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メーシャ印のカリふわタコ焼き
49話 『タコ問題とあーし』
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「勇者メーシャちゃんなのだ!!」
メーシャはビシっとポーズを決めて名乗る。
「「「勇者様!?」」」
店員さんたちは予想外の相手だと知って驚いた。
「そう! あーし勇者なの。驚いたっしょ。へへ~ん」
メーシャは皆を驚かせることができて満足したようだ。
「まさか、最近あのキマイラを倒したって言う本物って、おじょ……。貴女だったんですか」
店長さんは、メーシャが勇者だと知ると態度を改め、頭を下げて敬語で話し始めた。
それに追随して他の店員さんたちも頭を下げる。
「あ、わかった。苦しゅうない、おもてをあげよ! ……これで合ってたっけ?」
「はい、お嬢様。合ってますよ」
ヒデヨシはメーシャに応えた。
「あ、ありがとうございます……」
店長さんは礼を言って恐る恐る顔を上げる。
「みんなも別に頭上げっぱでいいよ。敬語とかも無くていいしさ。つか、みんな固っくるしいのイヤでしょ?」
メーシャは軽い感じでみんなに言った。
「で、でも、わたしたちと勇者さまでは立場が違いますし……」
しかし、店長さんは迷う。
『もし“国公認の勇者様”に失礼なことがあれば、お店どころの話じゃなくなる。つまり、自分も、悪ければ店員たちや家族も国家反逆者として、想像もできない罰が下されるかもしれない』
と、思ったからだ。
「そういうパターンかぁ、う~ん……。あんま身分とか気にされると、今後このお店で買い物しにくくなるんだけどな……」
メーシャは困った顔で呟く。
身分や立場が違うと思われれば、このお店で商品を買う時に“不必要な赤字覚悟の値引き”“多すぎるおまけ”、それと『ご贔屓にしてもらっているおかげでお店がやっていけている』という体の“みつぎもの”という過剰なサービスが発生するかもしれない。
『メーシャ、どうすんだ? 立場が違うってんなら、決め事を作って負担がかからないようにするのもありだぜ?』
デウスが迷っているメーシャにアドバイスをした。
「決め事、か……」
元の世界にいる時に番長をしていたが、友達になれたと思った相手が、メーシャのことを番長と知るや否や『立場が違う』と壁を作って、似たような展開になったことがあるのだ。
「勇者様……?」
店長さんがメーシャに気を使う。
「っし、決めた! 勇者メーシャちゃん命令発動!」
メーシャは再度“許可証”を取り出して宣言する。
「「「は、はい!!」」」
店員さんたちは一斉に姿勢を正した。こうなったら、なんでも命令をきくだろう。そして、その命令は……。
「あーしに対する態度を、勇者って知る前に戻すこと! ここのタコをぜんぶ適正価格であーしに売ること!」
「は、はい……?」
店長さんはひとつ目もそうだが、ふたつ目の命令に耳を疑った。理由は簡単。そもそもメーシャ自身が買うと思っていなかったし、買うにしても安い値段での取引か、タダで持っていかれると思ったからだ。
「“はい”じゃないでしょ。“うん”とか“わかった”とか、そんなカンジじゃないと」
「はい。あ……わ、わかった」
しどろもどろになりながら店長さんは返事をした。
「まいどあり~っ!」
機嫌が良くなったメーシャは、にっこり笑顔でジャンプした。
「お嬢様、それはお店の人が言うセリフじゃないですか?」
「そうだった。あはっ」
「それで、俺たちはどうしたら……?」
店長さんがメーシャに尋ねた。
「ん? ああ、タコ問題のことね! とりま、あーしがここのタコさんはぜんぶ買っちゃうとして、他のタコさんはまだ考え中だから待ってて。なにかあったら連絡するし、逆に何かあったらこの番号に連絡して」
メーシャは電話番号を紙に書いて、店長さんに手渡した。
「ありがとうござっ……。ありがとう」
『……え? つかそれ、メーシャの世界の電話番号だろ。使えんのか?』
まさかの行動にデウスが戸惑う。
「ああ、そっか。でもどうだろ? 店長さん、掛かるかどうか確かめたいから、一応この番号にかけてみて」
「わかった……」
店長さんがスマホっぽい機械を取り出して、紙に書かれたとおりの番号を入力していく。
『よく見たら、ちゃんとこの世界の文字で書いてんだな。番号。やるな、メーシャ』
デウスがメーシャに感心する。
『もちろん! あーし、これでもそこそこお勉強できるかんね!』
この日の為に、いや、この日の為にではないが、メーシャは毎日この世界の言葉を勉強しているので、数字くらいはもうお手本無しでも書けるようになっているのだ。
「よし、鳴らすぞ?」
「りょ!」
メーシャは自分のスマホを取り出して両手に持った。
────♪~♪
「おお! 鳴りましたね!」
ヒデヨシが嬉しそうに言った。
「ね! つか、あーしのスマホ勝手にアップグレードされてんだけど、なんでだ? あーしが毎日やってんのって『つながれ~』とか『異世界でも使えるようになれ~』って念じてるだけなんだけどさ、これも『勇者の力』ってやつ?」
『俺様も知らねえよ!』
デウスは思わずツッコミを入れてしまった。
「まあ、いっか! 便利なのに越したことはないしさ」
『いいのかよ!』
「いいのいいの!」
「……お嬢様、デウスさんと普通に話してますけどいいんですか?」
ヒデヨシが小声でメーシャに指摘する。
「あ、やば! あんがとヒデヨシ。そだね、忘れてたわ」
「何の話だ?」
店長さんが首を傾げる。
「ああ、何でもない何でもない。じゃ、これからもよろしくね店長さん!」
「あ、ああ。何でもないならいいけど……」
店長さんは渋々納得してくれた。
「それにしても、さっきから灼熱さん静かだけどなにしてんの?」
やっと灼熱さんのことを思い出したメーシャが、その姿を探すために店内を見回した。すると────
「っぷへ! お、お嬢、やっと気付いて、あばばばば……」
灼熱さんは大量のタコに捕まって、ヌメヌメに溺れていた。
「しゃ、灼熱さん!? すぐ助けるかんね!!」
メーシャは慌てて灼熱さんの救出に向かったのだった。
メーシャはビシっとポーズを決めて名乗る。
「「「勇者様!?」」」
店員さんたちは予想外の相手だと知って驚いた。
「そう! あーし勇者なの。驚いたっしょ。へへ~ん」
メーシャは皆を驚かせることができて満足したようだ。
「まさか、最近あのキマイラを倒したって言う本物って、おじょ……。貴女だったんですか」
店長さんは、メーシャが勇者だと知ると態度を改め、頭を下げて敬語で話し始めた。
それに追随して他の店員さんたちも頭を下げる。
「あ、わかった。苦しゅうない、おもてをあげよ! ……これで合ってたっけ?」
「はい、お嬢様。合ってますよ」
ヒデヨシはメーシャに応えた。
「あ、ありがとうございます……」
店長さんは礼を言って恐る恐る顔を上げる。
「みんなも別に頭上げっぱでいいよ。敬語とかも無くていいしさ。つか、みんな固っくるしいのイヤでしょ?」
メーシャは軽い感じでみんなに言った。
「で、でも、わたしたちと勇者さまでは立場が違いますし……」
しかし、店長さんは迷う。
『もし“国公認の勇者様”に失礼なことがあれば、お店どころの話じゃなくなる。つまり、自分も、悪ければ店員たちや家族も国家反逆者として、想像もできない罰が下されるかもしれない』
と、思ったからだ。
「そういうパターンかぁ、う~ん……。あんま身分とか気にされると、今後このお店で買い物しにくくなるんだけどな……」
メーシャは困った顔で呟く。
身分や立場が違うと思われれば、このお店で商品を買う時に“不必要な赤字覚悟の値引き”“多すぎるおまけ”、それと『ご贔屓にしてもらっているおかげでお店がやっていけている』という体の“みつぎもの”という過剰なサービスが発生するかもしれない。
『メーシャ、どうすんだ? 立場が違うってんなら、決め事を作って負担がかからないようにするのもありだぜ?』
デウスが迷っているメーシャにアドバイスをした。
「決め事、か……」
元の世界にいる時に番長をしていたが、友達になれたと思った相手が、メーシャのことを番長と知るや否や『立場が違う』と壁を作って、似たような展開になったことがあるのだ。
「勇者様……?」
店長さんがメーシャに気を使う。
「っし、決めた! 勇者メーシャちゃん命令発動!」
メーシャは再度“許可証”を取り出して宣言する。
「「「は、はい!!」」」
店員さんたちは一斉に姿勢を正した。こうなったら、なんでも命令をきくだろう。そして、その命令は……。
「あーしに対する態度を、勇者って知る前に戻すこと! ここのタコをぜんぶ適正価格であーしに売ること!」
「は、はい……?」
店長さんはひとつ目もそうだが、ふたつ目の命令に耳を疑った。理由は簡単。そもそもメーシャ自身が買うと思っていなかったし、買うにしても安い値段での取引か、タダで持っていかれると思ったからだ。
「“はい”じゃないでしょ。“うん”とか“わかった”とか、そんなカンジじゃないと」
「はい。あ……わ、わかった」
しどろもどろになりながら店長さんは返事をした。
「まいどあり~っ!」
機嫌が良くなったメーシャは、にっこり笑顔でジャンプした。
「お嬢様、それはお店の人が言うセリフじゃないですか?」
「そうだった。あはっ」
「それで、俺たちはどうしたら……?」
店長さんがメーシャに尋ねた。
「ん? ああ、タコ問題のことね! とりま、あーしがここのタコさんはぜんぶ買っちゃうとして、他のタコさんはまだ考え中だから待ってて。なにかあったら連絡するし、逆に何かあったらこの番号に連絡して」
メーシャは電話番号を紙に書いて、店長さんに手渡した。
「ありがとうござっ……。ありがとう」
『……え? つかそれ、メーシャの世界の電話番号だろ。使えんのか?』
まさかの行動にデウスが戸惑う。
「ああ、そっか。でもどうだろ? 店長さん、掛かるかどうか確かめたいから、一応この番号にかけてみて」
「わかった……」
店長さんがスマホっぽい機械を取り出して、紙に書かれたとおりの番号を入力していく。
『よく見たら、ちゃんとこの世界の文字で書いてんだな。番号。やるな、メーシャ』
デウスがメーシャに感心する。
『もちろん! あーし、これでもそこそこお勉強できるかんね!』
この日の為に、いや、この日の為にではないが、メーシャは毎日この世界の言葉を勉強しているので、数字くらいはもうお手本無しでも書けるようになっているのだ。
「よし、鳴らすぞ?」
「りょ!」
メーシャは自分のスマホを取り出して両手に持った。
────♪~♪
「おお! 鳴りましたね!」
ヒデヨシが嬉しそうに言った。
「ね! つか、あーしのスマホ勝手にアップグレードされてんだけど、なんでだ? あーしが毎日やってんのって『つながれ~』とか『異世界でも使えるようになれ~』って念じてるだけなんだけどさ、これも『勇者の力』ってやつ?」
『俺様も知らねえよ!』
デウスは思わずツッコミを入れてしまった。
「まあ、いっか! 便利なのに越したことはないしさ」
『いいのかよ!』
「いいのいいの!」
「……お嬢様、デウスさんと普通に話してますけどいいんですか?」
ヒデヨシが小声でメーシャに指摘する。
「あ、やば! あんがとヒデヨシ。そだね、忘れてたわ」
「何の話だ?」
店長さんが首を傾げる。
「ああ、何でもない何でもない。じゃ、これからもよろしくね店長さん!」
「あ、ああ。何でもないならいいけど……」
店長さんは渋々納得してくれた。
「それにしても、さっきから灼熱さん静かだけどなにしてんの?」
やっと灼熱さんのことを思い出したメーシャが、その姿を探すために店内を見回した。すると────
「っぷへ! お、お嬢、やっと気付いて、あばばばば……」
灼熱さんは大量のタコに捕まって、ヌメヌメに溺れていた。
「しゃ、灼熱さん!? すぐ助けるかんね!!」
メーシャは慌てて灼熱さんの救出に向かったのだった。
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