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王都編
……は?勇者?侯爵???
しおりを挟む「リオ・プレンダーガスト。其方には大勲位聖剣大綬章 ーーー すなわち、『勇者』に相当する身分を与える」
「…………は???」
急拵えとは思えないような叙勲式で、ちょっと理解できないことを言われた。ざわざわと。招かれた貴族たちが、陛下の言葉と黄金に輝く徽章に騒めく。
……いや、待って。ちょっと待って?何その『勇者』って……え?え?え???
「同時に、プレンダーガスト伯爵家は陞爵。これよりプレンダーガスト侯爵家を名乗ると良い。領地は……まあ、飛地ではあるが、王家直轄地を下賜しよう。2代前のプレンダーガスト伯爵領だった場所だ。先々王陛下の領地替えにより王家のものとなっていた場所である」
「………………」
「……リオ・プレンダーガスト。返事を」
「はっ…!あ…ぁりがたく、頂戴致します……」
「うむ。これからもより一層、我がモンサロ王国のために励むと良い」
「はっ」
どうしてこうなったァ!!??
拝啓、リサ。なんか知らないうちに勇者とやらになっちまったようです。……って、待って!?待って待って待って待って!!どういうこと!?大勲位聖剣大綬章ってのは便利グッズだったよなァ!?要するにお得な優待券みたいな……エエエエエエエエエ!?!?
ニヤリと笑うラドと、なんか慈愛に満ちた顔で微笑む陛下。王妃様は「ふんす!」と鼻息荒く、何かを期待してワクワクするような表情。
クッソ!謀ったなラドォォォオオオオオ!!!
お得情報ばかりを言うのは悪徳業者だろ!!なんなんだよチクショウめ!!ああああ!馬鹿!俺の馬鹿!!デメリットを一緒に聞いておかなかった俺の間抜け!!!
呆然とする俺の胸元に、ラドがクッソ重い勲章を付ける。
「良かったですね、おめでとう。これで貴方を侮るものは居なくなりました。……ああ、まあ表面上は、ですが」
湧き上がる拍手。本気で祝福している者も居れば、訝しげにしている者や……憎々しげに、仕方なく手を叩いている者もいる。
「(あとは得意の物理で叩きのめしなさい)」
にっこりと。唇を動かさずにラドが囁く。
どうして!こうなった!!??
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