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ep1:3年後の君へ

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「そんな訳ないだろっっ?!」

 友人の拓海たくみは、強く否定した。姉が居て羨ましいと友人に言われたのだ。

「あのなぁ、実の姉なんて、外では女らしく振舞っているかもしれないけど、家の中じゃあ、全然女らしくないし、俺も姉貴の事を女として見ていない。そもそも血の繋がった家族だから・・・」
「へ~、そんなもんか・・・・・・。優斗は?お前にもお姉さんいたよな?やっぱり、そんな感じか?」
「あ、ああ。俺も、姉貴は女としては、・・・見てないなぁ・・・」

 僕、本橋元優斗もとはしもとゆうと、17歳高校2年生は、嘘を付いた。僕は姉の事をとして見ている。いや、ここ数年で急に変わったというべきか。
 僕には5歳年上の姉、紗耶香さやかが居る。中学生の頃までは、姉の事を特別意識することは無く、ただの仲の良い姉弟として接していた。      
 僕が、高校に入学した頃からだろうか、姉を女性として、突然意識するようになってしまった――――。

 今、僕は姉が好きだ。姉を想うと内臓の中心が焼かれるように熱くなる。僕はこの感情を恋愛を超えた『変愛』と呼ぶことにする―――。


 家に帰ると、玄関に姉の靴があった。玄関を上がり、廊下を進むと、右側にある脱衣所の引き戸が閉まっている。扉の前に立ち、耳を澄ますとシャワーの音が聞こえた。どうやら姉は入浴中らしい。

 僕はもう一度、足音を立てずに玄関へと戻った。父と母の靴が玄関にない事を確認する。父は、仕事先からまだ帰宅していない。母は、買い物にでも出かけたのだろう。耳を澄ますと家の中は静まり返っていて、人の気配はない。今、この家に居るのは、僕と姉の二人きりという事だ。僕の中の『変愛』が目覚める。

 足音を立てず、呼吸を整えながら僕は、先程の脱衣所の引き戸の前に戻る。まだシャワーの音は続いている。僕は玄関の方を気にしながらその場にしゃがみ込み、膝立ちの形となった。左手を右腕の肘に添えながら引き戸の取っ手に静かに右手の指先を掛けた。

 僕は胸の中で激しく踊る心臓を感じながら、深呼吸をひとつした後、毎秒数ミリのスピードで音を立てない様、細心の注意を払いながらゆっくりゆっくり引き戸を左へと動かした。引き戸が開かれるほどにシャワーの音が大きくなり、それに合わせ僕の鼓動も大きくなっているようだった。しばらくして、自分の体が通れるほど、戸を開ける事が出来た。すぐ右側にバスルームの開き戸がある。扉越しにシャワーを浴びる姉のぼんやりとしたシルエットが見える。僕は、思わず唾を飲み込んだ。

 僕は視線を前方へ移した。洗濯機の前に置かれたプラスチック製の籠がある。中にさっきまで姉が身に着けていた脱ぎたての衣服が入っている。籠の一番上に中身が見えない様、蓋のように置かれた真っ白いブラウスが見える。僕は、腹ばいになり、脱衣所に侵入した。上半身は脱衣所に、下半身は廊下の状態だ。目の前に籠がある。さっきまで姉が着ていた白いブラウスが入っており、いつもの大好きな姉の芳醇な香りが僕の鼻をくすぐった―――。





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