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「貴女は、人としての生を終えて輪廻の輪で暫しの眠りに付くはずだったの。でも、貴女は幼い時にここに居る龍青と縁を結んだ。本来なら、死んだ時に切れるはずだった縁が切れずに貴女はここにきた。」
よくわからない。縁?そもそもここはどこなのだろうか?
考えていると、虎白が口を開く。
「ここは神界だ。そして、俺たちは神子…創造神の子供だ。……そうだな、お前たちの世界で言うカミサマってやつだ。」
ますますわからない。というか、僕はさっきから神様を呼び捨てで呼んでたけど、結構無礼なことをしているような……。
「大丈夫だよ、わたし達のことを人間がカミサマと呼んでいるだけで、わたし達はただ世界を見守るだけの存在だから。」
あまりの衝撃に目眩をおこしていると龍青が安心させるように笑う。
「そして、ここからは驚かないで聞いて欲しいの。」
黄麟の言葉に躊躇いつつ頷く。
「私達神子は元々5人いたの。そのうちひとりが今居るこの部屋の主。そして、貴女の魂がこの部屋の主の神力と混ざりあって安定した。つまり、これからは貴女がこの部屋の主、神子になったの。」
状況が上手く飲み込めない。神子、創造神の子供?僕が?
「えっと、つまり?どういうことですか?」
頭の中では整理出来なかったので聞くことにした。
「お前の不安定だった魂がこの部屋の元の主の神力ととても相性が良かったんだ。だから混じった。」
「あの、この部屋の元の主さんは一体……?」
何処にいるんですか?
問いかける自分の声が震えている。
重い空気が漂って、何となく察した。
きっとこの部屋の主は……。
パチン
不意に黄麟が手を叩く。
「それは、今はまだ教えることができないの。」
本当にごめんなさい。
黄麟が頭を下げる。
「黄麟姉さんが頭を下げる必要は…ない、と思います。」
「……違うの。私達は貴女に、とても辛いことを強いなければならないの。」
もう貴女は人間の生には戻れない。
輪廻の輪に還ることが、できないの。
黄麟の硬い声が語ったことに、何を言っていいのかわからなくなった。
「もう貴女の魂の記憶を消すことができない……。つまり、貴女はもう生まれ変わることができないの。……もし、無理にでも魂の記憶を消せば、貴女の魂が壊れて永遠の闇の中を彷徨うことになってしまう…。」
ごめんなさい。泣きそうな声で黄麟は何度も頭を下げた。
……今日はなんだか謝られてばかりだな。なんて、呑気なことを考えるくらいには落ち着いていた。本当に自分でも不思議なくらいだ。
「黄麟姉さん、もう謝らないでください。僕がその神子?になったのはわかりました。僕になにか出来ることはありますか?僕が何かの役に立てるなら、どんな存在かなんて正直、どうでもいいんです。」
紛れもない本心。
口にした瞬間に、ストンと心に落ちてきた言葉。なんだかすっきりした気分になって、僕は心の底から笑った。
でも、それを聞いた3人の神子達は苦しそうな、何かを堪えるような、そんな苦しそうな顔をした。
「「「……○☆□。」」」
3人が一斉に何かを呟く。
しかし、僕には3人が何を言ったのか聞き取れなかった。
思わず首を傾げる。
「○☆□。これは貴女の神名、神子としての名前。」
黄麟が言い聞かせるように僕に言った。
でもやっぱり最初の部分が聞き取れない。
『神名』という言葉から、どうやら名前らしいということはわかるけど、上手く聞こえない。
その部分だけ、壊れたラジオみたいにノイズが入って分からない。
「……?朱音、もしかして聞き取れないのか?」
龍青が信じられないものを見るように問いかけてくる。
よくわからない。縁?そもそもここはどこなのだろうか?
考えていると、虎白が口を開く。
「ここは神界だ。そして、俺たちは神子…創造神の子供だ。……そうだな、お前たちの世界で言うカミサマってやつだ。」
ますますわからない。というか、僕はさっきから神様を呼び捨てで呼んでたけど、結構無礼なことをしているような……。
「大丈夫だよ、わたし達のことを人間がカミサマと呼んでいるだけで、わたし達はただ世界を見守るだけの存在だから。」
あまりの衝撃に目眩をおこしていると龍青が安心させるように笑う。
「そして、ここからは驚かないで聞いて欲しいの。」
黄麟の言葉に躊躇いつつ頷く。
「私達神子は元々5人いたの。そのうちひとりが今居るこの部屋の主。そして、貴女の魂がこの部屋の主の神力と混ざりあって安定した。つまり、これからは貴女がこの部屋の主、神子になったの。」
状況が上手く飲み込めない。神子、創造神の子供?僕が?
「えっと、つまり?どういうことですか?」
頭の中では整理出来なかったので聞くことにした。
「お前の不安定だった魂がこの部屋の元の主の神力ととても相性が良かったんだ。だから混じった。」
「あの、この部屋の元の主さんは一体……?」
何処にいるんですか?
問いかける自分の声が震えている。
重い空気が漂って、何となく察した。
きっとこの部屋の主は……。
パチン
不意に黄麟が手を叩く。
「それは、今はまだ教えることができないの。」
本当にごめんなさい。
黄麟が頭を下げる。
「黄麟姉さんが頭を下げる必要は…ない、と思います。」
「……違うの。私達は貴女に、とても辛いことを強いなければならないの。」
もう貴女は人間の生には戻れない。
輪廻の輪に還ることが、できないの。
黄麟の硬い声が語ったことに、何を言っていいのかわからなくなった。
「もう貴女の魂の記憶を消すことができない……。つまり、貴女はもう生まれ変わることができないの。……もし、無理にでも魂の記憶を消せば、貴女の魂が壊れて永遠の闇の中を彷徨うことになってしまう…。」
ごめんなさい。泣きそうな声で黄麟は何度も頭を下げた。
……今日はなんだか謝られてばかりだな。なんて、呑気なことを考えるくらいには落ち着いていた。本当に自分でも不思議なくらいだ。
「黄麟姉さん、もう謝らないでください。僕がその神子?になったのはわかりました。僕になにか出来ることはありますか?僕が何かの役に立てるなら、どんな存在かなんて正直、どうでもいいんです。」
紛れもない本心。
口にした瞬間に、ストンと心に落ちてきた言葉。なんだかすっきりした気分になって、僕は心の底から笑った。
でも、それを聞いた3人の神子達は苦しそうな、何かを堪えるような、そんな苦しそうな顔をした。
「「「……○☆□。」」」
3人が一斉に何かを呟く。
しかし、僕には3人が何を言ったのか聞き取れなかった。
思わず首を傾げる。
「○☆□。これは貴女の神名、神子としての名前。」
黄麟が言い聞かせるように僕に言った。
でもやっぱり最初の部分が聞き取れない。
『神名』という言葉から、どうやら名前らしいということはわかるけど、上手く聞こえない。
その部分だけ、壊れたラジオみたいにノイズが入って分からない。
「……?朱音、もしかして聞き取れないのか?」
龍青が信じられないものを見るように問いかけてくる。
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