4 / 5
碧の空4
しおりを挟む
誰か知り合いでもいたのかと思って、ただぼんやりとそちらを見つめた。
集団は近付いてきて僕らの前に立ち止まった。
「なんだよ城川~。クラス会は参加しないで彼女とデートかよ。」
男子が声をかけてきて、初めて僕はそれがクラスメイトだとわかった。
そんな男子の後ろでは、泣きそうな顔をしている女子が数人いた。
絶叫マシーンにでも乗ってきたのだろうか?
しかし、今突っ込むべきなのはそこでは無い。
「違うよ、デートじゃない。彼女でもないから。」
そう、おそらくダッ○ィーとシェ○ーメイというペアのキャラクターのグッズを身につけていたからだろう。
しかも、母さんは僕と同年代と言っても誰も疑わないくらいに若々しい。
でも、母さんは母さんであって彼女では無い。
「え?うーん……じゃあお姉さん?普通に顔似てるし…瓜二つだ……。」
「違うよ。」
「あっ!わかった!妹だな!めっちゃ大人っぽいね。」
「違う。」
みんな母親という選択肢は浮かびもしないのか、いとこだとかはとこだとか答えを言うまもなくひっきりなしに間違った回答が飛んでくる。
そんなやり取りがしばらく続いて、もうどうして良いかわからなくなった頃母さんがくすくすと笑いながら口を開いた。
「残念、全部ハズレよ。」
ふふふ、と笑いながら母さんはネタばらしをしていく。
「息子がお世話になってます。城川碧の母親です。お姉さんや妹だなんて、ゴマをすっても何も出ないわよ?」
そして、どうやら母さんは姉や妹と言われたことを冗談やゴマすりだと思ったようで、笑いが止まらないみたいだった。
そんな母さんを見て、クラスメイト達は目が飛び出しそうなほど驚いていた。
一頻り笑うと、母さんは不思議そうに小首を傾げた。
「ところで、クラス会って言っていたけれど、クラス会でネズミの国だなんて、最近の中学生はすごいのねぇ?」
それは、僕も気になっていたことだった。
面倒で参加を断ったけれど、もし、気まぐれにでも「良いよ。」と言ってしまっていたら大変なことになっていただろう。主に僕の財布が。
「あ、違うんですよ。この間、田中くんがネットの懸賞でネズミの国団体チケットを当てたので、今日は皆でそれを使って来たんです。……城川君も誘ったんですけど……。」
「あらあら、ごめんなさいねぇ~。今日は、どうしても私が碧と一緒に来たかったものだから、予定は入れないでってお願いしていたの。」
そうなんですね。なんてクラスメイト達は納得しているけれど、真っ赤な嘘だ。
クラスメイトのことを何となく苦手なのを母さんは知っているから気を使ってくれたのだろう。
それにしても、懸賞であてるなんてすごいのねぇ。と母さんはのほほんと笑った。
そんな母さんを見て男子たちは頬を染めている。
もちろん、天然である母さんはそんなことには気付いていないが。
やれやれ、と思っていると、さっきまで泣きそうな顔で黙っていた女子が口を開いた。
「そうだ!良かったら城川君も一緒に回らない?」
……善意で誘ってくれているのはわかっているけれど、僕は正直クラスメイトのことが好きではない。
だからといってクラスメイトのことが嫌いかと言われればそれは違う。
ただ、何となく遠巻きに見られている感じがして、まるで僕のことを観察しているようで苦手だ。
「誘ってくれるのはありがたいけど、いきなり混ざったら迷惑だろうし、今日は母さんと来てるから。また機会があったらにするよ。」
流石に、「皆のこと苦手だから、一緒に行動したくない。」とは言えないので遠回しに断った。
それなのに、クラスメイトは引き下がってはくれなかった。
集団は近付いてきて僕らの前に立ち止まった。
「なんだよ城川~。クラス会は参加しないで彼女とデートかよ。」
男子が声をかけてきて、初めて僕はそれがクラスメイトだとわかった。
そんな男子の後ろでは、泣きそうな顔をしている女子が数人いた。
絶叫マシーンにでも乗ってきたのだろうか?
しかし、今突っ込むべきなのはそこでは無い。
「違うよ、デートじゃない。彼女でもないから。」
そう、おそらくダッ○ィーとシェ○ーメイというペアのキャラクターのグッズを身につけていたからだろう。
しかも、母さんは僕と同年代と言っても誰も疑わないくらいに若々しい。
でも、母さんは母さんであって彼女では無い。
「え?うーん……じゃあお姉さん?普通に顔似てるし…瓜二つだ……。」
「違うよ。」
「あっ!わかった!妹だな!めっちゃ大人っぽいね。」
「違う。」
みんな母親という選択肢は浮かびもしないのか、いとこだとかはとこだとか答えを言うまもなくひっきりなしに間違った回答が飛んでくる。
そんなやり取りがしばらく続いて、もうどうして良いかわからなくなった頃母さんがくすくすと笑いながら口を開いた。
「残念、全部ハズレよ。」
ふふふ、と笑いながら母さんはネタばらしをしていく。
「息子がお世話になってます。城川碧の母親です。お姉さんや妹だなんて、ゴマをすっても何も出ないわよ?」
そして、どうやら母さんは姉や妹と言われたことを冗談やゴマすりだと思ったようで、笑いが止まらないみたいだった。
そんな母さんを見て、クラスメイト達は目が飛び出しそうなほど驚いていた。
一頻り笑うと、母さんは不思議そうに小首を傾げた。
「ところで、クラス会って言っていたけれど、クラス会でネズミの国だなんて、最近の中学生はすごいのねぇ?」
それは、僕も気になっていたことだった。
面倒で参加を断ったけれど、もし、気まぐれにでも「良いよ。」と言ってしまっていたら大変なことになっていただろう。主に僕の財布が。
「あ、違うんですよ。この間、田中くんがネットの懸賞でネズミの国団体チケットを当てたので、今日は皆でそれを使って来たんです。……城川君も誘ったんですけど……。」
「あらあら、ごめんなさいねぇ~。今日は、どうしても私が碧と一緒に来たかったものだから、予定は入れないでってお願いしていたの。」
そうなんですね。なんてクラスメイト達は納得しているけれど、真っ赤な嘘だ。
クラスメイトのことを何となく苦手なのを母さんは知っているから気を使ってくれたのだろう。
それにしても、懸賞であてるなんてすごいのねぇ。と母さんはのほほんと笑った。
そんな母さんを見て男子たちは頬を染めている。
もちろん、天然である母さんはそんなことには気付いていないが。
やれやれ、と思っていると、さっきまで泣きそうな顔で黙っていた女子が口を開いた。
「そうだ!良かったら城川君も一緒に回らない?」
……善意で誘ってくれているのはわかっているけれど、僕は正直クラスメイトのことが好きではない。
だからといってクラスメイトのことが嫌いかと言われればそれは違う。
ただ、何となく遠巻きに見られている感じがして、まるで僕のことを観察しているようで苦手だ。
「誘ってくれるのはありがたいけど、いきなり混ざったら迷惑だろうし、今日は母さんと来てるから。また機会があったらにするよ。」
流石に、「皆のこと苦手だから、一緒に行動したくない。」とは言えないので遠回しに断った。
それなのに、クラスメイトは引き下がってはくれなかった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
夫の幼馴染が毎晩のように遊びにくる
ヘロディア
恋愛
数年前、主人公は結婚した。夫とは大学時代から知り合いで、五年ほど付き合った後に結婚を決めた。
正直結構ラブラブな方だと思っている。喧嘩の一つや二つはあるけれど、仲直りも早いし、お互いの嫌なところも受け入れられるくらいには愛しているつもりだ。
そう、あの女が私の前に立ちはだかるまでは…
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※完結済み、手直ししながら随時upしていきます
※サムネにAI生成画像を使用しています
婚約者に浮気されていたので彼の前から姿を消してみました。
ほったげな
恋愛
エイミは大学の時に伯爵令息のハルヒトと出会って、惹かれるようになる。ハルヒトに告白されて付き合うようになった。そして、働き始めてハルヒトにプロポーズされて婚約した。だが、ハルヒトはミハナという女性と浮気していた。それを知ったミハナはハルヒトの前から姿を消し、遠い土地で生活を始めた。その土地でコウと出会い・・・?!
愛する彼には美しい愛人が居た…私と我が家を侮辱したからには、無事では済みませんよ?
coco
恋愛
私たちは仲の良い恋人同士。
そう思っていたのに、愛する彼には美しい愛人が…。
私と我が家を侮辱したからには、あなたは無事では済みませんよ─?
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる