【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブと母子の再会

一瞬だけ。

ほんの一瞬だけだが、激痛が消える。



《…………ァァア……オ……ォオ………オ…》


《マミー！》



一瞬が過ぎ去った後、再び肉を焦がし始めた手を見ると。

カリーナの指先が、白く変化していっていた。



《マミー！オズはわるくないよ！わるいのは、マミーとダディをいじめたのは、このおじさんたち！！》


《…アァ……アアアア………ぼう、や……わたく、し……の………ぼうや……………》




指先から、白く輝くようにして。

真っ黒な影が、美しい、真っ白な女性へと変わっていく。

手がするりと引き抜かれる。まあ実際はするり、じゃなくてベリベリッと剥がれたんだが。痛え。




《ああああ…ぼうや。わたくしの、ぼうや…！会い、たかっ……た…》


《マミー！》




母子がギュッと抱きあう。感動の再会である。手がものすごく痛いけど。

俺の手の血まみれの惨状を見てルクレツィアが悲鳴をあげる。駆け寄ろうとするのを、首を振って制した。




《マミー、あのね？オズはやさしいんだ》


《ぼうや？》


《オズはこわいけど、きれいで、やさしくて、あったかくて、いいにおいがするんだよ？なまえももらったよ？オズのうまれたとこの、かみさまのなまえなんだって》


《…ああ……あああ………》


《ごはんもおいしいよ？オズがね、つくってくれるんだ。めんどくさーいっていいながら、おいしいもの、おなかいっぱいたべさせてくれるんだ！おいしいっていうと、すごくうれしそうにわらうんだよ！それでね、マミー…》



はらはらと。美しい神竜は泣く。笑いながら。







《カムイは、オズがだいすき！》