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二章
192話
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クラウスさまが少し遅めにやってきた。
「ごめんねぇー」
どうやらアスレチックなアレコレをあちこちに作る手配を任されたようで慌ただしいらしい。
「そちらを優先で動いてくださっても大丈夫ですよ?」
いつまでにどれだけやるって決められたノルマもないから、私の方は手隙な時でも良いよねぇ。
「細かいところで動くのは部下たちの仕事だから良いんだよー」
ふーん。そういうモノなんだ。
「今は仕事ってより押しかけ令嬢たちが面倒なんだよー」
前に言ってた人かな。呼ばれてないのに来るって貴族的に無いよね。
「ディゴーで何か?」
「いやー、ほぼ確定してるっぽく兄さんと結婚するとか言って回ってる子がいるんだよ~」
ん?セリウスさまと?
クラウスさまが物凄い渋面になってる。
「そんな事実はないんだけど既成事実っていうの~?伯爵令嬢がなりふり構わないって泣けるよね~」
首を傾げたらクラウスさまが説明してくれる。
「伯爵の・・・」
婿入りならアリかな?
嫁入りだとセリウスさまは頭が切れるし、優しいしかっこいいし強いけど、本人の意向で爵位も領地も持ってないから、立場的に平民扱いだけど良いのかな。
あ、一応騎士爵は持ってるか。多分必要なら伯爵位は軽く貰えるし。
「レインとかアニエスとかみたいなアバズレじゃないみたいだけど金喰いなんだよねー」
以前ジュリアスさまに結婚を迫ったバツイチや火遊びの人か。強烈だったよね。
ってクラウスさまが毒舌~!!
「それでさー、さっきうちに父親同伴で来たらしいんだけどねー」
アレ!?サラッと言うけどヤバいんじゃ?
「玄関ホールでハロルドがお約束は~?とかのらりくらりしながら部屋にも入れずに、母上が『突然来られても困りますわ~』ってゆっくり出て行くつもりだったらしいんだけど今って裏庭から雄叫びが聞こえてるじゃない?」
ハロルド、一応貴族相手なのに応接に案内しなかったんだ。
「そしたら令嬢が『気持ち悪い!なぜ唸り声がずっと聞こえてくるんですの!?』って半泣きになって父親の方が『やはり野蛮な場所だ』とか言って帰ったって~」
あー、まぁあの力む声とかは知らないと怖いかな?
「あんなのでビビるならよく道中平気だったよね~?」
確かに。比較的安全なルートでも魔獣は出るし。
「母上がディゴーで騒いでる時点で伯爵の奥さんの方に苦情入れたみたいだからどっちにしてもそろそろ帰るしかないと思うんだけど、散々兄さんと結婚するって言って回ってたのにどうするんだろうね~」
セリウスさまに既成事実?を主張して強引に婿入りさせるとかはないのかしら。
グレーデンとの繋がりが欲しかったのか、セリウスさまに惚れたのかで同情度が変わるよ。
周りに付き合ってるって言いまくって結婚できるならすでに誰かにハメられて結婚しちゃってると思うのになぜ成功すると思ったし?
「ところでさ。マーベルハント領に行くのに兄さんが付いてくって。兄さんが行くなら僕は行けないからガッカリだよ」
突然ガラリと話が変わった。
「僕も行きたかったよー」
防衛の役目上、家族兄弟全員が離れることは出来ないんだよねぇ。
次世代の全員が亡くなるとかあったらいけないしね。
「カマラン行きに混ざっちゃったからですよー」
新婚旅行の行き先に「来ちゃった」って現れて海の魔獣狩りを存分に楽しんだから今回はセリウスさまが同行するあのは順番なんじゃないかな?
「ええ~、そうだけどさー」
「それに今回は狩りとか観光じゃないですよ~」
行程にどんな場所あるかわかんないけど。
「だってー、リーシャちゃんがいるなら絶対何か面白いこと起こりそうだしー」
なんで人をトラブルメイカーみたいに言うか。
海だってあんなすごいのがいるの知らなかったのに~!!
「ルルゥは付いてくって言ってたしー」
私が何か新しい食材見つけて試すのを見逃したくないらしいから仕方ないねぇ。
雇い主が彼(彼女)の自由を認めちゃってるからねぇ。
「はー、まぁ兄さんは父上の代理みたいなもんだから仕方ないんだけどさー」
ん?なんでだ?
「だって本来は葬送なら家族の長も出るでしょ、今回は棺の移動だから本葬ってほど重く扱わないから父上たちが参加すると恐縮されちゃうからねー。まぁ、どっちにしても父上と兄上が同時に領地を離れるのも滅多にないから~」
そう言うものなのかー。
お話しながらクラウスさまが持ってきた書簡に目を通す。
脳筋な人たちの集まりだから書類仕事が適当なんてことはなくかなり丁寧に書きこまてて見やすい。
「リーシャちゃんってチェック早いね~」
あれ適当に流し見てるとか思われた?
「目がすごい勢いで動いてたよー」
え?なんかホラーぽいからヤダ。
「それだけ早くチェックできたら楽で良いな~」
社畜OLだったモノで。
早くチェックしても仕事が増やされるだけだったから、気分的には楽では無いよね。
夕刻になったのでクラウスさまに運ばれて本邸に戻った。
ら、姦しい声が玄関から聞こえてきた。
「だから我々が無事に帰るために騎士団を出せと言っている!!」
!?
ハロルドが良い笑顔で聞き役に徹している。
騒いでる人が私たちがいるのに気がついてターゲットをこちらに絞った。
「あの執事はなんだ!!一体どんな教育をしておるんだ!?」
いやお前がな!
なぜ勝手なことを叫んで威張っているんだ?
「・・・どなたです?」
唾を飛ばしながら怒鳴ってくるちょっと腹の緩んだオジサン。
この世界で滅多にお目にかからない麗しくない貴族。
「貴様こそなんだ!!名乗らぬか!」
なぜ辺境に来てこんな威張り散らかせるんだ。
この人って多分朝来ていたとかいう伯爵でしょ?後ろにいるのが自称セリウスさまと結婚する人か。
辺境伯家は侯爵家扱いでしかもグレーデンには公爵でも無茶言えないはずなのに。
私が子供にしか見えなくて衣装も普段着だから軽く見たんだろうけどバカなの?
普段着でも実は高級品だぞ!
「ハロルド、この御仁は不法侵入ですね?追い出してください」
「な!なんだと!?」
礼を尽くさぬ相手にはそれなりの対応でいいのだ。
「かしこまりました」
「いや!!セリウスさま!!どうして迎えにきてくださらなかったの!?」
!!?!!?
ハロルドが処理しようと動きかけたところで父親の後ろにいた令嬢が出てきた。
「私、ディゴーでずっと待っておりましたのに手紙のお返事も頂けず、ひどいです」
何か一人舞台が開幕した。
ふわふわ茶色巻き毛のおっぱいぱいーんなお胸強調でちょっとくどいレースたっぷり甘いドレス。
これはダメな方のヒロイン!!?
いや、その前にさ。結婚相手の名前間違ってますよー!!
「えーと、よくわからないけど、うちのクラウスに何か妙な言いがかりをつけるのやめてもらえますか?」
「「「は!?」」」
「彼は、セリウスではないです」
「「ふへ!?」」
伯爵親子がポカーンとしているけど、そもそも下調べ無しに何企んでたんだ?
「変な言いがかりでディゴーでは著しい名誉毀損をなさっていると聞きました。陛下に報告致しますね?」
中途半端なとこに訴えると時間かかって面倒だからルルゥのクッキー添えてお手紙書いちゃえ。
「「ななな・・・」」
相手を間違えてるし、分が悪いのが理解できたんだろう。
「ききき、貴様がしゃしゃり出ることではないだろう!!」
あ、まだ足掻くんだ。
「申し遅れました。私、ジュリアス・グレーデン辺境伯の妻のリーシャ・グレーデンと申しますの。義理とはいえ弟二人に妙な言い掛かりは許せるモノではありません」
にっこり名乗ってあげたら一瞬で蔑みの顔が現れた。
「貴様のような子供が辺境伯夫人だと!?ふざけるな!!」
あれ?この人普段王都にでない人かな。王都にいれば辺境伯がちっこい嫁貰ったって話題のはずなのに。私も自惚れすぎてたかしら?
って言うかならなんでこの人辺境に目をつけてきたんだろ。
純粋に嫁希望なら名前間違えないだろうし。
「どう思われようとかまいませんが私、陛下から褒賞を頂ける程度には覚えがめでたいので今日のことはきっちり報告しておきます」
虎の威を借りちゃうけど、頭のおかしい人はまともに相手にしちゃダメ。
「セリウスさま・・・ではないのですか?」
「どこかであった?」
「夜会で・・・」
「じゃ周りが話してた内容からの推測かな?僕はセリウスじゃない」
「・・・一目惚れなんです!」
上目遣いで豊かな胸を腕で挟んで強調させて言い募る。
「悪いけど下調べもせず、街でありもしないことをばら撒いて、結婚に持って行こうとする女はもちろん、先触れもなくうちにやってきて、姉上に怒鳴り散らす父親がいる家と縁付くなんてお断りだ」
崩れ落ちる令嬢。名前名乗ってくんなかったな。
「辺境に嫁が少ないと聞いて温情をかけてやったと言うのに!」
まだ元気だ!!
「辺境で生きていける丈夫でおおらかな嫁なら欲しいけど、わがまま放題、そんな嫁はいらないかなぁ。僕けっこうロマンチストだわ~」
「な!せっかくここまで来てやったものに少しは思いやりを持てないのか!!」
これ以上話しててもむだっぽい。
門番や侍従がオジサンを羽交締めして出てくれた。
「うちの騎士を借りる気でいたのがおかしいよねー。連れてきた護衛はどうしたんだろ?」
ほんとだ。どこに行ったんだろ。
「まぁどうでも良いやー」
よくないと思うけどけどとりあえずひと段落か?
「あの人たちどうなるんですか?」
「んー?領外に連れてってポイだよ。」
おほー。
「騎士貸し出さなくて大丈夫なんです?」
護衛なしじゃ帰れないんじゃ。
「勝手にきたんだからねぇ、まぁ隣抜けるまで影から見張りつけるよ」
ふーん。親切。でもあの人たち文句言いいそうだな~。って見張りなんだ!
「そ・れ・よ・り!僕を守ろうとしてくれたみたいだけどあぶないからあんな変な連中相手したらダメだよー」
だってムカついたしキモかったからつい。
「危ない真似とはなんでしょうね」
おや、突然低気圧・・・。背後が急に寒くなってきたでござーる。
玄関ホールでうだうだやってたもんだからジュリアスさまたちが帰宅。
「さっき見かけたゴミに関することですか?」
おほー、サーキスさまが。
せっかく大人しくしてたのに。
大魔神が召喚されてしまった。
--------------
途中数回に落ちしてたので誤字の嵐でした。
修正しましたがまだあったらごめんなさい。
「ごめんねぇー」
どうやらアスレチックなアレコレをあちこちに作る手配を任されたようで慌ただしいらしい。
「そちらを優先で動いてくださっても大丈夫ですよ?」
いつまでにどれだけやるって決められたノルマもないから、私の方は手隙な時でも良いよねぇ。
「細かいところで動くのは部下たちの仕事だから良いんだよー」
ふーん。そういうモノなんだ。
「今は仕事ってより押しかけ令嬢たちが面倒なんだよー」
前に言ってた人かな。呼ばれてないのに来るって貴族的に無いよね。
「ディゴーで何か?」
「いやー、ほぼ確定してるっぽく兄さんと結婚するとか言って回ってる子がいるんだよ~」
ん?セリウスさまと?
クラウスさまが物凄い渋面になってる。
「そんな事実はないんだけど既成事実っていうの~?伯爵令嬢がなりふり構わないって泣けるよね~」
首を傾げたらクラウスさまが説明してくれる。
「伯爵の・・・」
婿入りならアリかな?
嫁入りだとセリウスさまは頭が切れるし、優しいしかっこいいし強いけど、本人の意向で爵位も領地も持ってないから、立場的に平民扱いだけど良いのかな。
あ、一応騎士爵は持ってるか。多分必要なら伯爵位は軽く貰えるし。
「レインとかアニエスとかみたいなアバズレじゃないみたいだけど金喰いなんだよねー」
以前ジュリアスさまに結婚を迫ったバツイチや火遊びの人か。強烈だったよね。
ってクラウスさまが毒舌~!!
「それでさー、さっきうちに父親同伴で来たらしいんだけどねー」
アレ!?サラッと言うけどヤバいんじゃ?
「玄関ホールでハロルドがお約束は~?とかのらりくらりしながら部屋にも入れずに、母上が『突然来られても困りますわ~』ってゆっくり出て行くつもりだったらしいんだけど今って裏庭から雄叫びが聞こえてるじゃない?」
ハロルド、一応貴族相手なのに応接に案内しなかったんだ。
「そしたら令嬢が『気持ち悪い!なぜ唸り声がずっと聞こえてくるんですの!?』って半泣きになって父親の方が『やはり野蛮な場所だ』とか言って帰ったって~」
あー、まぁあの力む声とかは知らないと怖いかな?
「あんなのでビビるならよく道中平気だったよね~?」
確かに。比較的安全なルートでも魔獣は出るし。
「母上がディゴーで騒いでる時点で伯爵の奥さんの方に苦情入れたみたいだからどっちにしてもそろそろ帰るしかないと思うんだけど、散々兄さんと結婚するって言って回ってたのにどうするんだろうね~」
セリウスさまに既成事実?を主張して強引に婿入りさせるとかはないのかしら。
グレーデンとの繋がりが欲しかったのか、セリウスさまに惚れたのかで同情度が変わるよ。
周りに付き合ってるって言いまくって結婚できるならすでに誰かにハメられて結婚しちゃってると思うのになぜ成功すると思ったし?
「ところでさ。マーベルハント領に行くのに兄さんが付いてくって。兄さんが行くなら僕は行けないからガッカリだよ」
突然ガラリと話が変わった。
「僕も行きたかったよー」
防衛の役目上、家族兄弟全員が離れることは出来ないんだよねぇ。
次世代の全員が亡くなるとかあったらいけないしね。
「カマラン行きに混ざっちゃったからですよー」
新婚旅行の行き先に「来ちゃった」って現れて海の魔獣狩りを存分に楽しんだから今回はセリウスさまが同行するあのは順番なんじゃないかな?
「ええ~、そうだけどさー」
「それに今回は狩りとか観光じゃないですよ~」
行程にどんな場所あるかわかんないけど。
「だってー、リーシャちゃんがいるなら絶対何か面白いこと起こりそうだしー」
なんで人をトラブルメイカーみたいに言うか。
海だってあんなすごいのがいるの知らなかったのに~!!
「ルルゥは付いてくって言ってたしー」
私が何か新しい食材見つけて試すのを見逃したくないらしいから仕方ないねぇ。
雇い主が彼(彼女)の自由を認めちゃってるからねぇ。
「はー、まぁ兄さんは父上の代理みたいなもんだから仕方ないんだけどさー」
ん?なんでだ?
「だって本来は葬送なら家族の長も出るでしょ、今回は棺の移動だから本葬ってほど重く扱わないから父上たちが参加すると恐縮されちゃうからねー。まぁ、どっちにしても父上と兄上が同時に領地を離れるのも滅多にないから~」
そう言うものなのかー。
お話しながらクラウスさまが持ってきた書簡に目を通す。
脳筋な人たちの集まりだから書類仕事が適当なんてことはなくかなり丁寧に書きこまてて見やすい。
「リーシャちゃんってチェック早いね~」
あれ適当に流し見てるとか思われた?
「目がすごい勢いで動いてたよー」
え?なんかホラーぽいからヤダ。
「それだけ早くチェックできたら楽で良いな~」
社畜OLだったモノで。
早くチェックしても仕事が増やされるだけだったから、気分的には楽では無いよね。
夕刻になったのでクラウスさまに運ばれて本邸に戻った。
ら、姦しい声が玄関から聞こえてきた。
「だから我々が無事に帰るために騎士団を出せと言っている!!」
!?
ハロルドが良い笑顔で聞き役に徹している。
騒いでる人が私たちがいるのに気がついてターゲットをこちらに絞った。
「あの執事はなんだ!!一体どんな教育をしておるんだ!?」
いやお前がな!
なぜ勝手なことを叫んで威張っているんだ?
「・・・どなたです?」
唾を飛ばしながら怒鳴ってくるちょっと腹の緩んだオジサン。
この世界で滅多にお目にかからない麗しくない貴族。
「貴様こそなんだ!!名乗らぬか!」
なぜ辺境に来てこんな威張り散らかせるんだ。
この人って多分朝来ていたとかいう伯爵でしょ?後ろにいるのが自称セリウスさまと結婚する人か。
辺境伯家は侯爵家扱いでしかもグレーデンには公爵でも無茶言えないはずなのに。
私が子供にしか見えなくて衣装も普段着だから軽く見たんだろうけどバカなの?
普段着でも実は高級品だぞ!
「ハロルド、この御仁は不法侵入ですね?追い出してください」
「な!なんだと!?」
礼を尽くさぬ相手にはそれなりの対応でいいのだ。
「かしこまりました」
「いや!!セリウスさま!!どうして迎えにきてくださらなかったの!?」
!!?!!?
ハロルドが処理しようと動きかけたところで父親の後ろにいた令嬢が出てきた。
「私、ディゴーでずっと待っておりましたのに手紙のお返事も頂けず、ひどいです」
何か一人舞台が開幕した。
ふわふわ茶色巻き毛のおっぱいぱいーんなお胸強調でちょっとくどいレースたっぷり甘いドレス。
これはダメな方のヒロイン!!?
いや、その前にさ。結婚相手の名前間違ってますよー!!
「えーと、よくわからないけど、うちのクラウスに何か妙な言いがかりをつけるのやめてもらえますか?」
「「「は!?」」」
「彼は、セリウスではないです」
「「ふへ!?」」
伯爵親子がポカーンとしているけど、そもそも下調べ無しに何企んでたんだ?
「変な言いがかりでディゴーでは著しい名誉毀損をなさっていると聞きました。陛下に報告致しますね?」
中途半端なとこに訴えると時間かかって面倒だからルルゥのクッキー添えてお手紙書いちゃえ。
「「ななな・・・」」
相手を間違えてるし、分が悪いのが理解できたんだろう。
「ききき、貴様がしゃしゃり出ることではないだろう!!」
あ、まだ足掻くんだ。
「申し遅れました。私、ジュリアス・グレーデン辺境伯の妻のリーシャ・グレーデンと申しますの。義理とはいえ弟二人に妙な言い掛かりは許せるモノではありません」
にっこり名乗ってあげたら一瞬で蔑みの顔が現れた。
「貴様のような子供が辺境伯夫人だと!?ふざけるな!!」
あれ?この人普段王都にでない人かな。王都にいれば辺境伯がちっこい嫁貰ったって話題のはずなのに。私も自惚れすぎてたかしら?
って言うかならなんでこの人辺境に目をつけてきたんだろ。
純粋に嫁希望なら名前間違えないだろうし。
「どう思われようとかまいませんが私、陛下から褒賞を頂ける程度には覚えがめでたいので今日のことはきっちり報告しておきます」
虎の威を借りちゃうけど、頭のおかしい人はまともに相手にしちゃダメ。
「セリウスさま・・・ではないのですか?」
「どこかであった?」
「夜会で・・・」
「じゃ周りが話してた内容からの推測かな?僕はセリウスじゃない」
「・・・一目惚れなんです!」
上目遣いで豊かな胸を腕で挟んで強調させて言い募る。
「悪いけど下調べもせず、街でありもしないことをばら撒いて、結婚に持って行こうとする女はもちろん、先触れもなくうちにやってきて、姉上に怒鳴り散らす父親がいる家と縁付くなんてお断りだ」
崩れ落ちる令嬢。名前名乗ってくんなかったな。
「辺境に嫁が少ないと聞いて温情をかけてやったと言うのに!」
まだ元気だ!!
「辺境で生きていける丈夫でおおらかな嫁なら欲しいけど、わがまま放題、そんな嫁はいらないかなぁ。僕けっこうロマンチストだわ~」
「な!せっかくここまで来てやったものに少しは思いやりを持てないのか!!」
これ以上話しててもむだっぽい。
門番や侍従がオジサンを羽交締めして出てくれた。
「うちの騎士を借りる気でいたのがおかしいよねー。連れてきた護衛はどうしたんだろ?」
ほんとだ。どこに行ったんだろ。
「まぁどうでも良いやー」
よくないと思うけどけどとりあえずひと段落か?
「あの人たちどうなるんですか?」
「んー?領外に連れてってポイだよ。」
おほー。
「騎士貸し出さなくて大丈夫なんです?」
護衛なしじゃ帰れないんじゃ。
「勝手にきたんだからねぇ、まぁ隣抜けるまで影から見張りつけるよ」
ふーん。親切。でもあの人たち文句言いいそうだな~。って見張りなんだ!
「そ・れ・よ・り!僕を守ろうとしてくれたみたいだけどあぶないからあんな変な連中相手したらダメだよー」
だってムカついたしキモかったからつい。
「危ない真似とはなんでしょうね」
おや、突然低気圧・・・。背後が急に寒くなってきたでござーる。
玄関ホールでうだうだやってたもんだからジュリアスさまたちが帰宅。
「さっき見かけたゴミに関することですか?」
おほー、サーキスさまが。
せっかく大人しくしてたのに。
大魔神が召喚されてしまった。
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途中数回に落ちしてたので誤字の嵐でした。
修正しましたがまだあったらごめんなさい。
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