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偽神編

蕃神討滅 8

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「……畏み、畏みも、申す!!」


ああ、畜生。痛えなあ。けどな、ほれ?ざまぁねえなぁ、おい?こんな異界まではずねえと思ったんだろ?残念!手応えは確かにあったんだ。

 猫睛石クリソベリル・キャッツアイのイヤーカフ。ティグレの瞳の色をした、俺のお気に入りのイヤーカフ。

本音を言うなら刀か銃に宿らせとおしたかった。けれど、地球ジアースは、ヒノモトはあまりに遠く。到底の俺の神力じゃあ神を通せなかった。ならば依代を小さく。細く、細く、

そして左手と一緒に依代を食わせた。壊される可能性が低い偽神やつの胃袋の中。


神との道は、通る。


俺の魂魄を食えば奴は狂乱する。きっと【誓約】のことなど忘れて、を食おうと必死になる。だから罠を仕掛けた。3つ数える間に、と。


「畏み畏み、畏み申す!いと慈悲深き我らの母!日の本総べる灯依大神に畏み申す!尊き名にかけ誓いし言葉ことのはたがえし痴れ者、喰らい賜え!」

「やっ……!!やめて!!やめてやめてやめてやめてやめてやめて!!あ、アタシが悪かったわ!出ていくっ!だからやめ……おぶっ…!!」


制裁のくろい腕は見る間に増える。数本が数十本、数百本、数千本……今や偽神が口を閉じることも言葉を発することも叶わぬほどに。偽神をブチブチと引き千切り、口の中に戻り、また出てきて引き千切る。偽神の青い血がそこかしこにぶち撒けられ、くぐもった絶叫がこだまする。

やがて最後のひとかけらを手にした黒い腕は、宙に消えるようにして去っていった。


「…… ーーー か…かしこみ、かし、こ……み…」


ぐらりと世界が揺れた。いや、揺れたのは俺か。貧血だ。やばい。まずい。まず……





…キン…






目に染みるような甲高い音がして、そこからすべての音が消えた。










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