【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブと転がる計画

思いつきの自衛団計画も転び始めると凄い速さで転がっていく。

遺跡は使えるとこは使ってくれというと、建築スキルを持った匠が１月で仕上げてくれるという。有名な建築士らしいが気難しく、なんで受けてくれたのかというと重度の遺跡マニアらしい。

視察に行った時に遺跡見ながら「アアアアアアアアアアすんばらしゅぃいいいいいいいい」って叫びながら勃起してたのはドン引きした。すぐに騎士さんたちに汚えもんお見せすんじゃねえって退場させられてたけど。

道も整備された。石畳の舗装だ。すげえ金掛かってる。心は庶民の貧乏性の俺はドキドキしたが、意外にも口を出してきたのは第二王妃だった。

「バカね！第一王妃オバサンのドレスと宝飾品１年分の予算より安いわよ！」「後からやりなおす方がお金掛かるんだから最初からケチケチしない！」……と。(陛下談)

さすがは嫁ぎ先を潰して出戻った女傑。言うことが違う。

ハコモノは専門家たちに任せて、遙と遼に「冒険者引退したりして、教育できそうな人いない？できれば住み込みで」と相談した。使えるコネはなんでも使う。

二人してゴソゴソ相談してたと思ったら、朱座に乗って遼がエルトリア王都のギルド本部に行き ーーー 冒険者辞めてきやがった。

マジか！？

装備もお金も後々の火種になるから、抜けたパーティーに全部あげてきたらしい。

マジか…。




「……ってことでぇ？オレ、無職の無一文なんだわ。兄貴、養って♡」




久々のアイアンクローが炸裂。

馬鹿なの！？ああ…こいつ、そういや馬鹿だったわ。

仕方ないから雇うことにする。

遼にいい仕事した！と頭を撫で回したのは、数字に強い経理ができる青年を一緒に引っ張ってきた事だ。名をミナトくんという。

数字に強いし名前は日本名っぽいし転生者かなあと思ったらハズレ。

礼儀も正しいし、荒くれ冒険者にもダメなもんはダメって言える神経の太い子だ。しかも記憶力も良いし要領もいい。対人スキルが玉に瑕だがご愛嬌。

えー…？まさかこの子、遼の彼氏？と思ったら違った。頬を染めて「オズワルドさんの方が好きですから…」とか言われた…。やめてマズいから！気の迷いだから！

出来上がったハコモノは、リクエスト通りに教官宿舎、寮、事務所兼購買部、学校に教会、訓練所、食堂、……そんで、俺の個人的な家。端っこにお願いして良かった。テオに任せてたら「小さい家」は豪邸になってた。おい、金銭感覚！１LDKで良かったんだよこんなの！仕方ないからゲストハウスも兼ねる。おーい、二人っきりでほっこり老後計画どこ行ったよー…。

教会には《清浄と神聖の守護神》を祀ってもらった。そう、ここの守護をオーロに任せる。ついでに神父服着て子供の世話と布教もやらせる。働け居候。この教会で、今回のスタンピードで孤児になった子供たちを引き取るのだ。長期計画で、ある程度大きくなったら学校で勉強して、バイトとかしながらここで働くのか外に出ていくのか、実働部隊になるのか事務になるのか選ばせる。

金が掛かるウウウウウウ！開発費！維持費！人件費！と思ったら大蔵省的なとこが国の予算に組み込んでくれたらしい。武力を持った小さな学園都市を作るような感じだからもっと反対されるかと思った。実際、中央貴族は猛反対したらしいが、今回のスタンピードで役に立たなかった腰抜けどもが！と辺境伯連合が頑張ってくれたらしい。

人事は俺がやった。

テオ曰く、貴族や商家からも募集はないのかと問い合わせの嵐だったらしいが、これは慈善事業の一環なので平民しか入団させない。どうしても入りたきゃ財産と家を捨ててこいと伝えてもらった。うわ新手の宗教みたいだな。

んで、ちょこっとズルして、精霊たちに応募者に悪意があるかどうか見てもらった。

まあ出るわ出るわスパイ大捕獲パート2。

間者はサクッと捕獲して、残った人たちはほとんどがあのスタンピードで無力感を痛感したF～Cランクの冒険者と、村人たち。中にはここで一旗あげてお城に行くんだ！とかいうアホの子もいたが、元SSSランクの教官や強兵ブリーダーのカズマに揉まれてもこれが言えるんだろうか。……言えないよなあ…。

そうそう。帰ってきたカズマは「やしろさんに赤ちゃんできてたらどうしよう…嫁たちと修羅場しか想像できねーや……」とか口元押さえて涙目になっていたが、知らんがな。自分でなんとかしろモテ男。









季節は晩秋に差し掛かっていた。