アネモネを君に

野部 悠愛

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気が付きたくなかった

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離さなきゃいけないかなって思ったけど、彼が離さないでいたからそのままにした。

でも、そのうち彼が屋台で唐揚げを買おうとしたので自然と手は離れた。

私は彼が好きだ。
でも、手を繋いでもときめきのようなものは感じなかった。
こんなもんなんだなって思っただけだ。

そうして、戻ってきた彼と唐揚げを食べながら歩いていく。
ちなみに、私はたこ焼きを持っていて、彼と半分ずつ交換しながら食べている。

少し開けた場所に出た時、大きな音をたてて空に大輪の花が咲いた。
隣に立つ彼と顔を見合わせて、綺麗だねって笑い合う。

友達とその彼氏は、気を使ってくれたのか一定の距離を開けて着いてきてくれている。

……

楽しい時間っていうのはあっさり過ぎ去ってしまうものだ。

家に着いて、一番に友達に今日のお礼の連絡をいれる。
『今日はありがとう!おかげで手ぇ繋げたよ!』
チャットアプリでそう送って、しばらくスマホゲームに興じていると
『脈アリだよ!!!絶対いけるやん!』
と返ってきた。

それに無感動にスタンプを送り返す自分に驚いた。
嬉しいはずなのに、照れてるのかな?って自己完結させた。

……

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