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剣よ花よ おわり
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「レオナルドー、ごはんですわよー♪」
『くぷ、くぷ!』
わたくしの一日は、愛するレオナルドのごはんから始まりますわ。ガラスの水槽に手を伸ばすと、嬉しそうにすり寄ってくるのがまたかわいい。
「さ、たくさんお食べ!」
『くぷ!』
レオナルドは野菜が好物。毎日キャニッシュの農家さんから仕入れた新鮮なキャベツを与えていますわ。それにしても、手のひらよりも小さな体に、丸まる一個のキャベツがどうやって入っているのかしら?
「さ、今日も授業ですわ!張り切って行きますわよ!」
『くぷくぷ!』
「おはよー、シャロン。」
「おはようございますわ!」
朝食が終われば、教室へ。もちろん携帯用の水槽にレオナルドを移して、いつも一緒ですわ。
「レオナルドもおはよ。」
「ガイさんは、今日も眠そうですわね。」
「ああ、おはよシャロン。最近ずっと頭を回しっぱなしだからな。」
「力を振るわれるよりも、ずっといい。」
「あっ、ケイさん!」
「おっす、ひさしぶり。レオナルドくんも。」
『くぷぷ!』
気が付くと、窓にローブの青年、ケイさんがやってきていました。学園に帰ってきてからも、レオナルドの様子を見にたまに来てくださるんですの。
「なんかあったか?」
「東の方で、巨大機動兵器の残骸が見つかったらしい。もうすでにヴィクトールの連中が押さえにかかっている。」
「あまりいい知らせじゃないな。」
はぁ、とガイさんは一層頭を抱えましたわ。
「よし、じゃあ俺も見に行くか。」
「そのために呼びに来たんだ。」
「そうだったか。」
まるで今日のお昼のメニューを決めるかのように、あっという間に決断をすますと、ガイさんは出て行ってしまいました。
「うぉおおおおおお!!セーフッ!」
「アウトだバカモン。」
「くっそー!今日こそは遅刻しないって決めていたのに!」
「なんで寮からここまでの距離で遅刻できるんだお前は。」
そんなこととは露知らずに、ドロシーが入れ替わりに入ってきました。今日で15日連続遅刻ですわ。
「訓練に精を出してくれるのはいいが、もっと学業の方にも・・・まあいい。出席とるぞ。」
「ガイが出てったんはスルー?」
「あいつはまあ・・・ちょっと特殊だしな。」
デュラン先生の心労も溜まる一方。事情を知らないドロシーだけはキョロキョロと教室を見回す。
「なんだよ、みんなガイのこと心配じゃないのかよ?」
「お前が一番よく知ってるだろドロシー、あいつは特別なんだって。」
「だからって、1人にさせる道理もないだろ!」
「だから?」
「オレもついていく!」
「授業するぞ!!」
飛び出そうとするドロシーの首を、まるでネコのように掴んで先生は止める。
そんな風景が、私たちと、ちょっと特別なガイさんのいる日常だった。
『くぷ、くぷ!』
わたくしの一日は、愛するレオナルドのごはんから始まりますわ。ガラスの水槽に手を伸ばすと、嬉しそうにすり寄ってくるのがまたかわいい。
「さ、たくさんお食べ!」
『くぷ!』
レオナルドは野菜が好物。毎日キャニッシュの農家さんから仕入れた新鮮なキャベツを与えていますわ。それにしても、手のひらよりも小さな体に、丸まる一個のキャベツがどうやって入っているのかしら?
「さ、今日も授業ですわ!張り切って行きますわよ!」
『くぷくぷ!』
「おはよー、シャロン。」
「おはようございますわ!」
朝食が終われば、教室へ。もちろん携帯用の水槽にレオナルドを移して、いつも一緒ですわ。
「レオナルドもおはよ。」
「ガイさんは、今日も眠そうですわね。」
「ああ、おはよシャロン。最近ずっと頭を回しっぱなしだからな。」
「力を振るわれるよりも、ずっといい。」
「あっ、ケイさん!」
「おっす、ひさしぶり。レオナルドくんも。」
『くぷぷ!』
気が付くと、窓にローブの青年、ケイさんがやってきていました。学園に帰ってきてからも、レオナルドの様子を見にたまに来てくださるんですの。
「なんかあったか?」
「東の方で、巨大機動兵器の残骸が見つかったらしい。もうすでにヴィクトールの連中が押さえにかかっている。」
「あまりいい知らせじゃないな。」
はぁ、とガイさんは一層頭を抱えましたわ。
「よし、じゃあ俺も見に行くか。」
「そのために呼びに来たんだ。」
「そうだったか。」
まるで今日のお昼のメニューを決めるかのように、あっという間に決断をすますと、ガイさんは出て行ってしまいました。
「うぉおおおおおお!!セーフッ!」
「アウトだバカモン。」
「くっそー!今日こそは遅刻しないって決めていたのに!」
「なんで寮からここまでの距離で遅刻できるんだお前は。」
そんなこととは露知らずに、ドロシーが入れ替わりに入ってきました。今日で15日連続遅刻ですわ。
「訓練に精を出してくれるのはいいが、もっと学業の方にも・・・まあいい。出席とるぞ。」
「ガイが出てったんはスルー?」
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「なんだよ、みんなガイのこと心配じゃないのかよ?」
「お前が一番よく知ってるだろドロシー、あいつは特別なんだって。」
「だからって、1人にさせる道理もないだろ!」
「だから?」
「オレもついていく!」
「授業するぞ!!」
飛び出そうとするドロシーの首を、まるでネコのように掴んで先生は止める。
そんな風景が、私たちと、ちょっと特別なガイさんのいる日常だった。
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