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モブとタコパ2

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「じゃあ作って見せますので、よく見ててくださいね」



よく熱した鉄板に多めの油を塗り、タネを少し入れる。タネに少し火が通ったら適当な大きさに切った森タコ(生)と天かす、野菜のみじん切り、ショウガの甘酢漬けのみじん切りを入れる。



「オクトパス…しかもフォレストオクトパスを使うのか……」


「ああ、タコ……オクトパスがどうしてもダメならチーズとかエビとかソーセージ用意してますので、お好きなものをどうぞ?でもオクトパスこれ、良い匂いしてますから絶対美味しいですよ?」



ドン引きしている陛下の護衛騎士(ギルバートさんっていったっけ?)に説明する。どうやら陛下と第二王妃の分はギルバートさんが作るらしい。うん、正解だね。



「……で、具に火が軽く通ったら残りの空間にタネ入れて………周りが固まってきたら鉄串で、こう」


「……は!?え、い…いや、それはどうやって……え?ええ?」


「えーと…まあこの辺はそこにいる遼が上手です。焼きながら教えてもらってください。…で、コロコロ~…と、カリッとなるまで焼いてください」




出来上がった分を皿に移してギルバートさんに渡す。




「はい、見本兼毒味です。熱いですから気を付けて。ソースでもポン酢でもお好きな方をかけて……あ、そっちにある緑の粉と木の削りカスみたいなのも上にかけて食べてくださいね」




え?え?ええ?っとギルバートさんは戸惑ってるけど、だってどうせこの人また護衛だからって食べないつもりだし。

例に漏れず、遼と遥がズルイズルイと騒ぐがお黙りなさい。てめーの分はてめーで作れ。俺は竜どもとポンコツ精霊王と、愛する旦那と娘の分を焼かねばならん。

……と、その前に。

俺はメイドさんたちに合図を送る。




「はーい、ルクレツィアの結婚式があのお馬鹿さんにぶち壊されたのに戦闘してた団員のみんなには、タコ焼きとアルコールの前にステキな特別メニューだよ?」


「「「「「「え……」」」」」」


「食べた人から、俺が今から焼くタコ焼きみほんとエールを取りに来てね」




メイドさんたちが小皿に盛ったとパンを団員たちに配る。さすが遥。離れてても目が染みる試薬みたいな刺激臭がするカレーだね!俺笑顔。超笑顔。

汗ダラッダラで震える団員たちと苦虫を噛み潰したような遼。カズマは無表情だ。無の境地って凄いね。

遥を先生にして事務員と女性たちが焼き始める。うん、非常に賑やかでよろしい。ギルバートさんも食べ終わったらしく、キッラッキラした目をした陛下と第二王妃の前で、小難しい顔をして焼き始めた。



「おお…旨そうだ。ギルバート、お前料理もできたのだな」


「伯父様!わたくしオクトパス増し増しエビ入りピリ辛ポン酢で!!」


「ええいファビオラ!お前は自分で作りなさい!!」




……うん、頑張れ、筆頭護衛騎士。

さて、俺は俺で大量生産しようか。さっきはお手本だったから6個くらいだったけど、目の前にはタコ焼き工場か!?っていうような巨大鉄板。一気に50個くらい作れる。

さっさと作り始めた俺の周りには、ウロウロチラチラと、ヨダレだらっだらの竜どもとポンコツ精霊王。こんなこともあろうかと、森タコの内臓で作っていたアヒージョを差し出す。




「これならいっぱいあるから食べて待ってろ」


「(もぐもぐもぐ…)……おおおお……こ、これは…………!!」


「何という濃厚さ…!!(もぐもぐもぐ)」


「(もぐもぐもぐもぐ)…もりのウニョウニョおいしいねえ……(๑´ㅂ`๑)」




はっはっは。タコは口と目玉以外は食えるんだ。日本人のもったいない精神素晴らしい。

タコの内臓のアヒージョを見たカズマがカッと目を見開き、瞬く間に遥特製カレーを食べ終わる。優雅な仕草で空になった小皿をメイドに渡して、行儀悪くパンを齧りながらこっちにきた。




「……ごめんなさいもうしませんゆるしてくださいおくちのなかがおおかじでブリザードなテンペストですお酒とおつまみとタコ焼きください :(´ºωº`):」










うん、さすがの黒獅子元帥も涙目だったね。




















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