【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブと謁見

車椅子で陛下に謁見してお礼を述べる。

「あの幼きリントヴルムの母竜を死なせたのは我が息子の手違い。なのにその子竜の育成に手も貸さぬとあっては笑い者になるわ」と笑って仰った。



………ふーん。そういうことにしてるわけね？まあいいけどね？



もう王太子には関わりたくないし。

主人公と勝手によろしくやってくれ。俺は知らん。

臣下の礼を取り、首を垂れる。はあ、めんどくさい。





一足先に竜舎で待っていたカムイは、俺を見つけるなり走って飛びついて顔を舐め回した。やめろ駄竜。



キュクン！クンクン！キャウ！



ああはいはい、飯ね。

インベントリとかいう空間魔法に収納してた瓶を取り出すと、カムイは行儀良く座って待つ。

……そう、錬金術で黒色火薬とか飴とか作ってたらスキルが増えました。謎だ。



「待て」



………………(ヨダレたらり)




「よし」




3つまとめて飴を放り込む。今日の飴は苺の味のする青いベリーだ。




「………はー…、よく躾けてますね……」


「ん？普通ですよね？」


「えっ？！」


「えっ？」


「だってドラゴンですよ！？犬じゃないんですよ！？伝説のリントヴルム！気高い純白の支配者！！」




こいつの親が、な。それこいつじゃないし。ただの食い意地張った甘えん坊だし。

カムイがコロコロと、口の中で3つ纏めて上手に転がしてる時に。

ああ、本当に間が悪い時に。





赤竜が現れた。