【異世界大量転生2】囲われモブは静かに引きこもりたい

モブときっと。

俺さあ、もういい歳だよ？子供じゃないんだからさぁ…拳骨って……ああ、ごめんなさいごめんなさいもうしません！(たぶんするけど。)

めっちゃ叱られた。それはもうガッツリと。テオの中の俺のイメージって、多分オズワルドをストーキングし始めた子供の頃で止まってるよね！？

まあ心配されてるっていうのはわかる。だって今まで何してもニコニコしてたテオが、俺の身に危険が迫った今日、初めてめっちゃ怒ったし。

あー…でも、あんなに威力が強かったら、男のロマンパート2のマスケットは無理だ。暴発する未来しか見えない。ガックリ。

俺作黒色火薬は、魔女様の鑑定でも《？？？》って出るらしい。

そりゃそうだ。適当に混ぜ合わせただけじゃあ出来ないし、配合がぴったりでも水分とか気にしてないと製作途中で大惨事だ。

それ言ったら絶対二発目の拳骨がやってくるので言わない。将軍様の拳骨怖い。ぶるぶる…。

だから黒色火薬は俺にしか作れないってことにしておいた。

製作禁止令が出るかと思いきや、何か理由があるんだろう？と理解のあるダンナ。半分以上はロマンですとか言えない…。

原作のルクレツィアが16歳の時。隣国からの大規模侵攻が始まる。1年に渡る泥沼の戦争で ーーー テオドール将軍は命を落とす。



俺はそれを阻止する。



ふざけんな。まったくもってふざけんな。これは俺のだ。死神になんかやらない。

原作では、義父であるテオドール将軍が死んで、ルクレツィアの後ろ盾が居なくなる。あっと言う間に陥れられ、罪を被せられて断頭台行きだ。

馬鹿野郎、誰が可愛い娘を斬首させるものか。

だから俺は、戦況を初手からひっくり返しておく。

そりゃあ人が死ぬさ。大量に。でもきっと、一年もずるずる戦争し続けるより、よほど死者は少ない。人も国も疲弊しない。…きっと…………。



俺は笑う。











ああ、きっと。俺は死んだら地獄に行くんだろう。