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王都編
美人なお婆さんは最強
しおりを挟む大公邸で待っていたのは、一糸乱れぬお辞儀をした大勢の使用人たちと、ただならぬ気配の爺さん。あとめっちゃニコニコ顔の婆さんだった。皺くちゃだが美人だ。笑顔がいい。あと50、いや60歳若かったらナンパしてる。
「まあまあ、いらっしゃいませ、プレンダーガスト伯爵」
「お初にお目にかかります、御婦人。リオ・プレンダーガストと申します。えー…その、まだ『伯爵』ではないので……」
「あら?まあ?まああ!坊っちゃま!ラド坊っちゃま!まだなのですか!?わたくしにはもう少しだと仰っていたではないですか!」
「あー…メアリー?法案はそうそう変えられるものではないのだよ?あと客人の前で『坊っちゃま』はやめてくれ」
「まあ…!坊っちゃまともあろうお方が!一体なんのための権力ですか!ここぞという時です!いつやるのですか!?今でしょ!」
テンション高えな!?CMかよ!
「リ…リオが王都を出る前には終わらせようと、思っているよ?」
「まあっ!まあまあ!それは宜しいですわね!……で?プレンダーガスト次期伯爵様?どのくらい滞在されますの?」
「えっ……と、ええ、はい…明明後日、くらいには…」
「まあっ!!??」
圧が!凄えぇぇ…!
「も…もう少しゆっくり出来ませんか?坊っちゃまはアレでございましょう?ですからわたくしは坊っちゃまがお気に召した子を連れてくる…と聞いて、まさか養子になさるのでは!?と胸を躍らせたのです」
その割には俺のスリーサイズまで含めた身辺調査してやがったけどな?
「わたくし、孫の顔を見るまで死ねませんわ!でも!坊っちゃま!アレではありませんか!!」
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「えー……ええ。うん。メアリー?何度も言うが、私に子供は無理だ」
「まあ…それはまぁ…左様でございますねぇ……」
うん、陛下のマタニティ姿は見たくない。んで、婆さん、しょんぼりしないでくれ。なんか美人で癒し系の婆さんが萎れてるとめちゃくちゃ居心地が悪いんだが…。
「だからね、メアリー。このリオを可愛がるといい。私の子供だと思って。私は、私の後継者に指名するほど、彼を気に入ってるよ?」
「!!!…んっ……んんまああああ…!」
婆さんがキラキラキラキラ~!と目を輝かせて俺を見た。いやいやいや……ラド?おい?おいおいおい!?おい待てこの野郎!?
俺を生贄の羊にしやがったな!!??
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