半生節を少し。
 そしたらば、村長さんがお昼にこちらもってキノコ山盛り持って来てくれた。
 ななな・なんと松茸っぽいやつが!!!
 キノコもポムたちのおかげでたくさん収穫出来たそうなので使っちゃうよ!

 土瓶蒸し!!!いえぇーい!!
 あー日本酒飲みたい!!

 ルルゥが手際よくコックさんたちを動かしてここにいる従業員さんや子供たちの分もたっぷり。
 コックさんたちはキッチン馬車をポカーンと見てからテンション高く中を見学してルルゥを羨ましがってた。
 最新式電化製品が揃ってるようなものだから盛り上がるよね。
 そういえば、普通に屋敷の厨房にオーブン用意した方がいいかな。窯の方が美味しいかな?

 ポムとティムが鰹節をカリカリ食べてて。齧歯類だったわ~って。雑食すぎて忘れてたけどほっとくと歯が伸びちゃうんだっけ?
 ディディエとアズライトは半生節を齧ってる。

『うーむ、酒が欲しいの。うまいの』
 
 飼い主に似てるとか言われちゃうやん!あげないよ。お昼だし。

 たこ焼きはアランとジェイクが担当してくれて。
 私は生節をパバブの葉っぱで巻いてレンチン~。パバブにしたのはちょうどいい葉っぱがないのと、ちょっとわさび風味も美味しいかも?って思ったから~。
 ポン酢作ってパバブの根っこを擦って~。
 あー、冷酒できゅっとしたいねぇ。

 アズライトが私の腕に乗って来ておねだり。だよねー。一節分とパバブ山盛り乗せてあげるよ。

『かー、うまいー』
 オッサン出て来た。そもそもお爺ちゃんだけど。

「あらぁ、そんなに美味しそうに食べたら私も気になるわぁ」
「僕も~」
 ルルゥとセリウスさまがアズライトを覗いて言うとアズライトは取られまいと威嚇してる。
 もぅ~味見で無くなりそうだから一切れずつだよ。

「うーん!良い味ね!!」
「結構好きかも~」

 良い感じの反応ーー。魚っぱい味じゃないのが不思議なんだけどちゃんと鰹節なんだよー。異世界のなんちゃって食材ってばありがたいね。鰹節に作り方なんてほんのりしかわかんないから助かったよ。
 味噌と醤油もね!でもフリュアの実だけじゃ量が心許ないので豆からも作りたい。
 緑色とかになりそうだけどネ!!!

「アラン~これアランが好きっぽいから味見してみて~」
 アランとジェイクがたこ焼きをクルクルしてるところに小皿を持っていく。

「あー、アランに優しくない~ずるい~」
 クラウスさまが拗ねてるけど、雇用関係だと遠慮しちゃうでしょ~。ルルゥは全くだけど~。

 アランとジェイクが手を一旦止めてパクりと一口。
 アランがピッカーーン!!って目を見開いたよ。

「これ美味いですね。川魚より好きです!」
「俺も好きです」

 アランはやっぱり魚派がねぇ。まぁ、これ木の実なんだけど。

「まだ木が一本だから贅沢には仕えないけど接木したりして増やしてもらおうね」

 ポムに豊穣の舞を抑えめにしてもらおう。加減は無理かな?

 食事が仕上がった頃にはお勉強を終えた子供達が集まって来た。

「「「あー、リーシャさまダァ」」」
「「「お嫁さま~」」」

 ワラワラ走ってくるのかわいい。
 獣人っ子たちも随分馴染んでるね。
 猫獣人のネオとジジは楽しそうに小さめの子の手をひいてる。
 狐獣人のバンカはヤンチャなリーダーチームでお互いの肩をぶつけ合いながら騒がしく寄って来て。
 狼獣人のロックは少し距離をとりつつ小さな子が危なくないようにを意識しながら着いて来てる。みんな個性があって面白い。お耳ピコピコかわいいな。

 村のちびっ子たちも元気いっぱいで引率の大人たちも慈愛に満ちた笑顔で平和だねって感じ。
 騎士さんたちが頑張ってるからだけど、王都で野蛮だとか魔獣が闊歩してるとかいったい誰が言ってるの?ってくらいなんだけど、食卓に並ぶ肉が大型魔獣中心だから魔獣はたくさんいるんだよ。私の前には出てこないし、危ない場所に行くこともないしね!

 子供達のそばに蛇獣人のバーベラさんとちょっと若い女性、真面目そうなメガネの人と 足を痛めてる大柄の男性がいた。

「あ、リーシャちゃん、彼らは各地の教師志望の人たちだよー」

 研修に来てくれてるらしい。ってことは若い女性がデイジー・スコット嬢かな。

 モデルケースの学校?塾?としてフーゴの村が一番最初に知育玩具や教材が取り入れられるので、各地に教育施設が出来るまでに色々研修する。現在も読み書きの簡単なものは引退騎士さんや商家の人が見てくれてるそう。

「みなさん、初めまして。この度はグレーデン辺境伯領のために集まってくださってありがとう存じます」
 
 みなさん一瞬固まった。高位貴族が目下の人に頭を下げることはないと言うけど、グレーデン家の人たちはおおらかだし、人を大事にしてるから多少垣根は低めなのだ。
 
 まずは腹ペコなみんなのお腹を満たしてから、お話しいたしましょうね!




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