【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブと二度目の登城

城にはテオ二人で行った。ルクレツィアと我が相棒車椅子は留守番だ。

ルクレツィアは行くと言い張ったが、テオは譲らなかった。何かあった時に対処できない、と。

なので、俺は横抱きにされたまま城を移動中。視線が痛い…。

俺さあ、もう23だよ？いい大人だよ？運動不足で細っこいけどさぁ…。




「お前はあの村でやった事を覚えていないのか？」


「？」




どういうこと？




「お前はあの土地を、血と怨嗟で穢された場所を浄化した。無実の罪で殺された多くの魂と、我が子を守ろうとしただけで討伐された罪なき神竜。あの土地は草木一本生えず、足を踏み入れれば魂までもを侵すような……千年は呪われるような場所になる筈だった。穢れ地の浄化など ーーー 本来なら聖女でも難しいことだ」




えー。知らんがな。




「それをお前は短い祈りだけで浄化した。すぐさま箝口令は敷いたが人の口に戸は立てられん。今やお前はこの国の……いや、国外でも噂の中心だ。私がこうして抱いていないと目を離した一瞬で攫われるぞ」




やめて祈ってないから。自分の浅はかさに猛省してただけだから。




「お前が私に愛想を尽かした素振りでもしてみろ。その日のうちに王家がお前を保護しにくるだろうな？」


「テーオー？」




俺はテオの鼻をギュッと摘んだ。クッソ鼻高いなこいつ。




「俺がお前に愛想尽かすはずないだろ？自信持てよ。好きな奴でなきゃ、男に、しかも朝までオールでやらせるとかしないぞ？」


「………す…き？」




あれ？言ってなかったっけ？……………うん、言ってなかったわ。ウワアないわー。付き合ってセックスまでしてんのに釣った魚に餌をやらないクズみたいだな、俺。




「まあ…最初は成り行きだけど、ちゃんと好きだよ？愛してるってば、俺の旦那さん」


「オズ…！！」


「うわダメ！チューはダメ！！帰ってから！帰ってからじゃないとアウト！！」




31のオッサンと23のいい歳した男のキスシーンなんて公共の場所で見せたらいかん！ドン引きされるから！！




俺とテオが攻防戦を繰り広げていると………





「兄上！！」






面倒ごとがやってきた…。