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学園編
一度しか忠告しないんで耳の穴よーくかっぽじって聞いてくださいね
しおりを挟むさーて、どうしてくれよう、この糞餓鬼ども。俺はここの授業を結構楽しみにしてんだぞ?ちらりとキンバリー講師に目をやると、青くなって視線をさまよわせながら「ぼぼぼぼぼ…ぼくのじゅぎょうはおかまいなく……」とかつぶやいた。俺が構うんだよ先生。
「キンバリー先生。先生がよろしければ昼食でも頂きながらお話を聞かせてもらえませんか?先日の授業で習った、120年前のフレイス国集落で発生した黒屍病。その考察を私なりに考えて来ました」
「おお…!黒屍病!アレの研究はみな嫌がってね。名前を聞いただけで呪われるだの噂されているからね!あっ、黒屍病なら呪学のキルフェスと魔物学のモーアも好きだよ!」
「やはり…あれって魔物や呪いにも関わってくるのですね。よければキルフェス先生とモーア先生にもお話をお伺いしたいです」
「じゃあ僕はキルフェスとモーアを誘って校内のカフェテリアで待ってるよ。多分二人とも暇してる」
「よろしくお願いします」
いそいそと立ち上がるキンバリー講師。ここから離れたいのと、黒屍病の話題がよほど嬉しかったようだ。高位貴族の三男でもあるキンバリー講師は優雅な仕草で「では殿下、御前失礼致します」と去っていった。
「……さて」
俺は椅子から立ち上がることもせずに5人を睥睨する。
「ハイ、では王子殿下並びに高位貴族の側近候補の皆さん、あとオマケの女生徒。親に苦情を言う前に、一度しか忠告しないんで耳の穴よーくかっぽじって聞いてくださいね」
「はっ……はあ!?」
「貴様!無礼であるぞ!!」
「おっ…親に言いつけるとかぁ、リオくんもおとなげないよねぇ?」
「親父は関係ねえだろ!」
「ああん、リオ様ぺろぺろしたぁい♡」
……なんだろう。このクソビッチにだけ違う光景でも見えてるんだろうか。狂気を感じるんだが…。
「剣術、魔法、事務仕事のお勉強は俺には不要です。ましてや帝王学?無理無理。領地経営のノウハウは実践で叩き込まれてるんでノーサンキュー。オメェら親から何聞いてるんだ?あ?『極力、プレンダーガストに近付くな』って言われなかったか?あと誰が俺をファーストネームで呼んでいい言ったよ?公爵が呼んでるから自分も……って厚かましいにも程があらぁ。お前らがどんだけ乱れた生活をしようが口は出さねぇ。だから俺とティグレに近寄るな。視界の端にも映り込むな。俺が請け負ったのはお前らとなかよしこよしじゃぁなくて、とある任務の調整と後始末だ。間違えても邪魔してくんじゃねぇぞ阿呆が」
「「「「………………」」」」
おや?途中から下町言葉になっちまったが、坊ちゃんたちには刺激が強すぎただろうか。どいつもこいつも顔色を悪くして黙り込んでしまった。
「え……でもぉ~、リオ様ぁ?せっかくの学園生活なのに寂しすぎませぇん?恋して!青春して!もっと楽しみましょうよぉ?」
あかん。この女だけやっぱり違う景色が見えているらしい。
「青春…恋、ねぇ?」
「そうですよ!彼女作って!イチャラブして!!いっぱい気持ちいいことしましょうよぉ~!……えーと、ティグレくんも一緒でいいですよぉ?だってあたし、イケメンは博愛主義なんです♡」
意味がわからん。
「恋人は作らない。俺にはティグレがいるからな」
「……はぁ?」
ティグレの左手を左手で取り、指を絡ませにっこり笑う。
「ティグレが俺の婚約者だ。他はいらない」
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