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二章

131話

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 久しぶりにご令嬢なドレス、フルバージョン?
 パニエとかモリモリ。
 コルセットは免除されてるけど重いんだよねぇ。

「すでに厨房から漂う匂いが美味しそうだから父上達がルルゥから離れないんだ~」

 廊下でカチあったセリウスさまが笑って教えてくれたけど、セリウスさまもすでに味見しましたね?
 微かにイカ焼きに使ったタレの香りがしますよ。

 そりゃお義父さま達はルルゥのご飯に飢えちゃってるから仕方ないね。ニックス達のご飯も美味しいけど何故かちょっと違うんだな~。

 アズライトとポムとティムがすでに厨房でおねだり攻撃をして馬屋にある小屋にまとめて入れられたらしい。
 
 アズライトについてはまたポムみたいに拾って来たくらいに思われたんだけどトカゲに擬態した古代竜だと伝えたら、みんな一瞬固まったけど深く考えるのをやめたのか流された。


 食堂に入ればすでにクラウスさまとリックさまが食前のオヤツ?をつまみながら談笑してる。
 お義父さま達は席にいないので厨房なんだろう。

 ジュリアスさまがいつも通り私を抱っこしたまま着席したのを見てリックさまが若干驚いたみたい。

「思いの外大事にしてるようで何よりですね」

 リックさまは陛下から色々聞いて来てるだろうから、きっと私について報告もするんだろうな。

 少ししてお義父さま達が入って来て席に着いたのでお食事タイムの始まりです。

 まずはスープとサラダ類がデデーンと出された。

 コンソメにクランゴとイェンゲ、白身のお魚にお野菜で。
 魚骨や牛骨はまだ煮込めてないからコンソメ使ったんだろうな。
 ハーブも効いてて良い感じの海鮮スープ。

「このコリコリしたのがたまらんのぅ」

 どうやらイカの食感は受け入れられた。

「ぷりぷりしたのも美味しいわぁ♪」

 シャコもどきも大丈夫みたい。
 ジュリアスさまやサーキスさま、騎士さん達も気に入ってたから大丈夫だとは思っていてもやっぱ心配だもの。

 ハジャンクのカルパッチョもどきやたこわさも出て来て。

 白ワインに合うねってリックさまが言うもんだから少しシンッとしちゃった。

 みなさん私の前ではあまり飲まないようにしてくれてるからね☆

「ハロルド、リックさまにワインをお出しして」

 お義母さまがそう手配するとリックさまが首を傾げる。

「おほほ、最近食べるのに夢中でお酒は遠ざかっておりましたの、気が効かなくて申し訳けなかったですわ」

 あくまでも私のせいじゃないと言ってくれる優しさが痛いです~。
 
「いや、私だけというのも・・・」

 ハロルドが少し良さげなワインを持ってくると、ちょっと困り顔でリックさまが遠慮しようとするので、お義父さまが一杯お付き合いすることに。

「しばらく滞在されるのだから遠慮など要らぬぞ。ここ辺境で気を使っていたら食いはぐれてしまうぞ」

 あはは、お酒は食事の内ですかね?

 たこわさには日本酒がいいんだけど無いからね~。

 ワインを飲みながらハジャンク(タコ)のカルパッチョ、羨ましいなー。

「ああ、やはりワインに合います」

 お客様をおもてなしするのは当たり前なので良いけど、羨ましいなぁ。

 頭の上でジュリアスさまが苦笑した気配。私がお酒羨ましいと思ってるのバレちゃうよね。

 お魚の蒸し焼きとお肉のステーキも出て来て、私のお腹はもう限界。

 あとはジュリアスさまが食べてくれる。

 まだ魚介類のレシピは伝えきってないから、明日はパエリアとかお願いしよう。

 食後のデザートにお酒風味のチーズを使ったケーキが出て来た。
 ルルゥの思いやりが詰まってる。

 他にも色々買い込んできた果物を使ったタルトが出た。

 お義母さまがホールで7台くらい食べたんだけどどこに消えてるのってくらいお腹はほっそり。ヤバーい。

 バニラビーンズはまだ使われてないんだけどこれはやっぱり開いてはいけない扉が開いちゃうかも。

 ルルゥ不足が極まると食欲が促進されちゃうんだろか?

 クラウスさまが頬を引き攣らせてる。

 でもお義父さまは愛妻が嬉しそうで何よりって感じでニコニコ。

 ジュリアスさまとクラウスさまはスルー?気にしたらキリがないみたいな達観の域に入ってるよう。

 お客様であるリックさまはさすがに驚いたようだった。

「グレーデンの紅き薔薇が美食家とは聞き及んでおりましたが・・・」

 言葉が続かないみたい。

「はは、リーシャがいろんな料理を教えてくれたから食事が楽しくなったのだ」

 お義父さまがさりげなくフォロー?

「確かにこちらでいただく料理はどれも斬新で素晴らしいお味で私はここ数日で腹回りが気になりはじめましたよ」

 あら?グレーデンの人たちは太らないみたいだけど王都の人はやばいかしら?

「訓練に混ざればすぐ落ちますよ」

 セリウスさま、多分リックさまにグレーデンの騎士団の訓練させたら死んじゃうから。

「・・・いや私は文系なので・・・魔力を使えば消費できますし・・・」

 リックさまは運動系がお嫌いとみた。すぐさまお断りしてる。

「そうですか?では魔法騎士との対戦も良さそうですね」

 あくまでも訓練に引き入れたいみたい?

「セリウス、リックさまはリーシャの師としてお見えになったのだ。無理に誘うな」

 ジュリアスさまが嗜めるとセリウスさまが残念そうにひいた。

「ははは・・・リーシャさま、ルドガーさまに仕上がっている魔道具を見せていただきましたがなかなか面白い着眼点だと思いました。柔軟な発想が新しいものを生み出せるのでしょうね」

 地球にあってこちらにないから不便を感じたものとか、そういう方向で思いついたものだから別に新しくはないかな?
 褒めてもらうと申し訳ない気持ち。

「明日は身体をしっかり休めてもらって明後日からポーション作りの基礎をお教えしましょう」

 あ、1日お休みもらえた。
 良かった~。

「じゃ、明日はロジャーに健康診断してもらいましょうね~」

 おふ、空いた時間に予定を詰められるパターン!
 
「あら、じゃあレシピを教えてもらう時間も取れそうね~☆」

 調理がひと段落したルルゥが顔を出した。

 うん、いや、確かにいろいろ作って欲しいから良いんだけど。

 ちょっとまったりしたいなっていう雰囲気になれる時間が全くないぞ~。

 食事のあと、ジュリアスさまがセリウスさまと仕事のお話があるとの事で執務室に。
 
 私は寝る時間までお義母さまとソファにてずっと抱っこちゃんになった。

 お義父さまが変わって欲しそうにしてたけど絶対に離さないって感じで。

 ほんの二週間ばかり離れてただけだけどこんなに思ってもらえて幸せだなぁ。

 戻ってきたジュリアスさまが苦笑いで私を受け取って解散。

 相変わらず私は自力で歩くことがないのでした。









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