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モブとペット
しおりを挟むゴトゴトと。
俺とテオと子竜を乗せて馬車は行く。
俺がテオの膝に乗って、犬……もとい、子竜は足元だ。座席になんか座らせんぞ?躾は最初が肝心だ。
「テオ…その……ほんと、ありがと…」
もうホント、この夫には頭が上がらない。
「なに、妻に尽くすのは男の甲斐性だろう?だがそうだな…褒美が欲しいな」
えー…。まさかの有償だった。
「寝室に鏡が欲しい。入れていいか?」
「? …う、うん?」
「そうか!では帰ったらすぐにでも運ばせよう」
えー?まあ、確かに寝室に姿見無かったけどさあ?なんでそんなに嬉しそうなの?いいけどさあ?
子竜を連れて帰ると、一番喜んだのはルクレツィアだった。
「まあ!愛らしい!これが犬という生き物なのですわね、オズ兄様!」
違いますドラゴンです。
「真っ白です!ふかふかです!もふもふです!オズ兄様、触っても良いですか!?」
目が怖いよルクレツィア。そのワサワサした手もやめなさい。子竜もドン引きだよ。
「……ちびすけ、この娘は俺の宝物だ。大事な娘だ。もし噛んだら………俺がお前にも噛みつくからな?」
ビビッと子竜がお座りして背筋を伸ばす。
「ルクレツィア、動物は上から頭を触らないように。背中の辺りからそっとな?」
「はいっ、オズ兄様!!」
許可を出すと、輝くような笑顔が帰ってくる。
洗ってて貰って良かったよ。さっきまで子竜は、元の色が何色かわかんないほど、ドロドロのグチョグチョだったからなあ…。
おずおずと子竜に近付いたルクレツィアが、そっと背を撫でる。
「………!………!!……まあ…!柔らかい……ふかふかで、すべすべですわね…すてき……」
お姫様はペットをお気に召したようだ。
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