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料理とは
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このままじゃ、この森で生きていけないからベステルタに保護してもらうことになったよ。対価は繁殖すること、つまり僕の種の提供だった。めちゃくちゃ搾り取られたよ。
「腹減った……」
「そういえば何も食べていなかったわね。ちょっと準備するから待ってなさい」
相変わらずすっきりしたような顔。大の字で倒れる僕を尻目に彼女は奥に引っ込んでいった。
身体中のエネルギーを文字通り絞りだし、絞り出された気がする。
亜人との繁殖行動、マジで大変だ。僕の骨が軋み肉が悲鳴をあげる。それが数時間は続く。休み無しでだ。これアスリートも真っ青だよね?
今思ったんだけど、もしかして頑健スキルめちゃくちゃ役に立ってないかな。正直途中で何度か骨が砕けそうになったり、噛みつかれて肉が千切れそうになったんだけど、なんとか持ちこたえた。ベステルタの獣性が牙を剥いて、僕のいろいろを剥いてくる。これ、確かに普通の人間には肉体的にも精神的にも耐えられないよ。最中に圧倒的な力で拘束される恐怖が半端じゃない。まあ僕はそれを逆手にとって奮い立たせるわけだけど。あと単純に精力も上がってる気がする。何回散布したことか。常人ならテクノがブレイクしてるよ。
「おまたせ」
どうやら料理を持ってきてくれたようだ。亜人料理気になるな。どんなのだろう。女の子の手料理とかうきうきしちゃうな。
「……ねえ、ベステルタ。これは?」
「フレイムベアよ」
そう言って、 紫やら緑がかった血の滴る生の肉塊を差し出してくる。毒々しすぎる。これ悪魔の儀式に使われるやつでしょ。しかもなんか脈打ってない?
「フレイムベアよ?」
違う。そうじゃない。まず、僕は料理名を聞いたんだ。素材じゃない。ていうか素材を活かしたってレベルじゃない。むしろさっき素材殺しましたってって感じだ。僕は何を言っているんだ。
「女の子の手料理……」
「な、なんで目が死んでるの? ご、ごめんなさい。人の口に合わないのかしら……」
違う。そうじゃない。そうじゃないんだ。
僕はせっかく作ってくれたら料理なら腕の良し悪しはおいといて食べるつもりだ。振る舞われたものを不味いとか言う野暮な男じゃない。でも、それ以前の問題なんだ。
「ベステルタ……。人間は基本的に生肉を食べないんだよ」
「ええっ! そ、そうなの?」
この驚きようだよ。会って一番驚いてるんじゃない? どうなんだこれは。亜人全体がそうなのか? それともこの子がちょっとあれなのか?
「お腹壊しちゃうんだよ。病気にもなるし、人間は基本的に料理して食べるんだ」
「料理……。聞いたことあるわ。そっか、よく考えれば当然ね。亜人と人じゃ身体の作りが違いすぎるもの」
「聞いたことあるなら料理したことなかったの?」
「聞いたことあるだけでやり方は知らないわ。わたし、人間とこうして話すのは初めてだしきちんと交流したことも種もらったこともないのよ? 仕方ないじゃない」
ちょっとむくれている。角がバチバチ音を立てている。火花散ってない? 女子大生が料理下手指摘されてむっとする体で、リアルに剛角に火花を散らせないでほしい。もしかしてそこに力貯めて球体のエネルギー弾でも飛ばせたりするんじゃないかな。気が気でないよ。
まあでも仕方ないか。生で食べられるなら生で食べるだろうし。基本的に一人で生活していたみたいだし、娯楽とかも無さそうだしね。余裕が無かったわけだ。
……そう思うとなんだか可哀そうに思えてきた。亜人は本当に色んなものを捨てて引きこもる道を選んだんだね。凄まじい覚悟だ。快楽に弱い僕には到底できそうにない。
僕に何かできることないかな。
ベステルタはたぶん僕に気遣って、非情に見える言動をとっているように見える。自分が悪者になって僕に余計な感情を抱かせないようにというか。でも無理だね。だって、至るところで彼女の優しさや可愛らしさが露呈している。それを嫌うなんてできそうにない。一線越えちゃってるし。僕はいつの間にかチョロインになったようだ。
いや、まてまて。僕は自分のために生きるんだ。誰かのためじゃない。地球じゃ絶対にお目にかかれない人外お姉さんたちとアスリート繁殖して、適当に食っちゃ寝。それでいいじゃないか。……まあ結果的に誰かのためになるのなら、それでいいねって話だ。そういうことにしよう。
あーなんか料理したくなってきたわー。自分のために旨いもの食べたくなってきたわー。
「仕方ないわね! 私が料理作ってあげるわ!」
「えっ、気持ち悪いのだけれど」
ぐっ、そんな汚物を見る眼差しで見られると凹む。ちょっと、あからさまに引かないでよ。地球ジョークが通じないのな厳しいな。
「気にしないで。今のは前の世界の冗談だよ。それより、僕が料理作ってみるよ」
「そうだったのね。うーん、料理については分かったけどそれなら別に火を通せばよくない? あれ、もしかして火を通すってことが料理?」
合ってる? と少し期待した目。
ダメだこりゃ。根本的に料理の概念が分からないようだ。お茶を入れる文化はあるのにちぐはぐだよ。こうなったら実物を作るしかない。このままじゃ美食を愛する日本人として耐えられない。こんな別のところで危機を覚えるとは思わなかったよ。
「とにかく料理を作るよ。調理道具貸してくれる?」
「ないわよ、そんなもの」
道は険しい。
「腹減った……」
「そういえば何も食べていなかったわね。ちょっと準備するから待ってなさい」
相変わらずすっきりしたような顔。大の字で倒れる僕を尻目に彼女は奥に引っ込んでいった。
身体中のエネルギーを文字通り絞りだし、絞り出された気がする。
亜人との繁殖行動、マジで大変だ。僕の骨が軋み肉が悲鳴をあげる。それが数時間は続く。休み無しでだ。これアスリートも真っ青だよね?
今思ったんだけど、もしかして頑健スキルめちゃくちゃ役に立ってないかな。正直途中で何度か骨が砕けそうになったり、噛みつかれて肉が千切れそうになったんだけど、なんとか持ちこたえた。ベステルタの獣性が牙を剥いて、僕のいろいろを剥いてくる。これ、確かに普通の人間には肉体的にも精神的にも耐えられないよ。最中に圧倒的な力で拘束される恐怖が半端じゃない。まあ僕はそれを逆手にとって奮い立たせるわけだけど。あと単純に精力も上がってる気がする。何回散布したことか。常人ならテクノがブレイクしてるよ。
「おまたせ」
どうやら料理を持ってきてくれたようだ。亜人料理気になるな。どんなのだろう。女の子の手料理とかうきうきしちゃうな。
「……ねえ、ベステルタ。これは?」
「フレイムベアよ」
そう言って、 紫やら緑がかった血の滴る生の肉塊を差し出してくる。毒々しすぎる。これ悪魔の儀式に使われるやつでしょ。しかもなんか脈打ってない?
「フレイムベアよ?」
違う。そうじゃない。まず、僕は料理名を聞いたんだ。素材じゃない。ていうか素材を活かしたってレベルじゃない。むしろさっき素材殺しましたってって感じだ。僕は何を言っているんだ。
「女の子の手料理……」
「な、なんで目が死んでるの? ご、ごめんなさい。人の口に合わないのかしら……」
違う。そうじゃない。そうじゃないんだ。
僕はせっかく作ってくれたら料理なら腕の良し悪しはおいといて食べるつもりだ。振る舞われたものを不味いとか言う野暮な男じゃない。でも、それ以前の問題なんだ。
「ベステルタ……。人間は基本的に生肉を食べないんだよ」
「ええっ! そ、そうなの?」
この驚きようだよ。会って一番驚いてるんじゃない? どうなんだこれは。亜人全体がそうなのか? それともこの子がちょっとあれなのか?
「お腹壊しちゃうんだよ。病気にもなるし、人間は基本的に料理して食べるんだ」
「料理……。聞いたことあるわ。そっか、よく考えれば当然ね。亜人と人じゃ身体の作りが違いすぎるもの」
「聞いたことあるなら料理したことなかったの?」
「聞いたことあるだけでやり方は知らないわ。わたし、人間とこうして話すのは初めてだしきちんと交流したことも種もらったこともないのよ? 仕方ないじゃない」
ちょっとむくれている。角がバチバチ音を立てている。火花散ってない? 女子大生が料理下手指摘されてむっとする体で、リアルに剛角に火花を散らせないでほしい。もしかしてそこに力貯めて球体のエネルギー弾でも飛ばせたりするんじゃないかな。気が気でないよ。
まあでも仕方ないか。生で食べられるなら生で食べるだろうし。基本的に一人で生活していたみたいだし、娯楽とかも無さそうだしね。余裕が無かったわけだ。
……そう思うとなんだか可哀そうに思えてきた。亜人は本当に色んなものを捨てて引きこもる道を選んだんだね。凄まじい覚悟だ。快楽に弱い僕には到底できそうにない。
僕に何かできることないかな。
ベステルタはたぶん僕に気遣って、非情に見える言動をとっているように見える。自分が悪者になって僕に余計な感情を抱かせないようにというか。でも無理だね。だって、至るところで彼女の優しさや可愛らしさが露呈している。それを嫌うなんてできそうにない。一線越えちゃってるし。僕はいつの間にかチョロインになったようだ。
いや、まてまて。僕は自分のために生きるんだ。誰かのためじゃない。地球じゃ絶対にお目にかかれない人外お姉さんたちとアスリート繁殖して、適当に食っちゃ寝。それでいいじゃないか。……まあ結果的に誰かのためになるのなら、それでいいねって話だ。そういうことにしよう。
あーなんか料理したくなってきたわー。自分のために旨いもの食べたくなってきたわー。
「仕方ないわね! 私が料理作ってあげるわ!」
「えっ、気持ち悪いのだけれど」
ぐっ、そんな汚物を見る眼差しで見られると凹む。ちょっと、あからさまに引かないでよ。地球ジョークが通じないのな厳しいな。
「気にしないで。今のは前の世界の冗談だよ。それより、僕が料理作ってみるよ」
「そうだったのね。うーん、料理については分かったけどそれなら別に火を通せばよくない? あれ、もしかして火を通すってことが料理?」
合ってる? と少し期待した目。
ダメだこりゃ。根本的に料理の概念が分からないようだ。お茶を入れる文化はあるのにちぐはぐだよ。こうなったら実物を作るしかない。このままじゃ美食を愛する日本人として耐えられない。こんな別のところで危機を覚えるとは思わなかったよ。
「とにかく料理を作るよ。調理道具貸してくれる?」
「ないわよ、そんなもの」
道は険しい。
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